折半屋根はどんな屋根?工場・倉庫で広く使われる折半屋根の種類や特徴・メンテナンスのポイントとは?
大規模な工場や倉庫でよく見られる折板屋根も、長期間安心してご使用いただくためには定期的なメンテナンスが欠かせません!
折板屋根に不具合が生じると工場内で使用している機械や倉庫内の保管物が雨漏りなどの影響を受けてしまうリスクもあります。「今は特に問題はないけれど、そろそろメンテナンスを行った方が良いのでは?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は折板屋根の基本的な特徴やそのメリット・デメリットに加えて、錆対策として非常に有効的な塗装メンテナンスについて役立つ情報を詳しくご紹介いたします。

折板屋根は金属板を折り曲げて作られた屋根材で、特に工場や倉庫などの屋根に多く使用されています。
広範囲を一度にカバーできるため大きな建物にも適しており、軽量でありながら優れた耐久性を誇ります。
学校の体育館も折板屋根を採用している場合が多いことを考えると、折板屋根がどれだけ多くの大規模施設で使われているかがわかります。
折半屋根は、その長さ・大きさによって「長尺屋根」「短借屋根」という2タイプに分類されます。
一枚の金属板が非常に長く、縦方向のつなぎ目が少ないことから防水性に優れます。
一般的に、工場・倉庫などの大規模建築に使用されます。
短尺屋根は、住宅のカーポートや小規模施設に用いられるようなサイズの折半屋根です。
現在、折半屋根の主流素材となっているのがガルバリウム鋼板です。
従来、金属屋根材として使用されてきたトタン(亜鉛メッキ鋼板)と比較して4倍も錆に強く、耐久性も向上している素材です。
そのため、屋根に限らず外壁にも多く採用されています!
大型施設の場合、屋根の解体やリフォームに非常に大きなコストが必要となるため、耐用年数の長い長寿命な屋根材を使用することが理想です。
ガルバリウム鋼板の折半屋根の耐用年数は約30年以上を誇り、適切なメンテナンスを施せば40年前後まで維持する事が可能です。
まさに、折半屋根にうってつけの素材と言えます!

折板屋根の特徴的な台形の凹凸形状は、平らな状態と比べて
強度が大幅に向上する構造です。
衝撃に対する耐久性が増しており、頑丈な屋根してくれます。
さらに、この凹凸による形状は、
屋根に当たる雨音を和らげる効果もあります。
ただし、工場や倉庫などでは下地を設けずに直接施工されることが多いです。特に
金属製の屋根材は雨音が室内に響きやすい点は、デメリットとして念頭に置いておきましょう。
長尺の金属板を使用することから雨水の流れる方向に対して継ぎ目ができにくく、屋根全体がシームレスに近い仕上がりとなります。
屋根材の接合部から雨水が入り込む可能性が低くなることから浸水リスクが抑えられ、高い防水性能を発揮します。
折半屋根は野地板などの下地材を必要とせず、金具を使用することでそのまま施工する事が出来ます。
そのため工期が抑えられ、さらに必要な縦材も少ない事からコストパフォーマンスにも優れます!
折半屋根は湾曲加工ができるため、ドーム型などの特殊形状屋根にも採用できる柔軟性も大きなメリットです。
折半屋根に限った話ではありませんが、金属製であることから断熱性能は低いです。
夏場は屋内が暑くなりやすく、反対に冬場は寒くなりやすい点に注意が必要です。
長尺である折半屋根を搬入・設置するためには、広いスペースが必要です。
大型施設の場合はクレーンを使用することが多く、周辺状況によっては施工に制限が発生する場合もあります。
金属屋根材であることから、経年劣化が進行する事で錆が生じるリスクがあります。
この錆の発生を防ぐためにも、定期的な塗装メンテナンスを欠かす事はできません!
折半屋根のメンテナンスポイントについては、ページの後半で詳しくご紹介させていただきます。

折半屋根の種類は主に
3つのタイプに分類され、屋根材同士の接合方法・構造が大きく異なります。
種類によってメンテナンスポイントが違うため、どのタイプの折半屋根が使用されているかぜひチェックしてみましょう!

はぜ締めタイプは、金属板の端を折り曲げて接合する方法です。
ボルトを使わず金属板に穴を開ける必要がないため、構造上、雨漏りのリスクが抑えられるという利点があります。
さらに、屋根材の継ぎ目がしっかりと密閉されることで、高い防水性を発揮するのも特徴です。
ただし、重ねタイプと比較すると強風に対する耐久性はやや劣る傾向があります。

重ねタイプは、金属板を重ね合わせた上でボルトを使用して固定する方式です。
固定力が強く、特に風の影響を受けやすい地域や海沿いの建物に適しています。
しかし、ボルトが露出しているため長期間使用するうちに錆が発生しやすく、防水性が低下する可能性があります。雨水が侵入しないよう定期的にボルトの点検を行い、防錆処理を施すことが大切です。
嵌合タイプは、金属板同士を専用のキャップでしっかりとはめ込んで固定する方式です。
この方式では骨格部分に固定するボルトがキャップで覆われるため、外からは見えず仕上がりがすっきりとした印象になります。また、接合部の密閉性が高いため、防水性能にも優れています。
ただし、他のタイプと比べると施工費用が高くなる傾向があり、特に広い範囲に施工する場合は、コスト面を考慮した上で選ぶことが大切です。
使用される材料・メンテナンス状況によって変動しますが、一般的に折半屋根の耐用年数は30~35年程度と言われています。
特にガルバリウム鋼板を使用した折板屋根は耐久性が高く、定期的な点検や適切なメンテナンスを行うことで、さらに長く使用することが可能です。

金属製の折板屋根にとって、錆びは避けがたい課題の一つです。勾配が緩やかになりやすい構造のため雨水や落ち葉が溜まりやすく、それが錆びの発生を促進する要因となることもあります。
錆びが進行すると屋根材が劣化し、
最悪の場合には穴が開いて雨漏りにつながる恐れがあります。そのため、折板屋根のメンテナンスでは
「錆びの発生を防ぐこと」と
「万が一錆びが発生した場合は速やかに対処すること」が重要なポイントとなります。
工場や倉庫の場合、雨漏りが発生した影響で精密機械や保管物に被害が及んでしまう可能性もあります。
そうした被害が生じる前に適切なメンテナンスを行っておくことで、
リスク回避・コスト削減に繋がります!
それでは、次に具体的なメンテナンス方法についてご紹介いたします。

折半屋根の錆対策として非常に重要となるメンテナンスが、屋根塗装です!
折半屋根に使用されるガルバリウム鋼板は優れた耐腐食性を備える一方、絶対に錆びない訳ではありません。経年劣化や傷が生じた部分などから、必ず錆は発生してしまいます。
また、ボトルキャップや止め具に生じた錆からの
「もらい錆」にも注意が必要です!
屋根塗装は折半屋根に施された塗膜の保護機能を回復させるとともに、防錆処理を施す事が可能です。
錆の要因が特に多い折半屋根です。定期的な点検とあわせ、塗装メンテナンスをしっかりと行っていきましょう。
また、以下は塗装メンテナンスを必要としているサインの一覧です。ぜひご確認下さい!
塗膜の剥離
変色・色あせ
チョーキング現象の発生
錆びつきの発生

塗装の下準備として
「ケレン作業」が行われることから、すでに錆が生じてしまっている場合も対処する事が可能です。また、下塗り材に
防錆効果を持つ塗料を使用することで、錆びの広がり・再発を抑制出来ます。
上記のように、
一度錆が発生したからといって手遅れになるというわけではありません!まずは、信頼できる施工業者へ点検を依頼してみましょう。

万一雨漏りが発生してしまった場合、状況にもよりますが
「屋根カバー工法」「屋根葺き替え工事」などのリフォームが必要となります。
屋根カバー工法とは、現在使用されている屋根の上に新しい屋根材を被せる様に設置する方法です。屋根の耐久性・断熱性・防水性とあわせ、その景観を回復する事が出来ます。
一方、屋根全体、特に下地材が劣化している場合には屋根葺き替え工事が適しています。
既存の屋根材を全て撤去した上、野地板・防水紙等の下地材のメンテナンスを行った上で屋根材も葺き替えます。
屋根をほぼ新品同様にすることが出来るリフォーム方法です!

最適な屋根リフォームの方法は、屋根の状態やお客様のご予算・ご要望によっても変わってきます。
被害を最小限に抑え最適な施工方法で解決するためにも、雨漏り発生後はすぐに信頼できる業者へ相談しましょう。

折半屋根の塗装メンテナンスを行う際、見積金額に深く関わってくるのが
「施工面積」です。
屋根の面積を正確に把握することは必要な塗料の量を適切に算出する事に繋がり、正確なお見積もりの作成を可能とします。
以下に、基本的な計算方法と注意点を紹介します。

一般的に屋根の塗装面積を求める際には、屋根の
「縦の長さ」と
「横の長さ」が必要となります。
しかし、
折半屋根の横方向には山と谷の形状があるため、表面積の計算には「折れ曲がり部分の長さ」を考慮する必要があります。たとえば、一つの谷の幅が200mmであったとしても、実際には折れ曲がった部分の長さを考慮すると実測値として288mmになったりします。
折半屋根の横方向の長さは、以下の計算式を使用して算出する事が出来ます。
折半屋根の横方向の長さ = 屋根の横の長さ × 係数
上記の計算式を使用する上で重要となるのが、折半屋根の形状・製品によって「係数」が違ってくることです。
折半屋根は、その板の波板や高さに応じて異なる係数が設定されています。
例えば、高さ88mmの「88タイプ」の折半屋根が使用されている場合、係数は1.44が使用されることが多いです。
係数の違いによって見積もりに大きな差が出ることもありますので、複数業者に相見積を依頼してその金額差をチェックする事も大切です。
上記の事から、折半屋根の塗装に必要な面積は以下の計算式で算出する事が可能です。
折半屋根の面積 = 縦方向の長さ × 係数を掛け合わせた横方向の長さ
ただし、折半屋根の面積算出には三平方の定理を使用した方法もあります。以下のページで解説しておりますので、ぜひご参考にしてみてください。

金属製である折半屋根は熱を吸収しやすい特徴があり、特に夏場には屋内温度が過度に上昇してしまうこともあります。
そうした状態を防ぐためには、
断熱塗料を使った屋根塗装が非常に効果的です。

断熱塗料には
熱の伝わりを抑える特性があり、塗装することで外部からの熱の影響を屋内に伝えにくくすることができます。
夏場には外の熱を遮断し、冬には温かい室内の空気を保持しやすくなるため、快適な室温を維持する効果に期待できます。
さらに、多くの断熱塗料は
遮熱機能も備えており、屋根が熱を吸収する原因となる赤外線を効率的に反射して屋根材自体の温度上昇を低減する機能も兼ね備えます。

断熱塗料を使用するメリットは、主に以下の4つです。
屋内温度の上昇を抑え室温を快適に維持する
空調効率向上による光熱費削減効果
作業環境が向上する
空調の効率・設定温度の変化によるCO2排出量削減
断熱塗料を使用した屋根塗装は、快適性・経済性・環境への配慮など非常に大きなメリットをもたらします。
特に大規模施設である工場・倉庫などはそのメリットが最大限に発揮されやすく、ぜひ導入をご検討ください!
まとめ
●折半屋根とは規則的に鋼板を折り曲げて作られる金属屋根であり、軽量性・耐久性に優れる事から工場・倉庫などの大型施設で多く採用されています
●金属素材である折半屋根は錆への対策が非常に重要です
●折半屋根の種類は「はぜ締めタイプ」「重ねタイプ」「嵌合タイプ」の3タイプに大別されます
●凹凸がある折半屋根も表面積の算出は可能です
●ガルバリウム鋼板は錆に強い素材ではありますが、寿命を延ばすためには定期的な塗装メンテナンスを行う必要があります
●雨漏りが確認された場合、屋根カバー工法・屋根葺き変え工事によるリフォームをご検討されることをおすすめいたします
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