更新日 : 2025年04月10日
更新日 : 2025年04月10日
セメント瓦とモニエル瓦、塗り替えを必要とする瓦の最適なメンテナンス方法!
セメント瓦やモニエル瓦は、定期的な塗装が求められる屋根材なのをご存知ですか?
1980年代から1990年代にかけて日本で一般的だったセメント瓦とモニエル瓦は、30年から40年の寿命が見込まれ、2024年現在、屋根のリフォームが必要な場合があります。
この記事では、セメント瓦やモニエル瓦の手入れ方法やリフォーム手続きについて詳しく解説しています。セメント瓦の手入れやリフォームをお考えの方は、ぜひご参考にしてください。
目次【表示】
セメント瓦・モニエル瓦とは?
瓦は「塗装メンテナンスを必要としない」イメージが強いですよね!
確かに、一般的に使用される和瓦などの粘土瓦は塗り替え工事を必要としません。
しかし、今回ご紹介させていただく「セメント瓦・モニエル瓦」は瓦の中でも塗装メンテナンスを必要とする瓦です。
一体なぜなのでしょうか?
まずは、セメント瓦・モニエル瓦の特徴について詳しくご紹介いたします!
セメント瓦の特徴

セメント瓦とは、セメントと川砂を主な材料として製造される屋根瓦の一種で1970年代~1980年代にかけて広く使用されました。
最大の特徴は、セメントの高い耐久性と川砂が加わることで強度・安定性に優れる事です。さらに耐火性にも優れており、火災の際にも燃えにくい特性を持っています。
また、和瓦などの粘土瓦と比較して屋根材のコストが安価です。
その為、多くの住宅に普及される事となりました。
さらに、セメント瓦はさまざまな形状やカラーがあり、デザイン性の高さから和風建築だけでなく洋風建築にも幅広く採用出来る事も大きな魅力です!
モニエル瓦の特徴

一方、モニエル瓦はヨーロッパ発祥のセメント瓦の一種で、正式には「乾式コンクリート瓦」と呼ばれます。こちらも1970年代~1980年代にかけて広く普及しました。
モニエル瓦の大きなメリットとして挙げられるのが、「軽量性」です。セメントと砂を主成分とすることから日本の伝統的な「粘土瓦」に比べて軽く、耐震性にも優れています。
また、セメント瓦同様にデザイン性にも優れており、形状・カラーバリエーションも豊富です。
特に、洋風の家屋にぴったりのスタイリッシュな外観を演出することができます。
セメント瓦・モニエル瓦が塗装メンテナンスを必要とするのはなぜ?

それでは、セメント瓦・モニエル瓦に塗装メンテナンスを必要とするのはなぜなのでしようか?
それは、「屋根材自体が水分に弱い」事が大きな理由です!
「塗装」は美観を向上させる為に行われるイメージが強いですが、実は塗布面を水分から保護する大きな役割を担っています!
セメント瓦・モニエル瓦に施された塗膜の劣化は、防水性・撥水性の低下を招きますので塗装メンテナンスによってそれらを回復させる必要があります!
セメント瓦・モニエル瓦の防水性の低下は屋根材の美観だけでは無く、耐久性の低下を招きますので注意が必要です!特に、現在セメント瓦・モニエル瓦の新品を手に入れる事は困難と言われていますので、寿命を最大限延ばす為にも定期的な塗装メンテナンスを行っていきましょうね!
塗り替えが必要となるのがセメント瓦とモニエル瓦
瓦というとほとんどの方は表面に艶がなく黒っぽいいぶし瓦、または表面がガラス質で艶々している釉薬瓦を思い浮かべるのではないでしょうか。これらは粘土瓦と呼ばれ、その名の通り、粘土を成型して焼き上げたものです。前述のいぶし瓦、釉薬瓦の他、表面処理をせず、そのまま焼き上げた素焼き瓦があります。
しかし、セメント瓦やコンクリート瓦はセメントやコンクリートを成型し、着色した瓦です。セメントやコンクリートと同じ素材から作られているため、どちらかというと瓦よりも同じ素材のスレート ( カラーベスト・コロニアル ) に近い性質を持っています。
つまり、「瓦」という文字が付いてはいても水分に弱い特性を持つスレート同様、塗装が必要な屋根材なんです!


塗装をしないとどのようなリスクがあるか?
外壁と同じグレードの塗料で塗装をしたとしても耐久年数が短くなるのが屋根塗装です。外壁と比較してもそれだけ過酷な環境下に晒されているのが屋根だということですね。 10年程度に一度は塗装によるメンテナンスを行う必要があるわけですが、それでは屋根塗装を行わないとお住まいはどうなってしまうのでしょうか?
まず屋根塗装を行う目的の一つはお住まいの美観を蘇らせるためですよね。塗装が剥げて、古びた外観が綺麗になることはご家族皆様にとっても大変うれしいことではないでしょうか。美観を蘇らせるだけではなく、色を変えて見た目を楽しむこともできますよね。しかし「美観を蘇らせる」「見た目を変える」という目的は塗装効果の一つに過ぎないんです。
それよりも「お住まいの健康を維持する」「ストレスのない生活を送る」うえで非常に重要なのです。そもそもセメント瓦やモニエル瓦は塗装をすることによって、屋根材の防水性が守られているのですが、塗装が剥げてしまう事によって防水性が失われてしまう事になります。結果として屋根材が雨水を吸い込み、屋根材を弱くするだけでなく最終的に雨漏りにまで発展してしまうリスクがあるのです。



粘土瓦は塗装の必要はないが、漆喰のメンテナンスは必須

粘土瓦は塗る必要がありません。現在では塗料の性能も上がったため、塗ろうと思えば塗れるのですが一度、塗装してしまうと定期的に塗装しなくては美観が保てなくなるため、手間がかかるようになります。基本的にメンテナンスは漆喰の補修、漆喰詰め直しと棟の取り直しになります。(屋根面が重なる部分を棟と言い、棟部分には棟瓦が施工されておりますがその隙間を埋めるような格好で漆喰が詰められています。)


セメント瓦とモニエル瓦 屋根塗装と漆喰の補修が必要




粘土瓦の特徴と見分け方

瓦の端の部分が丸いという特徴があります。また、1 枚の大きさがセメント瓦とモニエル瓦よりも一回り小さいので見分けるのは容易です。 粘土瓦は塗装されているわけではないので色褪せないからそこで判断するという方もいますが、いぶし瓦は経年で黒からグレーへと変化し行きます。 また、粘土瓦は汚れにくい・苔が生えづらいという方もいますが、それは釉薬瓦に限った話です。素焼き瓦は他の粘土瓦よりも表面がざらざらしているので汚れやすく、苔が生えやすいのです。
セメント瓦の特徴と見分け方

セメント瓦とモニエ ル瓦はよく似ており、デザインも複数あるので見分けづらいのですが、小口 ( 瓦の上端と下端 ) の部分に違いがあります。 小口がすっきりしていれば、セメント瓦です。凸凹していれば、モニエル瓦です。屋根専門業者のほとんどがはここで見て、どちらかを判断しています。
モニエル瓦の特徴と見分け方

乾式洋瓦と呼ばれることからも分かるようにほとんどが F 形 (French の略で平らな瓦、フランスから伝わってきた瓦が平らだったのが呼称の理由 ) や S形 (Spanish の略で湾曲が大きな瓦、洋瓦でよく見られる形状のもの ) ですが、J 形 (Japanese の略で湾曲がなだらかな瓦、街中で一番見かける形状のもの )も存在します。 瓦の形 状にこだわらず、セメント瓦と同じように小口で判断して下さい。小口が凸凹していれば、モニエル瓦で、すっきりしていれば、セメント瓦です。





セメント瓦の塗装方法

2.その後、下地がざらざらしているようならフィラー、ざらざらしていないようならシーラーと状態によって下塗り材を変えて、下塗りを行います。フィラーを塗布してもざらつきが収まらないようであれば、重ね塗りを行います。
3.その後、中塗りと上塗り、仕上げの 2 回塗りを行います。


モニエル瓦の塗装方法
スラリー層という特殊な着色層があり、これが塗装を難しくしています。簡単にいうとモニエル瓦には表面にスラリー層があり、これを取り除かず塗装を行うと簡単に塗膜が剥がれてしまうのです。

●スラリー層を取り除くために入念な高圧洗浄を行う
●もしくはスラリー層を強化するためにスラリー強化プライマーを使う
という 2 つの方法があります。
街の屋根やさんにおいて、過去にモニエル瓦の調査をおこなった屋根では、スラリー層を剥がさずに塗装していて塗膜が剥がれている建物が有りました。街の屋根やさんでは、モニエル瓦の塗装工事の際には入念な高圧洗浄の後、スラリー強化プライマーを使い、塗装を行っております。

2.スラリー強化プライマーで下塗りを行い、ガムテープでスラリー層の粘着テストを行います。
3.スラリー層がテープに着いてこないようなら、中塗りと上塗りに入ります。スラリー層が剥がれてしまったら、再度、スラリー強化プライマーを塗布し、粘着テストに合格してから中塗りと上塗りを行います。


セメント瓦屋根・モニエル瓦屋根の漆喰詰め直し
セメント瓦屋根やモニエル瓦屋根にも漆喰が使われており、それが剥がれてきた場合には漆喰詰め直しを行わなければなりません。
2.セメント瓦屋根やモニエル瓦屋根は漆喰の他、釘も併用して固定されています。釘が浮いている場合は打ち込みます。


セメント瓦屋根・モニエル瓦屋根の棟瓦取り直し

現在では漆喰を除去してハイロールを使った棟瓦取り直しが一般的になりつつあります。 漆喰に較べるとハイロールはかなり軽量で、40mの棟瓦に使用すると約650kg屋根の軽量化が可能です。 耐震性が向上へ大きく寄与するだけでなく、棟瓦のずれや崩れに対しても強くなり、耐用年数も長くなるのでお勧めです。


セメント瓦やモニエル瓦にアスベストは使われているの?
2004年以前製造のセメント瓦はアスベストを含み、モニエル瓦は一切使用されていません。

2004年以前製造のセメント瓦はアスベストを含み、モニエル瓦は一切使用されていません。
セメント瓦やモニエル瓦は主原料がセメントで、その屋根材としての性質もスレート ( カラーベスト・コロニアル ) に近いと言われています。 スレートと同様に2004年以前に製造されたセメント瓦にはアスベストが使われていました。使われていたアスベストは非飛散性のレベル 3 のものであり、破壊しない限り、アスベストが飛散することはありません。 廃棄や処理に関しても特別管理産業廃棄物にあたらず、石綿含有産業廃棄物(非飛散性アスベスト)として処理されます。

セメント瓦とモニエル瓦の現状
一時期は市場に受け入れられたセメント瓦とモニエル瓦ですが、メンテナンスとして漆喰詰め直しや棟取り直しだけではなく、屋根塗装も必要ということで徐々に人気は下降し、現在では製造・販売を行っているところも少なくなりました。セメント瓦については製造・販売を行っているところはありますが、モニエル瓦に至っては日本市場から完全に撤退し、極めて手に入りにくい状態です。こうしたことから現在では一枚単位での交換、補修等も難しい状況なのです。

モニエル瓦はほぼ手に入らない状態
モニエル瓦は外資系の日本モニエル(株)が製造・販売を行っていましたが、2010 年に日本市場から完全に撤退してしまいました。この時、在庫は豊富に残されていたらしいのですが、ある出来事をきっかけにほぼゼロになってしまいました。2011 年 3 月に起こった東日本大震災です。倉庫に保管されていたモニエル瓦は地震によって崩れたり、落下してしまい、ほぼ全部が割れてしまったそうです。そのため、新品では手に入りにくく、中古でもかなり希少な製品です。


屋根材自体が寿命を迎えてしまっている可能性が高い

これまで塗装しか行ってこなかった場合、屋根材に異常がなくても防水紙や下地が傷んでいる場合がある

長い目で見ると、葺き替えのほうがコストが安くなる可能性が高い

屋根材自体が寿命を迎えてしまっている可能性が高い

これまで塗装しか行ってこなかった場合、屋根材に異常がなくても防水紙や下地が傷んでいる場合がある

長い目で見ると、葺き替えのほうがコストが安くなる可能性が高い

セメント瓦・モニエル瓦の「葺き替え工事」によるリフォーム事例
私達、街の屋根やさんはセメント瓦・モニエル瓦屋根の「屋根葺き工事」によるリフォームに関しましても豊富な実績を持っております。
下記の「T様よりご依頼頂いたセメント瓦の屋根葺き替え工事事例」もぜひご覧ください!
●セメント瓦屋根の屋根葺き替え工事をご依頼いただいたT様
【Before・After】
注意!セメント瓦・モニエル瓦にはカバー工法はできません!
屋根リフォームには葺き替えの他に、現在の屋根材に重ねる形で新しい屋根材を新設する屋根カバー工法というリフォームがあります。



屋根葺き替えはコスト面でも本当にお得!?
前述の屋根葺き替えをお勧めする理由として、「長い目で見ると、葺き替えのほうがコストが安くなる可能性が高い」と書きましたが本当なのでしょうか?具体的なコストを出しながら見てみましょう。 例えば、現在築 30 年のご自宅にお住まいだったとしましょう。 ご家族の計画ではまだ20年以上はお住まいになる計画をお持ちだったとします。現時点ではまだ塗装ができる状態だったと仮定して考えてみましょう。

葺き替えるなら軽量な金属屋根がおススメです

「塗装を行いたくても寿命を迎えてしまっている」「カバー工法はできない」 となると、残るリフォーム方法は屋根葺き替えとなるわけですが、葺き替えをすると新規屋根材を考える必要が出てきますよね。
費用、見た目の好み、耐久性など様々な観点から決定していくことになりますが、街の屋根やさんでは屋根の軽量化を図ることをお勧めします。
例えばセメント瓦やモニエル瓦は 1 坪あたり50枚程度の屋根材が葺かれており、重さで言うと150kg弱ほどの重量があります。当然お住まいの最上部に重心があるため地震が発生した際には大きな揺れを伴います。
一方で軽量な金属屋根の場合、同じ 1 坪当たりの重さは 20kg 弱程度と 1/8 程度の重さであることからお住まいの耐震性を高めてくれる結果となります。屋根を一新することに加え、耐震性も向上させてくれることにも繋がるんですね。




セメント瓦とモニエル瓦、最適なメンテナンス方法のまとめ
●粘土瓦と違い、セメント瓦とモニエル瓦は塗り替えのメンテナンスが必要です。●外観が非常に似ているセメント瓦とモニエル瓦ですが、小口 ( 瓦の上端や下端 ) で見分けることが可能です。小口がすっきりしていればセメント瓦、ゴツゴツしていればモニエル瓦です。
●外観が非常に似ているセメント瓦とモニエル瓦ですが、屋根塗装の仕方は大きく違います。しっかりと見分けることができて、それぞれの塗装の仕方を知っている業者に頼みましょう。
●セメント瓦とモニエル瓦にぱ漆喰の詰め直しと棟の取り直しといったメンテナンスも必要です。
●セメント瓦とモニエル瓦の多くは製造中止となっています。特にモニエル瓦は在庫がなく、非常に手に入りにくい状態です。
●在庫不足などで今後はどんどんメンテナンスしにくくなっていきます。そのお家に何年も住むのであれば、屋根葺き替えを検討しましょう。
●セメント瓦、モニエル瓦には屋根カバー工法は行うことはできません。
●葺き替えには軽量な金属屋根等がお勧めです。
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