更新日 : 2024年07月04日
更新日 : 2024年07月04日
シート防水が施工された屋上(陸屋根)のメンテナンス方法

ゴムシート防水で10年~15年程度、塩ビシート防水であれば10年~20年程度の耐用年数が期待でき屋上防水で採用されることも多いシート防水。皆様のご自宅や所有されているマンション・建物の屋上(陸屋根)は前回の防水工事から何年経過されていますか? 普段あまり立ち入らない屋上だからこそ意外と注意が向かず「実は新築から一度もメンテナンスをしてない」「そういえば前回の防水工事から10年以上が経過してしまっている」「屋上がどの程度劣化しているのか把握できていない」といった方も多いのではないでしょうか。「実は屋上から雨漏りが始まってしまった」という方もいらっしゃるかもしれません。 真っ先に熱や紫外線、そして雨による影響を受ける屋上(陸屋根)だからこそメンテナンスを怠ると建物内部への雨水の浸入のみならず、建物自体の弱体など深刻な被害を招くことになります。当ページではシート防水についてご理解いただくとともにシート防水の劣化や適切なメンテナンス方法についてご紹介しています。お住まいの屋上(陸屋根)を健康に保つポイントをぜひご理解ください。
目次【表示】
陸屋根には必須の防水工事
様々な形状のあるお住まいの屋根。どこよりも真っ先に雨を受け止める役割を担っています。多くの屋根は屋根自体に勾配を持ち、受け止めた雨を雨どいへと誘導し、雨水を適切に地上へ排水するような格好になっていますが多くのマンションや、戸建てにも採用されている「陸屋根」では感じることができるほどの勾配がほとんどありません。やはり頂点のある勾配のついた屋根と比較しても水が溜まりやすく、排水性が低いと言わざるをえません。結果、建物内部への漏水や雨漏りといったリスクが付き物です。そのため陸屋根には建物内部への漏水や雨漏りを防ぐために防水工事が必須となるのです。

防水工事の基本知識
防水工事とは
防水工事は、建物や構造物を雨、雪、水、紫外線などの外部要因から守り、長期的に保護するための工事です。具体的には、屋上(陸屋根)、ベランダ・バルコニーといった風雨にさらされる部分に防水処理を施し、雨や雪が建物内部に侵入するのを防ぎます。特に日本では梅雨があり、冬には雪が降るため、防水工事は欠かせないものとなっています。
防水工事の目的は、単に水の侵入を防ぐだけではありません。建物の耐久性を維持し、内部の快適性を保つためにも非常に重要です。防水工事が不十分だと、建物内部に水が侵入し、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。そのため、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
防水工事の目的
建物の強度を保つ:防水工事は、水が建物内部に入り込まないようにして、建物の強度を保つために行われます。漏水が発生すると、木造建物では柱や梁が腐食し、鉄筋コンクリート建物では鉄筋が錆びてしまいます。これにより、建物の耐久性が著しく低下します。防水工事を行うことで、建物の構造を長期にわたって保護することができます!
建物の外観や内観を保つ:防水工事は、建物の美観を保つためにも重要です。水が内部に浸入すると、内外装材に染みや変色が生じ、美観を損なうことになります。防水工事を適切に行うことで、経年劣化を防ぎ、建物の美しさを維持することができます。
健康被害を防ぐ:水が建物内部に浸入すると、カビが発生しやすくなります。カビはアレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす原因となります。防水工事を行うことで、カビの発生を防ぎ、建物内の空気を清潔に保つことができます。
防水工事の必要性
防水工事は、新築時に一度行えば良いというものではありません。経年劣化により防水性能は徐々に低下していくからです。そのため、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。防水工事を怠ると、建物の老朽化が進み、雨漏りなどの問題が発生します。これにより、建物の寿命が短くなり、修繕費用がかさむことになります。
防水工事を適切なタイミングで行うことで、建物の寿命を延ばし、長期的なコスト削減につながります。また、防水工事を適切に行うことで、建物内部の快適性を維持し、居住者の健康を守ることができます!
防水工事は大きく分けてシート防水・アスファルト防水・塗膜防水の三種類
陸屋根に必要となる防水工事ですが、工事には大きく分けて三種類あります。
一つは塗膜防水です。 わかりやすく言うと液状の防水塗料を塗ることで防水の膜(防水層)を形成する防水工事です。ウレタン防水やFRP防水がこれに当たります。 ウレタン防水であればウレタン樹脂を、FRP防水であればポリエステル樹脂を塗布することによって防水層を形成しますが液体によって防水層が作られるため複雑な形状にも防水層を形成できるというメリットがあります。

二つ目はアスファルト防水です。 屋根材の下地としても使用されるルーフィング(防水紙)と液状の溶解アスファルトで防水層を形成する防水方法でアスファルトの強度により耐用年数が長いのが特徴ではありますが、重量があるため建物を選ぶという側面があります。

そして三つ目はゴムや塩ビ(塩化ビニール)でできた防水シートを下地に敷くことで防水層を作る防水方法です。 シート防水にはゴムや塩ビといったシートの違いや機械的固定工法や密着工法といった施工方法などがあります。 シート防水について詳細を見ていきましょう。
シート防水の施工方法や特徴についてみていきましょう!

シート防水とはその名の通り防水性のあるシートを敷設する防水工事です。使用されるシートは塩ビシートやゴムシートがあり、塩ビシートであれば1.5mm~2.5mm程度の厚みがあり、ゴムシートであれば1.2mm~2.0mm程度のものが使用されます。 以前は工期が短く、安価なうえにシート自体が耐候性と伸縮性に優れているという点からシート防水と言えばゴムシート防水が主流でしたが塩ビシートと比較すると防水層が薄いために飛来物があった際の衝撃や鳥獣のいたずらなどで破れてしまうといったデメリットがあることに加え、塩ビシートと比較して耐候性で劣るといったことから現在では塩ビシート防水が主流となっています。
| シート防水(塩ビシート) | シート防水(ゴムシート) | |
| 1.5~2.5mm程度 | 厚み | 1.2~2.0mm程度 |
| 10~20年 | 耐用年数 | 10~15年 |
| 約3,500~7,500円/㎡ (税込3,850〜8,250円/㎡) | 単価(㎡) | 約2,500~7,000円/㎡ (税込2,750〜7,700円/㎡) |
| 1~4日 | 工期 | 1~4日 |
| シート防水(塩ビシート) | シート防水(ゴムシート) | |
| 1.5~2.5mm程度 | 厚み | 1.2~2.0mm程度 |
| 10~20年 | 耐用年数 | 10~15年 |
| 約3,500~7,500円/㎡ (税込3,850〜8,250円/㎡) | 単価(㎡) | 約2,500~7,000円/㎡ (税込2,750〜7,700円/㎡) |
| 1~4日 | 工期 | 1~4日 |
シート防水の施工方法
シート防水の施工方法は大きく分けて二つあります。 一つは接着材でシートの貼り付けを行う密着工法です。下地と防水シートに接着剤を塗布し、シートを直接下地に張り付ける工法で特別な施工器具が不要なため、工期が比較的短いというメリットや下地に直接貼り付けるため屋上といった場所においても耐風圧性に優れているというメリットがあります。しかしシート(防水層)が下地に直接貼り付けられ、密着しているため下地の影響を受けやすいという特徴があります。 例えば下地が割れてしまうような事態が起こった際に、貼り付けた防水シートも一緒に裂けてしまうといったことがあります。





そしてもう一つは機械的固定工法です。防水メーカーによっては絶縁工法や通気工法、脱気工法とも言われます。こちらは密着工法とは違い接着剤を使用せずに防水シートを下地から浮かせて固定する方法です。なかなか工法名を聞いただけではどんな施工方法か想像できないという方が多いのではないでしょうか。簡単に説明しますと下地と防水シートの間に絶縁シート(通気シート)を挟み、絶縁シートに防水シートを固定するための専用器具を取り付けた上に防水シートを敷き、固定するという工法です。









接着剤をびっしりと塗布して貼り付けることをしないため、下地に含んだ水分や湿気を絶縁シートを通して効率的に逃すことができ、防水層の膨れを防止することができるという大きなメリットがあります。 また下地に直接接着しないということから、下地の亀裂の傷み等の影響を受けることがほとんどなく、下地調整を必要としないまま施工ができる(突起物があるような場合は撤去が必要となります。また勾配に問題がある場合には勾配の調整が必要になります。)、既存防水材の撤去が不要といった点から工期や費用のかさみを抑えることができることも機械的固定工法のメリットと言えます。
ウレタンやFRP防水に機械的固定工法に相当する工法はあるの?
密着工法は工期や耐風圧性においてメリットがあることはすでに述べましたが、建物と密着しているため下地や躯体に含まれた水分や湿気の影響を大いに受けてしまいます。施工時に細心の注意を払っても、経年により建物が含んだ湿気の影響を受けて防水層が膨れてしまう、また膨れ等の伸縮に追従できず防水層が割れてしまった、裂けてしまったといったような工法上発生するデメリットがあります。このようなデメリットを解消するため機械的固定工法が誕生しました。

このような工法はシート防水に限らずウレタン防水やFRP防水といった塗膜防水でも存在します。お住まいにとって湿気対策、防水対策は大変重要であるため、ウレタン防水やFRP防水では密着工法に代わる通気緩衝工法(絶縁工法)という工法があります。
シート防水が抱えるリスクとメンテナンスのポイント
総じてシート防水は短工期・安価で施工できるというメリットがある上、現在主流の塩ビシートはゴムシートと比較しても紫外線や熱に対する耐久性が高いため耐用年数もさらに長いというメリットがあります。しかし他の防水工事同様、将来何十年にもわたって防水性能を発揮し続けることはやはりできません。一般的にシート防水の耐用年数はゴムシート防水で10年~15年程度、塩ビシートであれば10年~20年程度です。自然環境の影響を全面で受け止め続けている屋根だからこそ、耐久性の高いシート防水と言えども劣化を免れることはできないのです。そのためリスクの早期発見と早期メンテナンスが建物の健康を維持するために大変重要となります。 そこでここではシート防水が抱えるリスクとメンテナンスのポイントを見ていきましょう。

| 種類 | 単価(㎡) | 耐用年数 | 工期 |
| FRP | 約4,000~8,000円/㎡ (税込4,400〜8,800円/㎡) | 12~20年程度 | 1~2日 |
| ウレタン | 約3,000~7,500円/㎡ (税込3,300〜8,250円/㎡) | 10~14年 | 3~10日 |
| シート防水塩ビ | 約3,500~7,500円/㎡ (税込3,850〜8,250円/㎡) | 10~20年 | 1~4日 |
| シート防水ゴム | 約2,500~7,000円/㎡ (税込2,750〜7,700円/㎡) | 10~15年 | 1~4日 |
| 種類 | 単価(㎡) | 耐用年数 | 工期 |
| FRP | 約4,000~8,000円/㎡ (税込4,400〜8,800円/㎡) | 12~20年程度 | 1~2日 |
| ウレタン | 約3,000~7,500円/㎡ (税込3,300〜8,250円/㎡) | 10~14年 | 3~10日 |
| シート防水塩ビ | 約3,500~7,500円/㎡ (税込3,850〜8,250円/㎡) | 10~20年 | 1~4日 |
| シート防水ゴム | 約2,500~7,000円/㎡ (税込2,750〜7,700円/㎡) | 10~15年 | 1~4日 |
シート防水においてなにが漏水や雨漏りのリスクとなるの?
言うまでもなく防水工事の目的は建物の防水性の向上です。雨水の浸入によって発生した雨漏りは室内へ入り込みクロスに染みを作り美観を損なうだけではなく、建物自体の躯体を腐食させ、崩壊させる危険性もあります。私たちのもとにも新築から10年以上経過し、劣化や不具合によって防水効果が切れ、雨漏りが始まってしまったと多くのご相談をいただきます。一体シート防水においては何が雨漏りのリスクとなりえるのでしょうか。
1.紫外線による経年劣化
塩ビシートは紫外線や熱に対して高い耐久性を持ちますが、ゴムシートは熱や温度変化には強い反面、紫外線に弱いとされています。そういった意味では一日中紫外線を受け続ける屋上はゴムシート防水にとって大変過酷な環境です。劣化を防ぐために施工時にトップコートを塗布した場合でも、トップコート自体の寿命が5年~10年程度ですので塗膜が剥がれてしまえば直接紫外線が防水シートに降り注ぎ劣化を進めてしまいます。
2.可塑剤の気化による塩ビシートの劣化
塩ビシートは素材である塩化ビニルに可塑剤を添加してシート状に加工されたものです。 「可塑剤」とは材料に柔軟性を持たせ、加工しやすくするための物質で例えば輪ゴムや水道のホースなども可塑剤のおかげで柔軟に曲がったり、折れたり、伸びやすくしたりすることができています。しかし時間が経つことによりこの可塑剤が気化し、塩化ビニル本来の固さを取り戻してしまうことでひびや割れを発生させやすくしています。

3.飛来物による衝撃や鳥害
シート防水に使用されるシートはゴムシートで1.2mm~2.0mm程度、塩ビシートで1.5mm~2.5mm程度の厚さしかありません。強風や台風時に飛来物や柵の倒壊など強い衝撃を受けることで防水層が破れてしまうことがあります。 特にゴムシートは防水層が薄いため鳥のくちばしによるついばみ等による破れといった鳥害も多くの現場で見かけます。

4.防水シートの結合部分(ラップ部分)
シート防水特有の弱点ともいえるのがシートの結合部分(ラップ部分)です。シート自体の防水力がどれだけ高くても結合部に不具合がでて隙間ができてしまえば防水性能は著しく低下してしまいます。 経年による接着力の低下やシートが収縮を繰り返すことで剥がれたといったような経年劣化が原因となることもあれば、施工時における接着剤の塗布量の不足やムラ、オープンタイムの過不足などが原因となることもあります。

5.立ち上がり部分やドレン周りなどの防水シート端部分
シートを敷設するという施工方法である以上、必ずシートの端部分が存在します。上記結合部同様、このような部分は漏水のリスクとなりえます。 例えばパラペットの立ち上がり部分やドレン周りなどシートの末端部分は特に注意が必要です。点検時はシートの劣化のみならずシートの端部処理が適切に行われているか、パラペットの笠木部分や雨仕舞に不具合がないかなどもきちんと確認する必要があります。

シート防水?塗膜防水?防水工事の見分け方
シート防水は塗膜防水と違い、複数枚のシートで防水層を形成します。そのためシートが重なった部分が必ず存在します。一方でウレタン防水やFRP防水は防水塗料を塗布するためシームレスな防水層である上、表面が滑らかなのが特徴です。 また機械的固定工法で施工されたシート防水はシートを熱融着させた際のディスク(取り付け器具)による凹凸が存在します。こういった特徴もシート防水と塗膜防水を見分けるポイントとなります。

街の屋根やさんが現場で見たシート防水の実際の劣化
耐用年数がゴムシート防水で10年~15年程度、塩ビシートであれば10年~20年程度と比較的長いシート防水も時間の経過とともに様々な劣化や不具合が表面化してきます。これらはメンテナンス時期が来ていることを教えてくれており、建物の防水という点で決して見過ごしてはいけないサインです。実際にどのような不具合や劣化が発生するのか見ていきましょう。1.シートの膨れ

2.シートの破れ

3.シート結合部や端部の剥がれ

4.シートの浮き、めくれ


5.水が溜まる


点検でお伺いさせていただくと晴れている日にも関わらず屋上に水が溜まってしまっている状態の屋上(陸屋根)を見かけます。漏水や雨漏りから建物を守るための防水工事であるのにも関わらず、大敵である雨水を溜め込んでしまっているとは本末転倒、雨漏りの原因を自ら抱え込んでしまっている深刻な状態です。原因としては防水シートが浮いてしまい雨水が流れる勾配を邪魔してしまっていることにより雨水がたまりやすい状態を作ってしまっている、また別の原因としてドレンの詰まりが挙げられます。ドレンについてはシート防水に限った話でありませんが土やごみ、植物等によりドレンが詰まってしまい、排水に不具合をきたしている状態です。


シートの膨れや剥がれ、破れについての対処法
雨漏りといった目に見える被害もなく部分的な小さな膨れや剥がれ、破れが見えるケースにおいては部分補修で解決できるケースがあります。●膨れ
比較的小さな部分的な膨れであれば、脱気筒から水蒸気を逃すなど部分的な対処を行う。
●破れ
破れ箇所にパッチ処理を行い、破れ箇所を覆うことで部分補修を行い被害箇所からの雨水の浸入を防ぐ。
●結合部や端部のシートの剥がれ
部分的な剥がれであれば剥がれ箇所の部分的な接着や塩ビシートであれば熱溶着により対処。
立ち上がり部分のシート端部であればパラペットの笠木部分など雨仕舞の不具合も確認。
●トップコート塗布
既存防水シートがゴムシートでトップコートが塗布されている場合は前回使用した塗料にもよるが5年~10年でトップコート塗り替えが必要となる
上記はシート防水の劣化による部分的な対処方法です。しかし不具合が出ているケースにおいては不具合箇所だけを見るといった近視眼的な視点ではなく現状の全体把握やメンテナンスサイクルを考慮したうえで部分補修か全体防水かを考える必要があります。 つまりある特定の箇所が劣化しているということは同様に他の箇所でも不具合が起こっていて雨水の浸入を許してしまっている可能性も否定できないということです。部分補修を繰り返すこともできますが、結局はいたちごっこになってしまい、最終的に全面防水を施すのであれば耐用年数が近づいているケースにおいては建物への負担はもちろんお客様の不安も少なくて済む全面防水をお勧めします。
全面防水を施工するうえではどのような防水工事が適切か?
全面防水として考えられる方法としては「塩ビシート防水」「ウレタン防水」が一般的だと言えます。複雑な形状には向かない塩ビシート防水ですが機械的固定工法であれば既存防水層の状態に左右されることなく施工が可能なうえに廃材処理も不要なため工期も短縮でき比較的安価に施工できるというメリットがあります。 ただし貯水槽がある、トップライトがある、突起物があるなど障害物が多いような場合はウレタン防水による塗膜防水をお勧めします。いずれにしても塩ビシート防水であれば機械的固定工法、ウレタン防水であれば通気緩衝工法といった絶縁工法でお願いするようにしましょう。

シート防水のメンテナンスをお考えの方は街の屋根やさんの無料点検をご活用ください
お住まいは私たちを過酷な自然環境から安全・安心して暮らしていくため守ってくれています。特に私たちの住む日本は3日に一度は雨が降ると言われている環境だからこそ、防水工事はお住まいにとってとりわけ重要度の高い工事と言えるのではないでしょうか。

シート防水のメンテナンス施工事例
雨漏りを引き起こした陸屋根のゴムシート防水を塩ビシート防水機械固定的工法で改修
屋上のゴムシート防水層の破れ、めくれから防水効果を完全に失い雨漏りを引き起こしてしまった屋上の防水改修工事です。塩ビシート防水機械固定的工法でのメンテナンスの様子をご紹介します。




現地調査

室内の天井の様子です。真っ黒の染みを作った雨漏りの様子を見ると長年にわたって雨漏りを放置していたことをはっきりと物語っております。大量の水分が長期間にわたって屋根から室内へと入り込んできている証拠です。


被害箇所につながる屋上に案内していただきました。屋上は勾配のない陸屋根で、施工された既存防水層のゴムシートが完全にめくれ雨が下地に直接打ち付けられている状態です。シート自体も全体的に変色、破れが目立ちかなりの期間メンテナンスをされずに放置され続けてきたことが一目瞭然です。


既存防水層の撤去


現状の施工はゴムシート防水密着工法でした。パラペット部分の防水層の端部はシートの剥がれを防止するためアルミ製の押さえ材でアルミアングルでシートが固定されていました。新しい防水層を作る上で不要なものとなりますので撤去していきます。


機械的固定工法のメリットは施工時に下地に左右されず、状態によっては既存防水層の撤去をしないまま施工できるという点ではあります。しかしあまりにも凹凸があっては適切な施工ができないため部分的に既存シートの撤去を行っていきます。
機械的固定工法にて施工


こちらは塩ビシートをパラペットの立ち上がり天端に融着させるための塩ビ鋼板です。機械的固定工法ではシートをボンドなどの接着剤で止めるのではなく専用の取り付け器具に熱融着で固定させていきます。

次に下地の通気層確保のため通気シートを全面に敷設します。密着工法では全面に接着剤が塗布され、下地とシートが密着しているため水蒸気の逃げ口がなく、経年でシートが膨れてしまうといったことがありますが通気シートを挟むことで入り込んでしまった湿気を逃がし、防水層の膨れを予防してくれるという役割があります。


通気シートの敷設が完了したら、防水シートを固定するための塩ビ鋼板のディスクを固定していきます。通気シートを上から固定するとともに、ディスクがある位置が上に敷設する塩ビシートの固定箇所となります。こちらで防水層の下地が完成です。


排水性の悪い既存の排水口を改修していきます。既存の排水口に水が入り込まないように設置します。ドレン周りは水の滞留や、滞留した水が剥がれ部分から浸入してしまうなど雨漏りの原因となりやすい場所であるためドレン周りに固定した塩ビ鋼板に熱風気を使ってしっかりと熱融着で溶かしつけていきます。


防水層となる塩ビシートを通気シートの上に敷設し、シートの結合部や端部をこちらも熱によって融着させていきます。まずは溶着材を結合部、そしてシートの端部に塗布します。







破れてしまったシート防水をウレタン防水でメンテナンス
ベランダのシート防水の劣化が原因によりキッチンに雨漏りが発生し、メンテナンスをご依頼をいただきました。機械的固定工法で施工されたシート防水をウレタン塗膜防水でメンテナンスした様子をご紹介します。




現地調査



既存防水層の撤去

























雨漏りを起こしていたシート防水をウレタン塗膜防水でメンテナンス

防水工事を行ったO様
ビフォーアフター



O様のお住まいでは雨漏りが起き、お部屋の天井のクロスが剥がれてしまっている状態でした。屋上にはシート防水が使われていましたが、シートの劣化や排水ドレンの不具合によって雨漏りが起こっていたことが発覚しました!
そのため、シート防水からウレタン防水へ替え、改修ドレンの設置を行うことで雨漏りを解消いたしました!
防水工事についてよくある質問と回答
防水工事の必要性について
Q1.防水工事は本当に必要ですか?
A1.防水工事は建物の寿命を延ばし、居住環境を保護するために必要です!防水工事を行わないと、雨水が建物内部に浸入し、構造的な損傷やカビの発生、さらには健康被害を引き起こす可能性があります。定期的な防水工事は、建物の劣化を防ぎ、快適な生活を維持するために不可欠です。
防水工事の種類について
Q2.防水工事にはどのような種類がありますか?
A2.防水工事には主に以下の種類があります
・ウレタン防水:液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成します。複雑な形状の場所でも対応可能で、比較的安価です。
・FRP防水:繊維強化プラスチックを使用する工法で、高い耐久性と強度があります。ベランダやバルコニーに適しています。
・シート防水:塩化ビニール製やゴム製のシートを貼り付けて防水層を作ります。広い平面に適しており、施工が比較的簡単です。
・アスファルト防水:アスファルトを含んだシートを高熱で溶かして接着する工法です。耐久性が非常に高く、大規模な建物の屋上に多く使用されます。
防水の耐用年数について
Q3.防水工事の耐用年数はどのくらいですか?
A3.防水工事の耐用年数は工法や使用する材料によって異なります。
・ウレタン防水:10年~14年程度
・FRP防水:12年~20年程度
・シート防水:10年~20年
・アスファルト防水:15年~25年
防水工事後のメンテナンスについて
Q4.防水工事のメンテナンスはどのように行えばいいですか?
A4.防水工事のメンテナンスには以下の方法があります。
・定期点検:防水層の状態を定期的に点検し、劣化の兆候を早期に発見します。専門業者に依頼して見ても対ましょう!
・トップコートの塗り直し:ウレタン防水やFRP防水の場合、トップコートの塗り直しが必要です。5年に一度の塗り直しが推奨されます。
・ジョイントシールの補修:シート防水の場合、ジョイントシールの劣化を点検し、必要に応じて補修を行います。
・ドレンの掃除:屋上やベランダの排水口を定期的に掃除し、ゴミや落ち葉を取り除きます。
DIYの防水工事について
Q5.防水工事をDIYで行うことはできますか?
A5.防水工事は専門的な知識と技術が必要なため、DIYで行うことはお勧めしません。特に大規模な工事や高所での作業は危険を伴うため、専門業者に依頼することが最善です。DIYでの施工は失敗するリスクが高く、後で修繕費用がかさむ可能性があります。
屋上(陸屋根)のシート防水のメンテナンスまとめ
●屋上(陸屋根)には漏水や雨漏りを防ぐための防水工事が必須です。 ●防水工事は大きく分けてシート防水・塗膜防水・アスファルト防水の三種類があります。 ●シート防水にはゴムシート防水と塩ビシート防水がありますが、現在は耐候性の高い塩ビシートを使用した塩ビシート防水が主流です。 ●シート防水の施工方法にはシートを下地に貼り付ける密着工法とシートを下地から浮かせて施工する機械的固定工法があります。 ●ウレタン防水やFRP防水においても密着工法に代わる通気緩衝工法という施工方法があります。 ●シート防水の耐用年数はゴムシート防水で10年~15年程度、塩ビシートであれば10年~20年程度です。 ●紫外線、可塑剤の気化、飛来物の衝撃や鳥害、防水シートの結合部分や端部分などシート防水が劣化や不具合を起こす要因や劣化を起こしやすい場所があります。 ●シート防水か塗膜防水かはシートの結合部分の有無や機械定期固定工法でのシートの固定用ディスクの凹凸などで見極めることができます。 ●シート防水の劣化には膨れや破れ、剥がれ、浮き、また雨水がたまるといった劣化や不具合が見られます。 ●メンテナンスとしては膨れや剥がれに対して部分的に対処することも可能だが、耐用年数が近づいているケースにおいては部分的対処ではいたちごっこになることも多く全面防水がお勧め。 ●全面防水であれば塩ビシート防水の機械的固定工法、ウレタン防水の通気緩衝工法といった絶縁工法が最適です。関連するブログ一覧
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