あなたの屋根はどの形状(シェイプ)
普段、生活する上で屋根の形を気にすることはあまりないと思います。ちょっと街を歩いてみましょう。ご近所を散歩するだけで、様々な形、様々な材料の屋根があることが分かります。
カッコイイ屋根、素敵な屋根、オシャレな屋根、かわいらしい屋根、ユニークな屋根、実に様々です。神社・仏閣ともなれば荘厳なものが多いですし、文化財に指定される建物では歴史の重みと風格を感じさせます。
貴方はどんなデザインがお好みでしょうか。ここでは屋根を形状別にご紹介いたします。
屋根の形を一挙ご紹介
よく言われる「三角屋根」がこの形です。「ウチはこの屋根」という方も多いのではないでしょうか。シンプルで施工もしやすく、最も普及している形です。和風でも、洋風でも似合うこともよく見かける原因でしょう。
屋根の頂点など面と面が合わさる部分を「棟」と呼びます。その棟を四方から中央に寄せているから寄棟です。こちらもよく見かける形です。構造的に頑丈で、切り妻と屋根の総面積が同じでも、各面の面積が小さくなる(切り妻は2面、寄棟は4面)ため、風圧に対しても強いのが特徴です。
正方形の建物に多い屋根で、形はピラミッド型をしています。屋根の全ての面が同じ形になるのが特徴で、寺院などに見られる建物が六角形、八角形の屋根も方形と呼びます。六角形、八角形の建物の屋根は他の呼ばれ方をすることもあり、上から見て六角形ならば「六注」、八角形ならば「八注」になります。
勾配(傾斜)がなく、平坦な形状から陸屋根と呼ばれます。形状から分かるとおり、屋上を設けるのに最適な屋根の形です。屋上のあるお住まい、一度は住んでみたいですよね。排水性が悪いので、定期的に防水工事をしてあげないと雨漏りに繋がりますので、しっかりメンテナンスしてあげてください。
屋根はいくつかの面で構成されることがほとんどですが(陸屋根を除く)、一面で構成される形状です。文字通り、雨水なども片側に流れます。方角がよければ、太陽光を利用した機器、発電パネルや温水器などを多く設置し、効率よく運用できるでしょう。エコな屋根です。
その形が招き猫の前足に似ているので招き屋根です。切り妻のように屋根頂点が建物の中心にあるわけではなく、片側に寄っており、片面の屋根が短い形状です。これもまた片流れのように方角がよければ、太陽光を利用した機器を数多く運用できるメリットがあります。
伝統でいうと寄席棟よりは切り妻の方が格式は高く、それよりも高いのが入母屋とされています。最も格式が高い屋根の形状で、京都の桂離宮などが有名です。小さい切り妻の下に寄棟を合体させたような形状で、切り妻から続く屋根は途中で角度が変わることなく、軒先まで続きます。
入母屋と形状は似ていますが、切り妻から続く屋根の角度が途中で変わり、緩い勾配となります。京都御所の紫宸殿、大阪の四天王寺金堂の二重目屋根が有名です。錣とは兜や頭巾などの下部に付けられた布や縅の覆いことで、後頭部を保護する役目を持っています。形状が似ていることから名称の由来となりました。
屋根の上に縦方向も、横方向も、小さい二階部分を載せたような形状です。この小さい二階部分は屋根舎と呼ばれ、換気、採光などの目的で設けられています。このように屋根舎を設けた屋根は比較的、大きな建物で採用されることが多い屋根です。小さい屋根舎がかわいらしく感じられます。
切り妻や招き屋根の頂点の位置をずらして合わせたような形状になります。片流れのように一面しかない下屋(一階部分の屋根)も差し掛けと呼ばれることがあります。ユニークな形の屋根で以前、街中で差し掛け屋根のお住まいを見つけた時、そのお庭には恐らくDIYで造られた同じ差し掛け屋根の犬小屋があり、大変ビックリしました。
切り妻の棟の両端が垂直ではなく、斜めになったものです。切り妻を途中から寄棟にしたような形状にも見えます。法的な制約(道路斜線や日影規制など)から使われることが多いと言われていますが、そのような規制がない場所でも見かけることがあります。洋風のデザインのお住まいに用いられることが多い屋根です。
切り妻や片流れを反対にしたような屋根です。蝶が羽ばたいている様子を思い起こさせるのでバタフライと呼ばれています。積雪地帯では落雪を防ぐためにこのような形状の屋根が見受けられます。内勾配なので建物の中心付近に水が溜まりやすく、定期的な点検とメンテナンスが必要になります。
片流れの建物を連結させたような形状で、ちょうど鋸の刃のような形状になります。屋根の上端と下端の間の壁に採光用の窓や開口部を設けられるので、工場などの大きな建物に採用されていました。工場のアイコンやピクトグラムではこの鋸屋根と煙突の組み合わせが定番ですよね。
切妻を連結させたような形状で、そのまんまM字型の屋根です。中央部分が内勾配になるので建物の中心付近に水が溜まりやすくなるため、定期的な点検とメンテナンスが必要になります。そのためかあまり見かけることはありません。見かけたらラッキーかもしれません。
寄棟の屋根勾配を途中で急角度に変えた屋根です。ギャンブレル屋根とよく混同されますが、こちらはほとんど見かけません。17世紀のフランスの建築家フランソワ・マンサールが考案したといわれています。屋根の下端には水が溜まりやすいので、このような形状はメリットがあると考えられます。
切妻の屋根勾配を途中で急角度に変えた屋根です。屋根の面の中央付近で角度が変わることから腰折れ屋根とも呼ばれたり、将棋の駒に似ていることから駒形切妻屋根と呼ばれたりします。ログハウスや北海道の牧場で見かけることができます。屋根の下端には水が溜まりやすいので、このような形状はマンサード屋根と同様、メリットがあると考えられます。
半円、かまぼこの形状をした屋根です。半径を表すRadiusの記号のRを取って、R(アール)屋根とも呼ばれます。体育館など大型の建物に見られる形状です。屋根の下端に行くほど勾配がきつくなるので水切れは良いのですが、頂上付近は傾斜が少ないので定期的な点検とメンテナンスが必要です。モダンなデザインの屋根です。
一階部分は片流れ、二階部分は切妻など複数の形状の屋根を持つ建物もあります。何と呼んだらよいのか迷いますよね。この場合、一番重要な部分、最上階(大屋根)や一番面積の広い屋根の形状で決まることが多いようです。もちろん、屋根リフォームや屋根工事をする場合は間違いがないように「建物南側○○部分・切妻」と図面などに書き込み、誤解が発生しないよう万全を期します。
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