トタン屋根の種類・特性・メリット・デメリット、適切な補修・メンテナンス方法を詳しく解説!
住宅の屋根や庇、さらには物置や倉庫など、さまざまな建築物に広く使用されているトタン屋根。しかし、錆や老朽化が進んだ際に、どのようなメンテナンスが必要になるのかご存じでしょうか?
「トタン屋根の修理にはどれくらいの費用がかかるのか知りたい」
「老朽化したら張り替えるしか方法はないのか?」
このように、トタン屋根の維持・修繕について疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、トタン屋根の特性やメリット・デメリットを踏まえながら、適切なメンテナンス方法について詳しく解説いたします。
トタン屋根とは、鉄板の表面に亜鉛メッキを施した金属屋根材の一種です。
比較的安価で施工しやすいことから、日本の高度経済成長期には、住宅や倉庫、工場などさまざまな建物で採用されてきました。
瓦屋根と比べると軽量で、建物にかかる負担が少ないため、耐震性にも優れています。特に、地震の多い日本においては、コスト面と耐震性を両立できる屋根材として普及が進みました。
しかし、近年では、トタン屋根と同様に軽量でありながら、さらに耐久性の高い ガルバリウム鋼板 が主流となっており、新築住宅においてトタン屋根が選ばれることはほとんどなくなっています。
それでも、築年数の経過した住宅や、居住用ではない物置・倉庫といった施設では、現在もトタン屋根が使用され続けています。
本記事では、トタン屋根の維持管理に関するポイントを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
トタン屋根には大きく分けて3つのタイプがあります。
それぞれ構造や用途が異なり、建物の特性や目的に応じて使い分けられます。
この工法では、「瓦棒」と呼ばれる細長い木材(芯木)を等間隔に配置し、その間に折り曲げたトタン板をかぶせて、芯木に釘で固定する方式です。
・屋根の頂部から軒先にかけて縦方向に施工されるため、雨水がスムーズに流れ落ちやすい。
・勾配(屋根の傾斜)が比較的緩やかな屋根にも対応可能。
・主に住宅や低層の建物に用いられることが多い。
その名の通り、表面が波状の形状をしたトタン板を使用する屋根です。
・鉄板が薄くても、波型の加工によって強度が増すため、耐久性を確保できる。
・軽量で取り扱いやすく、施工コストが比較的抑えられる。
・倉庫・農業用施設・簡易的な屋根などに広く使われる。
トタン板を大きく台形状に折り曲げた形状にすることで、強度を向上させたタイプの屋根です。
・雨水の排水性能が高く、水はけが良いため、勾配がほとんどない屋根でも適用可能。
・広範囲の屋根に対応できるため、工場・体育館・大規模な施設での施工に適している。
・風圧にも強く、耐風性に優れた設計となっている。
トタン屋根は低コストで施工しやすいという大きな利点がありますが、導入を検討する際には注意すべき点(デメリット)も理解しておくことが重要です。
まずは、トタン屋根が持つ主なメリットからご紹介します。
屋根材の種類 |
1㎡あたりの施工価格目安 |
トタン屋根 |
約5,000~6,000円 |
金属屋根材 (スーパーガルテクト) |
約9,000~10,000円 |
トタン屋根は、他の屋根材と比較して材料費が非常に安価である点が魅力です。
さらに、施工が簡単で短期間で設置可能なため、工事費用を抑えることができます。
例えば、トタン屋根の1㎡あたりの施工単価は約5,000~6,000円。
これに対し、同じ金属屋根材である「スーパーガルテクト」の施工単価は9,000~10,000円程度となり、トタンの方がコストを抑えた施工が可能であることが分かります。
トタン屋根は、金属系屋根材の中でも特に軽量です。
屋根が軽いと、建物全体への負担が少なくなり、地震時の揺れを最小限に抑えることができます。
特に、重量のある瓦屋根と比較すると、トタン屋根の重さは約10分の1。
このため、耐震性を考慮する場合、トタン屋根は非常に有利な選択肢となります。
トタン屋根は、基本的に屋根の傾斜方向に沿って1枚板を敷く構造になっています。
このため、継ぎ目の数が少なく、雨水が侵入しにくいという特徴があります。
また、降雪地域でも雪が屋根に積もりにくく、滑り落ちやすいため、積雪による負荷を軽減できるというメリットもあります。
ここまでトタン屋根の3つの長所をご紹介しましたが、現在のリフォーム業界ではトタン屋根が新たに採用されるケースはほとんどありません。
その理由として、次にトタン屋根のデメリットについて詳しく解説していきます。
トタン屋根は、表面に施された亜鉛メッキが摩耗・剥離すると、鉄部分がむき出しになり、すぐに錆が発生しやすいという特徴があります。
錆が進行すると、鉄板に穴が開き、雨漏りの原因となるため、早めの対処が必要です。
「金属素材なら錆びるのは仕方ないのでは?」と思われるかもしれませんが、現在ではガルバリウム鋼板のように、錆に強い屋根材が普及 しています。
そのため、錆びやすいトタン屋根の耐久性の低さは 大きな欠点 とされるようになりました。
トタン屋根は、熱を通しやすく、断熱性が極めて低いという弱点があります。
特に夏場は屋根材が熱を吸収しやすく、室内の温度が上昇してしまいます。
その結果、エアコンの効きが悪くなり、光熱費の増加につながるため、快適性だけでなく経済的にもデメリットが大きいです。
寒冷地では冬の冷気が直接室内に伝わるため、年間を通じて住環境への影響が大きい屋根材といえます。
トタン屋根のもう一つの大きな欠点は、音を遮る性能が低いことです。
金属製で厚みが薄いため、雨が降ると直接音が響きやすく、強い雨や風の際には騒音が発生します。
特に住宅の屋根として使用する場合、悪天候時には室内での会話や睡眠に影響を及ぼす可能性が高いです。
防音性を高めるには、遮音シートや断熱材を併用する必要がありますが、追加のコストが発生する点も注意が必要です。
トタン屋根は、錆びやすく耐久性が低いため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
特に雨漏りの原因となる錆を防ぐためには、5~10年ごとに再塗装や補修を行う必要があります。
これにより、初期コストは安くても、長期的な維持管理費(ランニングコスト)が高くなるというデメリットがあります。
現在では、トタン屋根の弱点を克服したガルバリウム鋼板が主流となり、新築住宅ではほとんど採用されなくなっています。
とはいえ、遮音性や耐久性が求められない建物では、トタン屋根のコストの安さが大きなメリットとなります。
例えば、
・倉庫
・物置
・農業用施設
といった居住用でない建物においては、施工費用を抑えつつ、短期間で仕上げられるため、今でも十分に有用な屋根材です。
用途によって適材適所の選択が重要ですが、トタン屋根はコスト面で優れた選択肢となり得ることを覚えておきましょう。
トタン屋根の
平均的な耐用年数は15~20年程度とされています。
しかし、設置環境や定期的なメンテナンスの有無によって寿命は大きく変動するため、一律の目安とは言えません。
また、飛来物による表面の傷が原因で、そこから水分が浸入し錆が発生するケースも少なくありません。錆が進行すると金属が腐食し、最終的には穴が開いてしまうこともあります。
これが雨漏りの直接的な原因となるため、屋根の状態を定期的に確認することが重要です。
特に瓦棒葺きのトタン屋根では、屋根の内部にある「心木(しんぎ)」が雨水や湿気の影響で腐食しやすくなります。心木が劣化すると、トタンを固定する釘の保持力が低下し、屋根材が浮いたり剥がれたりする危険性が高まります。
最悪の場合、強風時に屋根が捲れてしまい、周囲に被害を及ぼすことも考えられます。
こうしたリスクを防ぐためにも、数年ごとに専門業者に点検を依頼し、屋根の状態を把握することが大切です。定期的な点検を行うことで、錆や塗膜の剥がれ、固定部分の緩みなどの初期の劣化症状を早めに発見 し、適切なタイミングで補修や交換を計画できます。
結果として、トタン屋根の寿命を延ばし、修理費用を最小限に抑えることができるでしょう!
トタン屋根のメンテナンス方法として最も一般的なのが塗装工事です。
まず、表面に発生した 錆や汚れをケレン作業で除去し、その後サビ止め塗料を塗布し、仕上げ塗装を行うことで、屋根の耐久性を向上させます。
この方法は、 色褪せやチョーキング(塗膜の粉化)、軽度の錆が発生している段階で効果的です。
見た目を美しく保つだけでなく、塗膜のコーティング効果によって屋根材を保護し、耐用年数を延ばすことができます。
▼施工費用の目安
30坪の住宅の場合、約40万円~が相場です。
この金額には足場代や高圧洗浄、錆を落とす下地処理や塗装代が含まれています。
トタン屋根の小規模な損傷や剥がれを補修する方法です。
軽微な傷や穴であればシーリング材(コーキング)で補修することが可能ですが、錆が進行する前に対処することが重要です。
早めの対応を行えば、修理費用を抑えることができます。
▼施工費用の目安
1ヶ所あたり約3万円前後です。
作業場所が高所にある場合、足場の設置費用として15万~25万円程度の追加費用が発生する場合があります。
トタン屋根が広範囲にわたって劣化し、寿命を迎えている場合は、屋根の全面交換(葺き替え工事)が必要です。
既存のトタン屋根を撤去し、新しい屋根材に交換することで、長期間にわたり快適な状態を維持できます。
近年では、トタンよりも耐久性・耐食性に優れたガルバリウム鋼板を用いた「立平葺き」でのリフォームが主流です。
ガルバリウム鋼板は錆に強く、元の屋根勾配が緩やかでも問題なく施工可能なため、トタン屋根のリフォームには最適な選択肢となっています。
▼施工費用の目安
30坪の住宅の場合、約100万円~。
ただし、倉庫や物置のように足場の設置が不要なケースでは、費用を大幅に抑えることも可能です。
既存のトタン屋根を撤去せずに、その上から新しい下地を設置し、新規の屋根材を重ねて施工する方法です。
この工法は、既存の屋根を活用するため撤去費用がかからないというメリットがあります。
ただし、トタン屋根の場合は下地(野地板)から補強が必要になるため、葺き替えと比較して大幅に安くなるわけではありません。
さらに、傷んだ屋根材をそのまま残すため、将来的な耐久性を考慮すると葺き替え工事のほうが適している場合も多い です。
「トタン屋根は施工が簡単だから、自分で修理できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
しかし、実際にはDIYでの補修作業には多くのリスクが伴います。
屋根の作業は高所で行うため、安全対策が不十分な状態での作業は転落事故の危険性が極めて高いです。
また、施工の際に屋根材に過剰な負荷をかけてしまい、せっかくの塗膜を傷つけたり、劣化した心木を踏み抜く危険性もあります。
結果として、修理どころかかえって屋根を傷めてしまうケースも多いため、たとえ簡単な補修であっても専門業者に依頼するのが賢明な判断です。
適切な施工を行うことで、安全性と耐久性の両方を確保することができます。
トタン屋根の修理・リフォームは多様な施工に対応できる業者を選びましょう
トタン屋根の改修工事を依頼する際は、金属屋根の施工に精通した「板金業者」が適しているという意見をよく見かけます。確かに、板金業者は金属材料の特性を熟知しており、適切な加工・施工技術を持っているため、信頼して任せることができます。
しかし、トタン屋根のメンテナンス方法には、葺き替えやカバー工法のほか、屋根塗装やシーリング補修などの選択肢も存在します。そのため、幅広い工法に対応できる業者を選ぶことが重要です。
屋根の状態を正確に診断し、本当に必要なメンテナンス方法を提案してくれる業者を選ぶことが、無駄なコストを抑え、適切な施工を行うポイントとなります。
契約を優先する業者には注意が必要です。
例えば、葺き替えが不要なレベルのトタン屋根に対して、過剰なリフォームを提案するケースもありますし、塗装だけでは対応しきれない劣化にもかかわらず、安価な塗装工事を進める業者もいるかもしれません。
どの工法が適しているかは、屋根の状態や今後の使用目的によって異なるため、幅広い施工に対応できる業者を選び、適切なアドバイスを受けることが重要です。
街の屋根やさんでは、塗装、葺き替え、カバー工法、部分補修などあらゆる施工に対応しており、屋根の状態をしっかり診断した上で、最適なメンテナンス方法をご提案しています。屋根の寿命を延ばし、安全性を確保するためには、適切な施工が不可欠です。
トタン屋根に関するお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。
まとめ
●軽量で耐震性に優れた金属屋根材として広く普及していたが、現在では耐久性の高いガルバリウム鋼板が主流となっている。
●トタン屋根には「瓦棒葺き」「波板」「折板」などの種類があり、それぞれ施工方法や特性が異なる。
●コストの低さ、軽量構造による耐震性、継ぎ目の少なさによる雨漏り対策などのメリットがある一方、錆びやすいことや断熱性の低さなどのデメリットもある。
●修理やリフォームの方法には「塗装」「部分補修」「葺き替え」「カバー工法」などがあり、屋根の状態に応じた最適な施工を選ぶことが大切。
●耐久性を維持するためには定期的な点検と専門業者による適切なメンテナンスが必要であり、DIYでの修理は安全面や施工精度の面から推奨されない。
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