屋根がセキスイかわらUで適切なリフォームが分からない方へ
見た目が同じ、しかし非常に頑健な製品もあれば、とても脆いものがあるという屋根材「セキスイかわらU」です。頑健な製品と脆い製品ではメンテナンス方法も違い、それが消費者を悩ませる結果となっています。脆い製品はもちろんのこと、頑健な製品でも販売終了から30年近くが経過していますので、屋根カバー工法や屋根葺き替えなどのメンテナンスが必要な時期に来ています。
【動画で確認「セキスイかわらU」】
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頑健なものと脆いものが存在するセキスイかわらU
1970年から2007年まで販売され続けたロングセラーの屋根材でもあり、全国で50万棟以上に使用されたベストセラー商品でもある「セキスイかわらU」。
セキスイかわらUは瓦を本物の粘土瓦ではなく、瓦を模した圧型スレート(セメント瓦)で、屋根リフォーム用を目的に作られた屋根材でした。1㎡あたりの重さは約13kgで金属屋根、スレート(カラーベスト・コロニアル)の重ね葺き(屋根カバー工法)や屋根葺き替えに用いられたのです。
本物の瓦と同じような形状も魅力的でした。セキスイかわらUには頑健なものと脆いものが存在し、それがお客様の頭を悩ませる結果となっています。
脆いセキスイかわらUに見られる経年劣化
1.塗膜が剥がれる
塗膜が剥がれ、白い下地(基材)が露出するという現象が発生してしまうセキスイかわらU。塗膜が剥がれること自体は通常の劣化でも起こりえることだが、発生するまでの期間が普通の屋根材に較べて以上に短い。
また、このような状態のセキスイかわらUに屋根塗装をしても、すぐに塗膜が剥がれてしまうので、塗装は不可能というか、しても無意味なものになってしまう。塗膜が剥がれたところから雨水が染み込むことにより、健全な部分にも悪影響を与え続け、基材の劣化も加速させる。
2.ひび(クラック)が入る・割れる
物理的な衝撃を与えたわけでもないのに基材にひびが入り、割れてしまう現象が起こる。画像のようにさまざまところから割れてきてしまうので、補修をしても追いつかない。厄介なことにセキスイかわらUは「塗膜が剥がれる」などの現象がなく、表面が綺麗なのになぜかクラックが入り、割れているケースも多数存在する。
中には割れるというよりも、細かく砕けるという表現が適切なもの存在する。このまま放置すれば、間違いなく雨漏りへと発展する。いつ間にかひびと割れが進行していて、雨漏りがはじまってからかわらUの異常に気付いたということも多い。
3.屋根材自体が崩れてくる
水分が滞留しやすい屋根材の端からボロボロと崩れてくる、剥離と剥落を繰り返すという症状。塗膜と基材がともに崩れてきて、白い基材が剥き出しになってしまうこともある。
セキスイかわらUのこの病状は同じノンアスベストの屋根材であるパミールと非常によく似ている。放置すれば、崩れてきた屋根材は雨樋へ落ちることがほとんどなので、屋根が見にくい、見えないお家では発見しづらい。
脆いセキスイかわらU全般に言えることだが、屋根にのぼると確実に踏み壊してしまいます。屋根が気になっても絶対にのぼらないでください。
セキスイかわらUに頑健なものと脆いものが存在します。
心配な方は一度ご確認を!
そもそも何故、頑健なものと脆いものが存在するのでしょうか。これはロングセラー商品の宿命とも言える時代の変化と環境対応が関係しています。
セキスイかわらUの販売が開始されたのは1970年でした。この頃はアスベストに対する規制も緩く、セキスイかわらUもアスベストを10~15.7%含有されたものが販売されていました。
業界でいち早くアスベスト問題に取り組んだのが積水化学工業であり、1990年8月には他社に先駆けてノンアスベストのセキスイかわらUを販売したのです。この取り組みは立派だったものの、試験や実績も不十分だったためか、前述のような結果を引き起こすこととなったのです。
ノンアスベストへ切り替えられた際に問題が起こってしまった屋根材というのはセキスイかわらUだけでなく、他にも存在します。
ご自宅の屋根がどのようなものなのか、その詳細までは分からないという方もおられるでしょう。
屋根リフォーム時の図面や仕上げ表、保証書を保存している方は一度、メーカーと製品名をご確認ください。保証書ならば、施工された年月も特定できるはずです。その年月によってセキスイかわらUがアスベスト含有のものなのか、ノンアスベストのものなのかを判別することも可能です。
図面や仕上げ表、保証書もなく、ご自宅の屋根材が不明で心配という方は専門業者に相談してみましょう。街の屋根やさんでは建物の無料点検を行っています。頑健なセキスイかわらUなのか、そうでないのかをご報告し、今後のメンテナンスもアドバイスいたします。他の問題のある屋根材に対しても、今後、どうしたら良いのかをご提案いたします。
セキスイかわらUの最適なリフォーム方法
アスベストの有無によってリフォーム方法が異なります!
現在、セキスイかわらUを使用している屋根は大きく分けると3つのパターンがあり、製造年月日によって大別することができます。
1990年8月以前のアスベスト含有のセキスイかわらUで葺き替えられた屋根
1990年9月以降のノンアスベストのセキスイかわらUで葺き替えられた屋根
1990年9月以降のノンアスベストのセキスイかわらUで屋根カバー工事された屋根
アスベスト含有のセキスイかわらUは塗膜の剥がれや屋根材の割れなどが極めて発生しにくいのですが、製造・販売が1990年8月のものでも既に28年の歳月が経過しようとしています(2018年現在)。アスベスト入りの建材はいずれも耐久性が高いと言われていますが、この頃のセキスイかわらUもさすがにそろそろ寿命です。
今回は屋根塗装できたとしても、次はできないでしょうから、この先のコストと安心感を考えれば屋根葺き替えが正解です。
ちなみに、大手塗料メーカーの日本ペイントではセキスイかわらUに対して「塗装不可」としています。これはアスベストの有無を見た目で判断しにくいことが原因と考えられます。
1. 1990 年8 月以前のアスベスト含有のセキスイかわらU で葺き替えられた屋根の施工事例
セキスイかわらUからアスファルトシングルのオークリッジスーパー屋根葺き替え
「瓦が落下してきたので不安になり、屋根を調べたらセキスイかわらUが使われていた」というお客様です。詳しい話を聞くと「お家は中古で手に入れたもので、どのような経緯でかわらUになったかは分からない」とのことでした。いろいろとネットで調べたそうで、「セキスイかわらUは評判が悪いから、アスベストの有無に関わらず、新しい屋根に葺き替えたい」とのことです。
点検時の様子
屋根を見る限り、かわらUにはアスベストが含有されているもののようです。塗膜の剥がれも顕著じゃありませんし、ひび割れも発生していません。落下してきたかわらUは庭先に保管されていました。ひび割れて落ちてきたそうですが、かなり綺麗です。
アスベスト含有のかわらUもそろそろ寿命が近付いてきているのではないでしょうか。こちらのお家はまだ深刻なトラブルは出ておりませんが、塗膜の剥離がはじまっているところもあります。「このような病状が出ている」、「瓦が落ちてきた」という事実を見れば、ここで屋根を刷新しておくのが正解でしょう。
セキスイかわらUを撤去し、屋根葺き替え工事
かわらUを撤去し、屋根を強くするために野地板を貼り増しします。幸いなことに雨水の浸入した跡などは見られませんでした。防水紙(ルーフィング)に穴や破れ、裂けといった劣化もみられません。下地が健全なうちに屋根リフォームすれば、それだけ料金もかからないことになります。
防水紙を敷設していきます。防水紙は雨漏りを防ぐ要で、軒先から棟、つまり屋根の下方から上方に向かって敷き込んでいきます。ピンク色の袋の中にはこれから使う屋根材、アスファルトシングルのオークリッジスーパーが入っています。
アスファルトシングルの特徴として表面にグラデーションがかかっていることが挙げられます。とても趣きのある屋根材です。アスファルトシングルは釘と専用接着剤で固定していきます。画像のようにしっかり接着しておけば、風による被害も受けづらくなります。
アスファルトシングルのオークリッジスーパーによる屋根葺き替え完成
セキスイかわらUからアスファルトシングルのオークリッジスーパーへの屋根葺き替えが完了しました。前と雰囲気ががらりと変わりましたね。かわらUも撤去しましたし、これで普段も、悪天候時も安心して過ごせると思います。
ノンアスベストのセキスイかわらUで葺き替えられた屋根は屋根塗装が不可能なので、屋根葺き替えをしましょう。
前述の通り、ノンアスベストのセキスイかわらUは非常に脆弱であり、屋根塗装によるメンテナンスは不可能です。よって、屋根材をそっくり取り替える屋根葺き替えをするしかありません。
セキスイかわらUは瓦のような形状をしながらも、同じ材質のスレート(コロニアル・カラーベスト)よりも軽量です。より軽い金属屋根材を使えば、耐震性も高まります。
業者によっては金属屋根材による屋根カバー工法を勧めてくるところもありますが、これからのことを考えると屋根葺き替えの方が安心です。
2. 1990 年9 月以降のノンアスベストのセキスイかわらU で屋根葺き替えされた屋根の施工事例
かわらUから立平葺きの金属屋根へ。
かわらUを撤去し、ガルバリウム鋼板で属屋根葺き替え
見えないし、見難い屋根と言っても、普段はそれなりに信頼して暮らしている方がほとんどだと思います。お客様は「以前にお手入れしてから、結構な年月が経ってしまったので点検を」と軽い気持ちでご依頼されたそうですが、点検時の画像を見せたらセキスイかわらUの劣化に絶句していました。『お部屋などに雨漏りなどの異常はないですか』とお伺いしたところ、「まだ雨漏りしたことはない」ということです。
アスファルトシングルのオークリッジスーパーによる屋根葺き替え完成
もともとの色が分からないくらい色褪せており、なおかつ塗膜が剥がれ、崩れ出すというかわらUの典型的な不具合です。梯子をかけて屋根の上にのぼろとしましたが、踏み壊してしまうのは確実なので、断念しました。これを見る限り、お家の中は雨漏りなどの異常がないということが信じられません。
アスファルトシングルのオークリッジスーパーによる屋根葺き替え完成
まずはかわらUを撤去します。汚れてはいますが、意外なことに防水紙に異常はありません。その下の野地板の傷みもないというのには驚きました。当時、施工された方の腕が良かったのでしょう。この状態ならば雨漏りしていないことも納得できます。幸運なケースです。
防水紙の上から新しい野地板を張り増ししていきます。こちらも以前、施工された方に負けないような工事をしなければなりません。隙間無く張り、しっかりと固定していきます。
防水紙を敷いていきます。こちらは屋根の軒から棟に向かって設置していきます。防水紙同士が重なる部分をつくって、野地板への浸水を防止します。改質アスファルトの防水紙なので、これまでのものより耐久性があります。
ガルバリウム鋼板を立平葺きにて設置しました。立平葺きとは金属だけで屋根を葺いていく方法で、凸部を折り曲げ加工して固定していきます。構造上、雨漏りのリスクが最も低いと言われる葺き方です。ガルバリウム鋼板を葺き終わりましたら、棟板金を設置します。貫板は耐久性を考慮し、樹脂製のものを使用しました。
かわらUからガルバリウム鋼板の金属屋根への葺き替えが完了しました。かわらUのまま、梅雨や秋雨の時期に突入していたら、間違いなく雨漏りしていたでしょう。雨の日でも安心して過ごせる屋根になりました。定期的に屋根塗装してあげることにより、金属屋根の寿命を延ばすことも可能です。
前述の通り、ノンアスベストのセキスイかわらUは非常に脆弱であり、屋根塗装によるメンテナンスは不可能です。
経年でひびと割れが発生し、ボロボロになって屋根材としての機能を果たせなくなるので、屋根葺き替えに使われていた場合も、屋根カバー工法に使われていた場合も、セキスイかわらUを撤去しなければなりません。その後、違う屋根材で屋根葺き替えか屋根カバーを行います。
業者によってはセキスイかわらUで屋根カバー工事がされている屋根に、さらに金属屋根材で屋根カバー工事を勧めてくるによるところもあります。こうなると、屋根が三重になってしまい、重量がさらに増します。地震時の危険性を増大させてしまうので絶対にお勧めできません。
3. 1990 年9 月以降のノンアスベストのセキスイかわらU で屋根カバー工事された屋根の施工事例
かわらUを撤去したスレート屋根に金属屋根「横暖ルーフプレミアム」でカバー工事
雨漏りを起こしていたのはスレート屋根をセキスイかわらUで屋根カバー工事したものでした。まずはかわらUを撤去し、その後、改めてスレート屋根にガルバリウム鋼板で屋根カバー工事を行います。
点検時の様子
表面のセキスイかわらUは塗膜の剥がれの他、ひびや割れが目立つ状態で、雨水がその下へ染み込んでいる状態です。小屋裏にも雨染みが確認できました。お部屋にも雨漏りしているということなので、それを屋根リフォームで解消します。
かわらUを撤去し、カバー工法を施工
まずは現在の屋根材であるかわらUを全て撤去いたします。幸いにもアスベストが含まれていない製品でしたので、解体費と処分費も抑えることができました。こちらのお家はもともとスレート屋根で、セキスイかわらUで屋根カバー工事をされていました。かわらUを取り除くと防水紙が現れ、防水紙を剥がすとスレート屋根が現れました。
そのスレート屋根の上に防水紙を貼っていきます。実質的にお家への雨水の浸入を防いでいるのはこの防水紙です。屋根材によっても違いはありますが、横殴りの雨などは表面の屋根材の隙間からその下へ浸入してしまうこともあり、屋根の下への浸入を防いでいるのは防水紙なのです。防水紙の敷設が終わりましたら、金属屋根材を葺いていきます。今回、お客様がお選びになったのは「横暖ルーフプレミアム」です。断熱材と一体化している屋根材で裏面に備え付けられウレタンフォームが高い断熱性と遮音性を実現します。
金属屋根によるカバー工法完成
屋根材の設置が終わりましたら、棟板金を設置して屋根カバー工事は終了です。これで今後、数十年は安心して生活できます。雨漏りに悩まされることもないでしょう。保証期間内は街の屋根やさんが定期的に点検に訪れますので、これからもよろしくお願い致します。
アスベストの有無によって撤去費・処分費が変化します
アスベストを含有している屋根材の場合、含有していないものに較べるとその撤去費・処分費は割高になります。屋根材の他、各種建材を処分する場合、ノンアスベストということを証明することを求められる場合もあります。
街の屋根やさんではノンアスベストのセキスイかわらUを撤去する場合、「セキスイかわらゼロアスベスト証明書」をメーカーから取得し、その費用の削減しております。この証明書を取得するには、屋根材の刻印・屋根全体・ひび割れ等の写真が必要です。
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