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バルコニー・ベランダや陸屋根(屋上)で人気があるウレタン防水とは?特徴や選ばれる理由について徹底解説!

バルコニー・ベランダや陸屋根(屋上)で人気があるウレタン防水とは?特徴や選ばれる理由について徹底解説!

 一般的なお住まいの屋根には傾斜があり、雨水がスムーズに流れるようになっています。しかし、バルコニー・ベランダや陸屋根などは傾斜がなく平らなため、防水工事が欠かせません。防水機能が衰えていると雨漏りのリスクは高まります。定期的にメンテナンスをしなければならない場所です。
 近年注目されつつある狭小住宅では、お庭のようにバルコニーでガーデニングを楽しむケースも増えています。安心して快適に使うためには、防水工事の必要性をきちんと把握しておくことが大事です。
 今回は、新築・リフォーム両方で人気の高い「ウレタン防水工事」について、特徴や選ばれる理由、そしてメンテナンス方法をお伝えしていきます。

【動画で確認「ウレタン防水」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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防水工事はなぜ必要?

 「防水工事はなぜ必要なのだろう?」という疑問を抱いたときには、まずは雨漏りが起こる理由を知るようにしましょう。
 防水メンテナンスと「住まいの雨漏り」は深く密接しています。適切なタイミングで防水メンテナンスができていれば雨漏りは起こりません。つまり、雨漏りが起こるのは防水性が劣っている状況です。

屋上の防水層が捲れ雨水が室内に浸入 多量の雨水が室内に浸入天井や壁に雨染みが発生

雨漏りが発生する3つの条件

1.水が存在している

2.水が通れる隙間がある

3.水を移動させる力が働いている

 この3つの条件の1つでもクリアできれば雨漏りを防ぐことが出来ます。一般的な屋根には勾配(傾斜)があり、降った雨は下に向かって流れます。屋根から伝ってきた雨水や吹き付ける雨が外壁にかかっても、浮きや腐食のような経年劣化がなければ、ふだんの雨水に耐えることができます。

勾配あり 雨水がすぐに流れ落ちるので雨水が滞留しない

勾配なし バルコニー・ベランダや陸屋根は勾配がないので雨水が滞留しやすい

 一方、バルコニー・ベランダや陸屋根には、ほとんど勾配がありません。雨水が滞留しやすい部位なので、必然的に雨漏りのリスクも高まります。
 また、洗濯物干しやガーデニングなどで歩行することも多い場所です。防水層が刺激を受けていくうちに、耐久性が弱まっていきます。そのため、雨水を浸入させないように強靭な防水工事が求められます。

雨水を浸入させない且つ強靭な防水工事のメンテナンスが大切です!

雨漏りが起きてしまったら…!?どんな補修が必要?

 防水層が劣化すると雨漏りが起きる可能性は高まります。メンテナンス不足で雨漏りが起こるとどんな補修が必要なのでしょうか?
 雨漏りの程度によって状況はさまざまですが、「雨がポタポタと垂れる」「天井や壁に黒ずんだ染みができる」「クロスの剥がれ」などの症状が見られるようになります。お客様のなかには「とりあえず雨がポタポタ垂れないようにしてほしい」「クロスの張り替えをしてほしい」など、室内側の雨漏りを食い止める処置を希望されるケースがあります。
 しかし、そもそもの「雨漏り発生箇所」が分からないことには、根本的な解決にはなりません。それでは、どんな補修をすればいいのでしょうか?

1. 陸屋根で発生した雨漏りによる被害とは?

 勾配がほとんどない陸屋根の場合、一般的な屋根とは違った雨漏り症状が起こります。勾配のある屋根は頂上から軒先に向かって流れる仕組みのため、軒天付近に雨染みが見られるでしょう。そのため、室内への被害は最小限で済むかもしれません。
 一方、勾配がほとんどない陸屋根は、防水層の劣化による雨漏りが起こると、ダイレクトに室内全体に広がる可能性があります。また、通常の屋根の雨漏りと同じように、電気設備に水分がかかることで漏電やショート、天井の構造材や仕上げ材の腐食を起こしてしまいます。

雨漏りでボロボロに腐蝕した床下地

防水面がひび割れ多量の雨水が室内に浸水

陸屋根のメンテナンスについて詳しくはコチラ

2. ベランダ・バルコニーで発生した雨漏りによる被害とは?

 ベランダやバルコニーが原因で雨漏りが発生することもあります。真下に部屋があれば、陸屋根と同じような雨漏り被害が室内に見られるでしょう。
 また、外壁よりも突き出たタイプのベランダやバルコニーの場合、真下に部屋がないため室内への雨漏り被害はそれほど心配する必要はありません。ただ、ベランダやバルコニー自体の耐久性が衰えることになるので注意しましょう。
 特に注意したいのが「腐食」です。雨水がその場でずっと留まることで腐食が起きれば、耐久性は自ずと低くなり危険です。ベランダやバルコニーは歩くことを前提としている箇所なので、腐食により危険のないようにしっかりとメンテナンスをおこないましょう。

気ずきづらいベランダの雨漏り構造躯体に黒カビが発生

雨の浸入により天井のクロスが浮いている状態

 雨漏りをしている状態で補修せずにいれば、防水層だけでなく下地や構造部分、電気配線、内装材まで被害が拡大します。「雨漏りを起こさないように防水工事を行う」ことはもちろん大前提ですが、防水工事が終わっても防水効果が弱ってきたら適切なメンテナンスをしていくことが大事です。
 木造住宅では、雨漏りによるシロアリ被害に注意しなくてはなりません。住まいの主要木材に雨水が浸透すると、シロアリが好んで食べるようになります。シロアリに食べられた木材は耐久性が低下し、安心して住めなくなるでしょう。そうなる前に、防水工事で雨漏りが起こらないように対処しておくと安心です。「雨漏りが拡大して内装補修までする」よりも、防水工事だけで終わる方が費用も安く済みます。適切なタイミングでメンテナンスをしましょう。

防水工事の流れについて詳しくはコチラ

防水工事の種類とは?

 一般住宅では、「軽量・優れた耐久性」という特徴がある次の3種類の防水工事が施されるケースが多いです。

1. FRP防水

FRP防水

ガラス繊維と不飽和ポリエステル樹脂で軽量で摩耗・衝撃に強い防水層を形成

ガラス繊維(補強材)と不飽和ポリエステル樹脂の組み合わせで形成される防水層は「軽量」「摩耗・衝撃に強い」という特徴があります。
塗膜防水で継ぎ目がなく綺麗な面の仕上がりです。
速硬化性のため、短い工期での施工ができます。近年の新築で多く採用されています。
ウレタン防水とよく似ていますが、FRP防水の方が堅い手触りで凸凹が細やかです。

2. シート防水

シート防水

短期間・低コストでの施工や機械固定工法で下地の影響を受けない施工も可能

ゴムシートや塩ビシートを張り付けるだけなので、短い期間・低コストでの施工が可能となります。
紫外線や熱に強い特徴があります。下地に適応しやすいので、ALC外壁の住宅ではよく使われています。
機械固定工法(絶縁工法)で下地の影響を受けずに施工することも可能です。

3. ウレタン防水

ウレタン防水

液状のウレタン樹脂を均一に塗り低コストで継ぎ目がない綺麗な防水層を形成

液状のウレタン樹脂を均一に塗る方法で低コストでの施工が可能となります。継ぎ目がなく、防水層の仕上がりが綺麗です。
凹凸がある複雑な形状でも、塗料なのでしっかりとなじんだ施工ができます。
FRP防水と似ていますが、ウレタン防水の方が弾性があって柔らかい表面です。

ウレタン防水工事が選ばれる理由

 3つの防水工事のうち、FRP防水は「衝撃に強い」、シート防水は「紫外線に強い」という特徴が魅力に感じるかもしれません。でも、ウレタン防水にも魅力があり、一般住宅の防水施工でも選ばれることは多いです。どんなポイントで選ばれているのでしょうか。

1. 施工価格が安い

ウレタン防水

 ウレタン防水が選ばれる理由として大きいのは「低コスト」であること。バルコニー・ベランダなら10㎡程度なので他との価格差はあまり感じないかもしれませんが、陸屋根のように広いスペースに施工するときには、ウレタン防水の低コストは魅力ポイントと言えるでしょう。それに、他の防水方法と比べても極端に耐久性が弱いこともないので心配はいりません。

種類 単価(㎡) 耐用年数 工期
FRP 約4,000~8,000円/㎡ 12~20年程度 1~2日
ウレタン 約3,000~7,500円/㎡ 10~14年 3~10日
塩ビシート 約3,500~7,500円/㎡ 10~20年 1~4日
ゴムシート 約2,500~7,000円/㎡ 10~15年 1~4日

2. 複雑な場所にも施工できるのは“塗料”だからこそ

塗料なので複雑な場所にも施工可能

 ウレタン防水工事は、液体の塗料を使った施工です。そのため、凸凹があるような複雑な場所でも施工ができます。既存の防水層の上に重ねて塗っていくことができるのも、塗料ならではのメリットです。
シート防水も立ち上がりに施工することができますが、シートですから継ぎ目が発生します。シートの継ぎ目がめくれた場合、剥がさなければ、さらにめくれてしまいます。
 ウレタン防水は、シート防水のように継ぎ目がないため、「剥がれ」や「捲れ」の心配は不要です。上から重ね塗りができ、撤去や処分に費用がかからないのもメリットです。

防水塗料ウレタン樹脂の素材ポリウレタンは身近な物に利用されています

防水塗料ウレタン樹脂の素材ポリウレタンは身近な物に利用されています

3. 柔軟性があってひび割れを起こしにくい

防水塗料ウレタン樹脂の素材ポリウレタンは身近な物に利用されています

 ウレタン防水の塗料に使われるウレタン樹脂は、ポリウレタンとも呼ばれるプラスチック素材です。洋服や接着剤、自動車のバンパーなど、私たちの身の回りにもよく使われています。
 柔軟性・弾性・耐衝撃性・防音性など、優れた特徴を持つポリウレタン。防水工事でも、ポリウレタンが持つ「柔軟性」は注目されています。建物が揺れるたびに防水層へも影響がありますが、ポリウレタンのように柔軟に伸び縮みする素材なら、ひび割れにも強いです。ひび割れが起きにくいため、防水層の雨漏り対策で活躍します。

高い柔軟性で防水層のひび割れを起こしにくくさせ雨漏りの発生を防ぎます!

 一方、FRP防水は硬膜のため、建物の動きに対する柔軟性がありません。次第にひび割れを起こし、雨漏りをするケースもあります。特に、施工面積が広範囲となる屋上やバルコニーには向いていない防水方法です。

ウレタン防水工事にはどんな注意点がある?

 コストパフォーマンスだけでなく、性能にも優れたウレタン防水。メリットがある一方で、デメリットもあります。バルコニー・ベランダや陸屋根の防水工事にウレタン防水を選ぶときに知っておきたい注意点をいくつかご紹介していきます。

1. 職人の腕によって仕上がりが異なる

 ウレタン防水工事は、塗料を塗り重ねて防水層を作るため、「誰が塗っても同じ」というわけではありません。塗る人の技術力によって仕上がりに差が出るでしょう。
 塗料は、主剤と硬化剤を混ぜたときの撹拌が不十分だと、硬化不良により防水性が低くなります。それに、傾斜がほとんどない防水面でも、雨水が滞留しないように排水口へと導くように塗っていく技術も必要です。3㎜程の厚みをキープしつつ塗り重ねるには、ウレタン防水工事の豊富な経験が問われます。
 一見簡単そうに思えるかもしれませんが、かなり難易度の高い工法なのです。

塗料を塗り仕上げていくウレタン防水は厚み3㎜で塗り重ねる技術と経験が必要です

2. 塗料の硬化に時間がかかり、工期が長くなる

 ウレタン防水工事は、塗料が硬化する時間が長いという特徴があります。雨が降ると施工が中断されますから、3~10日程と工期が延びることも多いです。
 硬化が早いFRP防水で一般住宅のバルコニー・ベランダを施工した場合は、1~2日ほどで完成します。

一般住宅のバルコニー・ベランダを施工する場合の施工日数の目安

ウレタン防水工事は騒音や臭いはある?

 防水工事をするときに、騒音や臭いで「近所に迷惑にならないだろうか?」という不安もあるものですよね。塗料を使った工事ですから、特に臭いの発生が気になるかもしれません。

工事時の騒音は高圧洗浄時と塗料撹拌時の一時的なものです

ウレタン防水工事の騒音は一時的

 ウレタン防水工事では、汚れを落とすときの高圧洗浄機の音、そして塗料を撹拌するときの音…というように、一時的な騒音しか発生しません。

ウレタン防水の臭いはほとんどない

 “無臭”とまではいきませんが、ウレタン塗料の臭いはほとんどありません。
 塗料の希釈時にシンナーを使う油性(溶剤)塗料が多いなか、水を使う水性防水塗料も現在では多いです。赤ちゃんやペットがいるご家庭では、塗料の臭いや成分が気になって工事に踏み切れないというケースもあるかもしれません。作業中は窓を閉めていただきますが、ご不安なときにはお気軽にご相談ください。

防水塗料ウレタン樹脂の素材ポリウレタンは身近な物に利用されています

防水塗料ウレタン樹脂の素材ポリウレタンは身近な物に利用されています

ウレタン防水工事の密着工法と通気緩衝工法どのような場合に使用するの?

ウレタン防水工事には、「密着工法」と「絶縁(通気緩衝)工法」という2つの施工方法があります。それぞれの工法の違いをご紹介します。

1. 密着工法

ウレタン防水工事の密着工法と通気緩衝工法どのような場合に使用するの?

 下地にウレタン樹脂塗料を塗っていくのが密着工法です
 ウレタン樹脂1層目を塗った後にメッシュシート(補強布)を張り付け、さらにウレタン樹脂2層目、そしてトップコートと仕上げれば、高い防水機能を持つ防水面が完成します。
 劣化した下地には向かない工法のため、新築や比較的新しい建物、劣化があっても雨漏りを起こしていない軽度な状態で採用されることが多いです。耐用年数は10~13年程度になります

密着工法の断面

2. 絶縁(通気緩衝)工法

 築年数が古い、雨漏りが発生しているケースで採用されるのが絶縁(通気緩衝)工法です。すでに雨漏りが起きて水分を含んだ下地の場合、密着工法では下地内の水分が蒸発するときに膨れを起こしてしまいます。防水層の下にある空気を排出させてから防水工事をしなければいけません。

築年数が経過しているお住まいや雨漏りや湿気など下地が水分を含んでいる場合に採用

 絶縁(通気緩衝)工法では、水分を含んだ下地の上にプライマーを塗り、通気緩衝シート(絶縁シート)と呼ばれる無数の穴が開いたシートを張りつけ、脱気盤(脱気筒)を設けます。下地に塗膜が密着しないようにするためです。シート部分に溜まった下地の水分や空気が脱気盤(脱気筒)から逃げていくことで、下地が膨れるのを防いでいます。絶縁工法の場合、防水層は完全に密着してはいないものの、軽歩行での影響はないのでご安心ください。
 下地の影響を受けづらく、耐久性にも優れています。耐用年数は15~20年ほどです

絶縁(通気緩衝)工法の断面

通気緩衝シート・絶縁シート

脱気盤・脱気筒

下地に含まれた水分は一時的にシート部分で溜まり 脱気盤(脱気筒)から逃がすことで塗膜の膨れを防ぎます!

ウレタン防水(通気緩衝工法)の事例を見る

ウレタン防水の経年劣化の症状とは

 雨漏りの引き金になるのがウレタン防水層の劣化です。雨漏りは室内まで被害が拡大するので、定期的にメンテナンスするのが理想的です。次のような経年劣化の症状が見られたら、雨漏りのリスクを減らすためにも早めに補修しましょう。

1. 表面にひび割れが見られる

 ウレタン防水層は、年数とともに表面にひび割れが起こってくるでしょう。太陽光で劣化しやすいウレタン防水層の表面はトップコートによって保護されています。トップコートだけに見られる「ひび割れ」なら、雨漏りの心配はありません。
 ただ、軽度なひび割れが拡大してウレタン防水層まで届き、防水層が露出した状態になると防水機能への影響が大きくなります。5年程度で塗り替えると安心です。

トップコートが劣化し防水層が露出してしまう前に塗り替えを行いましょう

2. 亀裂がある

 亀裂は、ひび割れよりも大きな傷です。防水層への影響も大きく、雨漏りを起こす可能性も高くなる症状です。
 施工後、わずか数年程度で亀裂が発生する場合は「下地処理が不十分だった」「下地に合っていない防水工法」「建物の揺れがひどく亀裂が起こりやすかった」などの原因が考えられます。建物の状態を見極めながら、補修方法を改めることが大事です。

雨漏りを起こしてしまう可能性があります

3. 防水層が膨れてきた

 防水層が膨れてくることがあります。下地が水分を含み乾燥していない状態で施工されたケース、雨漏りが起きている場合に見られる劣化です。膨れが発生した箇所は防水層が破れやすい状態になっていますので、絶縁(通気緩衝)工法で空気を抜くなどの処置が必要です。

下地に水分が含まれている場合に起こります

ウレタン防水のお手入れ方法とは?

 防水層が正しく機能するために必要なのは、ときどき状態をチェックすることです。しかし、ベランダ・バルコニーや陸屋根は傾斜がないため、土埃や枯葉が溜まりやすい場所。清掃が行き届かずに防水層の状態が分からないと、劣化を見逃すこともあります。定期的に清掃することで、不具合を早期発見しましょう。ウレタン防水の「お手入れ方法」をご紹介します。

1. 土埃や枯葉をいつも片付けておく

土埃・枯葉の片付け

 バルコニーやベランダには、土埃や枯葉などが溜まりやすいです。ただ、土や水、植物の種が知らず知らずのうちに蓄積すると、雑草やコケも発生します。雑草の根は力強く、防水層を破ってまで成長することも…。雑草やコケなどの植物を発生させないよう、表面のゴミは定期的に清掃しましょう。

土埃・枯葉の片付け

 排水口付近にゴミが増えると、水が流れにくくなります。まるでプールのように水が溜まり、防水層も傷むでしょう。また、防水層の立ち上がり部分が低め(開口部と床面の距離が短いケース)だと、排水口がゴミで塞がれて停滞した雨水が室内に侵入する可能性もあります。

2. 落ちにくい汚れは丁寧にお手入れする

汚れが落ちにくい場合

 頑固な汚れがこびりついた場合には、丁寧にお手入れをしましょう。なんとか汚れを落としたいあまり、デッキブラシを使って力任せにゴシゴシするのはNGです。

汚れが落ちにくい場合

 ウレタン防水は、非常にデリケート。薄めた中性洗剤を含ませた布で拭き、その後しっかりと洗剤を流しましょう。

3. プラスチックタイルやマットを敷いている場合のお手入れ

取り外し可能なプラスチックタイルやマットを敷いている場合

 防水層のうえにマットやタイルを敷くと、太陽光の刺激を和らげることができます。防水層の保護に役立つという反面、「汚れが溜まる」「湿気がこもる」という注意点があります。

取り外し可能なプラスチックタイルやマットを敷いている場合

 こもった湿気により、ウレタン防水が傷むことも多いです。取り外し可能なマットやタイルの場合、ときどき掃除や乾燥のために取り外しましょう。

 また、防水層に直接タイルを貼っているケースもあります。防水層への刺激が激減するので、劣化防止には効果的です。ただ、防水層を補修するタイミングで剥がす必要があります。
 剥がしたときに割れたタイルは再使用ができません。もし、防水層を補修した後に同じようにタイルを貼るなら、新たに用意する必要があります。

防水層にタイルを貼っている場合

「塗装工事」と「防水工事」は全くの別物

 ベランダ・バルコニーや陸屋根の防水メンテナンスを「屋根外壁塗装工事のタイミングで一緒にやりたい」という方も多いかもしれません。一度に済ませた方が手間もかからないというお考えかと思います。
 ただ、注意したいのは「塗装工事」と「防水工事」はまったくの別物という事です。塗装工事は塗装業者に依頼しますが、防水工事は防水業者に任せた方がいいのです。
 塗装業者でも、防水層のトップコート部分の施工はできるでしょう。ただ、「防水層の施工」を塗装業者に任せるのはリスクがあります。
 なぜなら、「ウレタン防水で使う塗料」と「屋根外壁で使う塗料」は内容も施工上の注意も異なるからです。塗装業者に依頼すれば工事は受けてくれますが、防水層の工事について知識や経験が乏しければ、施工が不十分となるケースも。施工後、雨漏りが起こる可能性も高まります。後々、トラブルが起きないように、しっかりした防水工事ができる施工業者を慎重に見極めましょう。

ウレタン防水に関しての疑問や確実に雨漏りを補修したい方はお気軽に街の屋根やさんにご相談ください。

 街の屋根やさんでは無料点検により、個々の状況に合わせた塗料や工法のご提案をいたします。ウレタン防水について、「施工費用を知りたい」「どんな工法かよく分からない」「雨漏り対策をしっかり行いたい」など、疑問やお困りごとがあるときにはお気軽にご相談ください。

無料点検について詳しくはコチラ

ウレタン防水の施工事例

施工内容:ウレタン防水(通気緩衝工法)

施工前と施工後

施工前

施工後

 こちらは、3週間に1度ほど利用するセカンドハウスだそうです。内装まで被害が拡大した雨漏りにしばらくお困りだったとのこと。点検の結果、雨漏りの原因はバルコニーと分かり、防水補修を行うことになりました。破れたシート防水を撤去し、ウレタン防水工事(通気緩衝工法)で改善しました。

点検時の様子

点検時の様子

点検時の様子

 天井材まで雨染みができた原因は、バルコニーの防水層が劣化したことでした。室内の天井にまで雨水が到達しているということは、構造材へも雨水が含まれています。早めに対処しなければ、天井材を支えきれずに剥がれる可能性もあります。天井材を張り替えることはもちろんですが、その前に雨漏りの原因部分である防水層の補修が必要です。

点検時の様子

 既存のシート防水に捲れた部分はありませんでした。ただ、摩耗による破れがあり、防水機能が落ちています。破れから、シートが剥がれる可能性も心配です。

ウレタン防水(通気緩衝工法)の様子

ウレタン防水(通気緩衝工法)の様子

 下地の腐食の確認をするためにシート防水を剥がし、防水層を新たに形成するというご提案をしました。これまでは撤去・処分費がかかるシート防水でしたが、今回施工するのは塗料のウレタン防水。次、防水層のメンテナンスをするときに廃材は出ません。

点検時の様子

点検時の様子

 シート防水を剥がしたところ、下地には目立った腐食がなかったのでそのまま使うことができました。樹脂モルタルで凹凸処理と下地調整を行い、乾燥したら下地の密着性を高めるためにプライマーを施します。
 今回は、すでに雨漏りが発生し下地が雨水を含んでいる状態です。このままウレタン樹脂を塗布することはできませんので、絶縁(通気緩衝工法)を行いました。

点検時の様子

点検時の様子

 無数の穴があいている絶縁(通気緩衝)シートを下地に張っていきます。ウレタン樹脂の半分は下地と密着、半分は浮いた状態となります。浮きや捲れが起こらないように、シートの隙間はジョイントテープで丁寧に留めていきます。
 排水ドレンも劣化すると雨漏りを起こす原因になります。これを機に、改修用ドレンで補修します。改修用ドレンは既存口径よりも1サイズ小さいため、面積に対してじゅうぶんに排水ができているのかを確認しなければなりません。

点検時の様子

点検時の様子

 絶縁シートとセットで、脱気装置を取り付けます。歩くところには邪魔にならないよう脱気盤を設置します。脱気盤には絶縁シート部分に溜まった空気を外に出す役割はありますが、雨水が入り込むことはありません。そして、防水層の強度を高めるため、立ち上がり部分をメッシュシートで補強します。

点検時の様子

点検時の様子

 立ち上がり、そして平らな部分という流れで、ウレタン樹脂を重ねて塗っていきます。屋根や外壁の塗料は0.03㎜程度の厚みですが、ウレタン防水は3㎜程です。粘り気がある塗料を、厚みが均一になるように丁寧に塗っていきます。
 ちなみに艶めいた仕上がりになるウレタン防水ですが、紫外線や熱には強くありません。防水面をあらわにすると紫外線の影響で10年以内に劣化する可能性があります。防水面を保護する為に、トップコートを塗っていきます。

点検時の様子

 トップコート自体には、防水性能はありません。しかし、防水面にトップコートを塗ることで、表面を直接守ることができます。また、トップコートはカラーバリエーションが豊富。お好みのカラーを選ぶことも可能です。
 このように、ウレタン防水工事の絶縁(通気緩衝工法)が完成しました。

施工2年後の定期点検時の様子

施工2年後の定期点検時の様子

 こちらは施工2年後の定期点検時の写真です。防水層には異変もなく、防水性能がしっかりと保たれていました。
 バルコニーに洗濯物を干しているなど、日常的に使っている場合は、汚れが付着しているケースが多いです。汚れは防水層の劣化に繋がります。定期的に清掃やお手入れをしながら防水効果が衰えていないかチェックしましょう。

人気の高いウレタン防水に関するまとめ

●雨漏りがひどくなると、被害が防水層だけでなく広がります。補修範囲が広くなる前に、メンテナンスや補修をしましょう。

●ウレタン防水はオールマイティーな性能を持ち、一般住宅でも使用されるケースが多いです。

●ウレタン防水は伸縮性が高く、ひび割れを起こしにくい特徴があります。リフォームでも人気がある防水方法です。

●ウレタン防水は下地の状態や施工方法を知りつくした専門業者である「防水業者」に依頼しましょう。

●ウレタン防水で騒音や臭いが気になることはほとんどありません。

●防水層には「密着工法」と「絶縁(通気緩衝)工法があります。劣化の状況によって、どちらの工法が合っているかを適切に判断する必要があります。

●定期点検を行い、雨漏りが発生するまでの劣化を見逃さないことが大事です。

●定期的に、防水層の汚れを掃除やお手入れをすれば雨漏り予防につながります。また、異変に気づきやすく、補修範囲の拡大防止も可能です。

●ウレタン防水はさまざまな状況や形状でも施工ができます。施工方法を決めかねているときの選択肢としてもおすすめです。

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