寿命が長い屋根材とは?耐用年数から見た各屋根材の耐久性ランキング!
屋根材を選ぶとき、住まいを綺麗に見せるためにデザインや色にもこだわりたい一方で、「長持ちして欲しい」と寿命が気になるものですよね。
住まいのなかでも過酷な環境となる屋根。家の最も高い部分にあるため、特に強風や日射の影響を受けやすい箇所です。雨風や紫外線などを受けつつ、住む人を守ってくれています。
また、寒い地域ともなれば、雨風に加えて雪の重みに耐えなければなりません。溶けた雪で軒に氷柱ができることもあります。やはり耐久性があって、長寿命の屋根材を選びたいものです。
屋根材ごとの特徴を比較してみよう
それでは、瓦(釉薬瓦・いぶし瓦・無釉薬瓦)・セメント瓦・コンクリート瓦・スレート(コロニアル・カラーベスト)・金属(ガルバリウム)・自然石粒仕上げ屋根材・アスファルトシングル・ハイブリッド瓦など、一般的に流通している屋根材の特徴をひとつずつ比較してみましょう。
粘土瓦は、粘土を主原料とし焼いて形成した屋根材です。表面処理の方法で、「釉薬瓦・無釉薬瓦(いぶし瓦・素焼き瓦)」に分かれます。
釉薬を表面に施し、焼き上げた瓦を「釉薬瓦」と言います。ガラス質でツルツルした表面が陶器のようです。仕上がりが陶器と同じため「陶器瓦」とも呼ばれています。
整形した粘土をそのまま焼きあげたのが「無釉薬瓦」です。そのままのものを「素焼き瓦」と言い、赤っぽい自然な風合いをしています。無釉薬瓦に燻す工程が加わると「いぶし瓦」になります。表面に炭素の膜ができ、光沢を抑えたギングロという黒色となるのが特徴です。
セメントを主成分とした瓦を「セメント瓦」と言います。ほとんどは塗装で色をつけますが、なかには釉薬を施したものもあります。瓦の端部がすっきりしているのが特徴です。
「コンクリート瓦」の主成分はモルタルです。スラリー層という無機質着色材に塗装が施され、端部がゴツゴツしているのが特徴です。
セメントを主成分とし、補強繊維と樹脂膜で包んだ気泡から構成されるハイブリッドな屋根材です。
かつては天然の粘板岩を薄く加工した屋根材をスレートと言っていました。しかし、現在は、セメントに繊維を混ぜ込み造った人造スレートを「スレート」の屋根材と呼びます。現在、流通量が多い屋根材です。
金属屋根と言えば、昔は「トタン(亜鉛めっき鋼板)」がおなじみでした。現在の金属屋根は、アルミ・亜鉛めっき鋼板を加工したものが多いです。
アルミ・亜鉛めっき鋼板を加工した屋根材を「ガルバリウム鋼板」と言います。トタンよりも長寿命で、金属屋根として人気があります。
SGL鋼板とは、アルミ・亜鉛めっきにマグネシウムを加えたものを指します。ガルバリウムと比べると3倍もの耐久性があると言われています。ガルバリウムとほぼ変わらないめっき成分ですが、マグネシウムを2%含むものに変更されました。
ジンカリウム鋼板やガルバリウム鋼板の表面に天然石を付着させ、それを覆った金属屋根材です。表面を天然石で仕上げているため、金属屋根材には見えません。「自然石粒」と「めっき鋼板」という組み合わせから、ハイブリッド屋根材に分類されることもあります。
ガラス繊維にアスファルトを染み込ませ、仕上げに彩色焼成砂や天然石を付着させて覆う屋根材です。シート状なので平面はもちろん、折ったり曲げたりしてさまざま形状にフィットさせることができます。
今回は、異常気象や地域性は条件に含めず、公平なランキングとなるようにしました。
例えば、長寿命の屋根材として知られている瓦ですが、「特別な自然災害などで割れやすく、寿命が長いとは言い切れない」と指摘する方もいます。
しかし、異常気象などを盛り込んでしまうと公平なランキングにはなりません。そこで、今回はメーカーの保証規定に沿った土地で使用されることを前提に順位をつけていきました。
各屋根材の耐久性ランキング 目次
1位は、無機の釉薬で色をつけ、1000℃以上の高温で焼きあげ形成する「釉薬瓦」です。製造の過程で1000℃にも耐えられる瓦ですから、通常暮らしていくなかで起こる「高温・低温」で色が褪せていくことはありません。(ただし、経年で色はやや薄くなります)
2位は、自然石粒仕上げ金属屋根材(ガルバリウム・ジンカリウム)です。ほとんど無機の「自然石粒」で仕上げられています。
同じく2位のハイブリッド瓦は、無機を主成分としたもので着色されていますが、釉薬よりもちょっと劣る程度と言われています。
4位は素焼き瓦です。こちらもかなり高温で焼き上げられた屋根材です。
高温で焼き上げられた燻し瓦は有機物である炭素を含んでいるため5位です。経年で色褪せはありますが、初め黒だったものがいつしかシルバーグレーになるのは、“色が褪せる”というマイナスなイメージよりも、むしろ“色の変化を楽しむ”というプラスのイメージにとらえることもできるでしょう。
6位以下の屋根材は、同じ基材でもグレードによって仕上げ塗料が「高耐候のフッ素か・それ未満」となることから、ランキング対象は平均的なものをチョイスしました。
8位のスレートですが、製品によって無機を主成分とする釉薬よりも少し劣る程度のものを使っているケースもあります。その場合は、2位と同等と考えることができます。
どんな屋根材も色褪せは防げませんし、「耐用年数が長い屋根材」は高耐候の塗料を塗ってこそ実現する耐用年数と言えるでしょう。
耐久性の1位はなんと言っても「釉薬瓦」です。釉薬瓦の耐用年数は「60~100年」と言われることもあれば、「40年以上」「50年」などと言われることもあります。いずれにしても、長寿命の屋根材と言えるでしょう。メーカーによって耐用年数の回答がバラバラなのは、釉薬瓦のデータを取っていないからのようです。
元興寺の瓦(素焼き瓦)は、600年前後の創建当時のものが一部、今でも使われているそうです。一部とは言え、約1400年もの年月を経て現在でも屋根材として活躍していることになります。
瓦は、品質によって寿命が左右されることが多いです。いぶし瓦でも「表面だけに炭素膜があるもの(表面だけ黒い)」と「全体に炭素膜が浸透しているもの(中心まで真っ黒)」があり、長寿命なのは後者と言われています。
この屋根材は、表面の化粧(塗膜)によって耐久性が異なり、フッ素など高耐候な塗料で仕上げられていると耐用年数は長くなります。
アスファルトシングルは、そもそも海外ではメジャーな屋根材でした。しかし、日本での屋根材としての歴史が浅く、日本でのシェア率は低めです。施工例も多くはないため、比較ができません。
街の屋根やさんでこれまで見てきた事例のなかでは、メンテナンスせずに放置していた結果「表面の彩色焼成砂がほとんど剥がれている」「繊維に染み込んでいたアスファルトがなく、繊維だけ」など、屋根が剥がれかかっている・落ちている状態のケースがございました。
現在では、改良が重ねられて耐久性も高まっているかと思いますが、日本の気候にあまり向いていないと言われることもあります。
水の染み込みにくさで考えると、屋根材が重なり合う部分に防水堤や返しがついているハイブリッド瓦、そして各種金属屋根材が上位と言えます。アスファルトシングルも屋根材同士を接着しているので、水は染み込みにくいでしょう。
“内部の湿気を逃がすため屋根材の重なり合う部分に隙間があるスレート”、“屋根材の下の換気が考慮されている瓦”は、暴風雨で雨が吹き込む可能性があります。そのため、ランキングは下位です。瓦にはいくつかの種類がありますが、それぞれ水の染み込みにくさを考慮して順位をつけました。
なかでも、陶器質の表面仕上げの釉薬瓦は水が染み込みにくいです。そして、燻し瓦、素焼き瓦が続きます。
セメント瓦とコンクリート瓦は、そもそも染み込みやすい特徴があり、ランキングは下位の方となりました。
今回のランキングでは、「重いか・軽いか」で考えました。しかし、地震に強いかどうかは、屋根材の重さを単純に比べるだけでは判断できないと理解しておきましょう。
一般的な住まいは、「どんな屋根をどのくらいの重量で取り付けるか」を計算した構造となっています。屋根材のなかでも瓦は重いので、設置するには耐力壁を設けて家の基礎や柱を強固にしなければいけません。つまり、同じ耐震等級なら屋根材が軽くても重くても地震に対する強さは変わらないのです。
大きな地震で、瓦が落ちる様子をテレビなどで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。その部分だけを見ると「瓦が地震に弱い」印象を持ちますが、近年では瓦を設置する際に、地震対策が念入りに行われています。
ただ、「ビス止めで固定」「鉄筋を入れて棟瓦を固定」などで地震対策をしても、そもそもお住まい自体が慣性の力で崩壊する可能性があります。揺れたときの慣性の力を考えると、やはり重量の軽い屋根材をおすすめします。
また、「地震が起きたときに耐えられる構造で家を建てる」ということはもちろん重要ですが、地盤がどれだけ強固かも揺れの大きさを左右します。
これから家を建てる・中古住宅を買う場合は、各自治体のハザードマップで地盤の強さを確認しましょう。また、すでに「地盤が弱く、地震の際は揺れやすい」という土地に住んでいるのなら、現在居住中の家の負担を減らすリフォームを考えてみましょう。
屋根を葺き替えるリフォームなら、現在のものよりも軽い屋根材を選択してください。
今回、ランキングに入っている屋根材は、それぞれの特徴は違っていても、屋根に求められる機能は十分に満たしています。そのため、「塗装などの屋根メンテナンスをせずとも防水性が長期にわたって期待できる」、「地震が起こっても被害にあいにくい」などの観点から総合的なランキングを考えました。
めっき鋼板の屋根材とハイブリッド瓦が上位に来ているのは、現在、技術開発が進んで機能性がアップしている屋根材と言えるからです。
耐久性で見ると5位の素焼き瓦までの大差はありません。耐震性を考えて順位を考えました。
また、前述したように、歴史が浅く施工事例が少ないアスファルトシングルは比較ができず対象外となっています。
1917年6月
埼玉県北部で降雹
大正6年(1917年)6月29日、埼玉県北部で降った雹は世界的にも稀有な記録となりました。
当時、長井村にある大正寺の住職が実測したところによると直径約29.5cmもの大きさの雹があったと言われています。
また、同じ地域にある中條村大字今井の荒物商「角屋」によると、大きな雹を持ち帰り重さを測ったところ、多少溶けていたもののなんと3,400gもあったそうです(※地名は当時のもの、単位は現在のものに変換している)。
2010年7月
アメリカサウスダコタ州で雷雹
現在の公式記録のうち、世界最大なのが2010年7月23日にアメリカサウスダコタ州のビビアンで降った雹です。雷雨がおさまってから、地元住民が被害状況を調べたところ、なんとバレーボール並みの巨大な雹を見つけ、いくつかを冷凍庫に入れて保存しました。
直径約20.3cmの大きさ、そして重さは約878.8 gもありました。
前述の日本のものと密度を比較すると、
・埼玉県北部の雹 ⇒ 1立方センチメートルあたり約0.427 g
・サウスダコタ州の雹 ⇒ 1立方センチメートルあたり約0.373 g
と、それぞれ誇張された数値でないことが分かります。
まるでボールのような大きさで重量のあるものが空から降ってくれば、強度が高いと言われている瓦でも金属でもおそらく壊滅的な被害を逃れられないのかもしれませんね。
屋根材が持つデメリットは屋根リフォームで解消ができる
今回、すべてのランキングにおいて「標準的な工法や勾配」で設置されたことを前提に比較してみました。
屋根材が持つデメリットは、リフォームをすることで解消できます。
たとえば、
・耐用年数の長い防水紙に交換する
・屋根塗装をするなら超高耐候の塗料を選ぶ
・水切れをよくするために屋根の勾配を少し増す
などです。
新築のときは屋根材が新しいことから、あまり耐用年数を意識しないケースもあるでしょう。しかし、実際にメンテナンス時期がやってくると「こんなに耐用年数が短かったなんて…」「頻繁に屋根メンテナンスをするとなれば費用が気になる」などお悩みになるかもしれません。
悩んだときは、リフォームのタイミングです。悩んだままでモヤモヤして過ごすよりも、思い切って屋根リフォームをすることで今後の暮らしも快適になります。
さまざまな屋根に関するお悩みがあるかとは思いますが、必ず解決ができます。街の屋根やさんでは、お客様の悩みに寄り添いながら、ベストなご提案をしております。
関連するブログ一覧
関連する施工事例一覧
関連するお客様の声一覧
街の屋根やさんが施工している様々な、屋根工事と屋根リフォームの一覧をご紹介します。
お客様の不安を解消できるように、お問い合わせから工事の完成までの流れをご紹介しています。
街の屋根やさんが施工している様々な屋根工事と屋根リフォームの一覧をご紹介します。
お客様から寄せられた屋根に関する疑問を、当店スタッフが親身に回答しています。
弊社で行った施工事例をご紹介しています。詳細な説明と写真でわかりやすくお伝えします。
弊社の会社概要になります。街の屋根やさんとはこんな会社です。