屋根リフォームは「屋根葺き替え」と「屋根カバー工法」のどちらを選ぶのが正解?

屋根リフォームのなかでも大規模な工事となる「屋根葺き替え」と「屋根カバー工法」。「そろそろ屋根の寿命だから新しいものにしたい」「部分補修ができないほど雨漏りがひどい」などの理由から、これらの屋根リフォームを検討する方も多いでしょう。
どちらも“新しい屋根にする”という意味では同じですが、工法や工期、コストなどはだいぶ異なります。詳しい内容を知らなければ、屋根リフォームをしたいときに疑問ばかりでなかなか決断できないかもしれません。いずれにしても、大規模な工事となりコストも大きいため、それぞれの特徴を知っておくと安心です。今回は、屋根葺き替えと屋根カバー工法のそれぞれの特徴やメリット・デメリットなど詳しくお伝えしていきます。
【動画で確認「屋根葺き替えVS屋根カバー工法」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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どんなタイミングで「屋根葺き替え」や「屋根カバー工法」を検討する?
どんな屋根材や下地でも必ず寿命があり、数十年と長く住み続ける間に屋根リフォームのタイミングが訪れます。大事なお住まいを守る屋根ですから「丈夫に長持ちして欲しい」という気持ちの一方で、「メンテナンスにかけるコストはなるべくおさえたい」と考えている人もいらっしゃると思います。
また、「いつ屋根リフォームをすべきか」というタイミングが分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで、屋根葺き替えやカバー工法を考えるタイミングについて、いくつかご紹介します。
既存屋根材が寿命を迎えている
屋根材の寿命が近づいた頃、もしくは寿命を過ぎてしまった頃は、屋根リフォームのタイミングです。
晴れた日、雨の日、風の日…というように年中住まいを守ってくれる屋根。紫外線や雨・風の刺激を受け続けているため、少しずつですが劣化し寿命を迎えます。屋根材によって症状はばらばらですが、スレート屋根には「ひび割れや反り」、金属屋根には「錆や穴あき」、セメント瓦には「割れや欠け」など、いつかは寿命と言われるほどの老朽化が出てくるでしょう。
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寿命を迎えた屋根は、雨風の刺激に耐えるのが難しいです。屋根材が飛んだり、雨漏りがひどくなったりと症状は悪化します。既存の屋根材はもう使えませんから、葺き替えや屋根カバー工法で対応しなければなりません。しかし、屋根材が寿命を迎えたかどうか、実際に屋根の上に登ってご自身で確認するのは危険をともないます。老朽化のチェックは専門家にお任せください。
ただ、屋根材ごとに「寿命はどのくらいか」という目安を知っておくことで、リフォームのタイミングを判断しやすくなります。
屋根の寿命
屋根材 |
寿命 |
いぶし瓦 |
30年~50年 |
セメント瓦・モニエル瓦 |
30年 ~40年 |
スレート |
0年 ~30年 |
アスファルトシングル |
10年 ~20年 |
トタン |
15年 ~20年 |
ガルバリウム鋼板 |
25年 ~35年 |
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※屋根材の寿命は環境によって異なります。
雨漏り被害が起こったとき
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雨漏り、室内誕生からの雨漏り"
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雨漏り"
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小屋裏や室内に雨漏りが見られたときは、リフォームするタイミングの目安です。ただ、雨漏りの被害がどのくらい起こっているかによります。屋根材を全部取り替えなくても、部分補修で対応が可能なケースもあります。
例えば「台風や暴風で屋根が剥がれた」など、突発的な自然災害の場合です。被害が起こった部分だけに限定して修繕できることもあります。
葺き替えやカバー工法をした方がいいケースとは、15年も20年も経ったような古い屋根材での雨漏りが起こっているときです。長年の劣化で雨漏りが始まり「何度も補修しているのに再び雨漏りする」などの場合、雨漏りが限定的ではなく、全体的に広まっている可能性があるからです。
「葺き替え」や「屋根カバー工法」が本当に必要なのかについては、専門業者が状況を確認することになります。ただ、雨漏りが見られる場合には、何らかの補修をしなければなりません。その選択肢として、「部分補修なのか」「全体のリフォームなのか」を検討するタイミングと言えるでしょう。
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それでは、葺き替え工事と屋根カバー工法について、工事内容や違いを見ていきましょう。
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これまであった屋根を取り外して撤去した後、新しい屋根材を取り付ける工法です。
屋根材はもちろん、屋根の下地になる野地板や防水紙など総合的に新しいものにします。
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既存の屋根はそのまま残し、上から覆うように防水紙と屋根材を取り付けていく工法です。
新しい屋根材には、軽量な金属屋根(ガルバリウム鋼板)を選ぶことが多いです。

「新しい屋根材になる」という点では、同じ工事内容の屋根葺き替えと屋根カバー工法。いったいどちらを選んだらいいのか、選択に悩みますよね。
そこで、それぞれのメリット・デメリットを知り、自分にとって合っている工法を選ぶことが大事です。また、比較の際に「どちらが安いか」を重視する人もいるかもしれませんが、価格面だけで決めるのは後悔につながるので注意しましょう。
瓦屋根の場合、「葺き直し」という選択肢も
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屋根材が「瓦」の場合に選択できる工法です。既存の瓦をいったん取り外し、防水紙や野地板などの下地を新しくし、再び瓦を葺いていきます。
瓦屋根は、もともと高い寿命を持つ屋根材です。そのため、下地が傷んできても瓦自体は問題なく使えるというケースも多々あります。瓦屋根では、寿命の低い下地だけを取り替える「葺き直し」という方法も可能なのです。
屋根葺き替えのメリット・デメリット
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屋根葺き替えの大きなメリットは、屋根材はもちろん、野地板、防水紙まで全部新しくできる点です。屋根全体が新築と同じようになるため、寿命もリセットされ、次のメンテナンス時期まで長くなります。見た目の劣化や雨漏りなど、屋根に関する不安がなくなるので安心です。

また、新しい屋根材を選ぶときに、これまでのものより軽くすれば、住まいへの負担も軽くなります。建物の頂上付近に重さが加わるほど揺れが大きくなりますから、軽い屋根材にすれば地震時の揺れの軽減にもつながるでしょう。耐震性の向上という意味では、メリットと言えます。
ただ、デメリットとして挙げられるのは「工期の長さ」と「コスト面」です。屋根材の撤去・新設で手間もかかるため、費用は高くなるでしょう。
しかし、「雨漏りの不安がなくなる」「メンテナンス期間に余裕ができる」「耐震性が高まる」など、デメリットを上回るようなメリットが存在する点は魅力的と言えるのではないでしょうか。
屋根カバー工法のメリット・デメリット
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「既存の屋根材+新しい屋根材」となるため、全体的に重さが加わります。そのため、できるだけ軽い屋根材を選ばなければならず、多くの場合「金属屋根」を選択せざるを得ないのがデメリットと言えるでしょう。

既存の屋根の解体の手間・撤去費用がないため、工期が短くなるというメリットがあります。二重の屋根となり、断熱性や遮音性が高まるのもメリットです。
現在の屋根によって、どんな屋根材を使えるかが異なる
葺き替えや屋根カバー工法は、既存の屋根材によって「どちらを選択するか」の判断ポイントがあります。

まず、覚えておきたいのが瓦屋根の場合、「カバー工法という選択肢を選ぶのが難しい」という点です。
瓦屋根のような凹凸のある形状の上に新しい屋根材をカバーできず、そしてそもそも重い瓦に新たな屋根材では建物にとって重量が負担となるからです。つまり、既存の屋根材が瓦なら、「屋根葺き替え」か「屋根葺き直し」のどちらかを選ぶ必要があります。
また、瓦屋根以外でも「屋根カバー工法」が選べないケースがあります。それは、屋根材や下地が著しく劣化し、腐食などが起こっている場合です。
「劣化状況によってカバー工法を選べない」ということは、事前に想定しておくといいかもしれませんね。
すべての屋根材で可能なのは「屋根葺き替え」。でも新設の屋根材が制限されることも…
カバー工法と違い、屋根材を問わず選択できるのが「葺き替え」という工法です。
これまでと違った屋根材を選ぶこともできるため、見た目の雰囲気を変えることはもちろん、今後の性能や寿命を考えながら屋根材を新設することができるでしょう。
なかには、見た目の雰囲気を一新するため、「カラーベスト(スレート・コロニアル)の屋根を和風の瓦にしたい」というお考えの方もいるのではないでしょうか。ただ、カラーベストの屋根を瓦に葺き替えるのは、あまりおすすめできません。
なぜなら、家を新築する時点で、屋根や外壁の重さに対して耐えられるように柱、壁などの数を調整して計算されているからです。カラーベストの屋根材を想定している住宅に、重量の重い瓦屋根を新設するのは大きな負担となります。つまり、屋根葺き替えをするときには、設計上の問題から「既存の屋根材よりも重い屋根」を選ぶことはNGです。逆に、既存の屋根より軽いものを新設すれば、住まいの耐震性アップが期待できるでしょう。
屋根カバー工法で重量増はどのくらい?
屋根カバー工法は、現在の屋根を撤去するわけでないため、軽い屋根材を選んでも今よりも重量が増えます。「重量増がどのくらいか」という点が気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、スレート屋根に金属屋根(ガルバリウム鋼板)でカバーした場合に、どのくらい重量が増えるかを具体的に見てみましょう。
カバー工法では、防水紙も新設します。「防水紙+新設する金属屋根材」を合わせても1㎡あたり6kgほどの重量増です。1㎠あたりだと、わずか0.6gしか増えません。
スレート屋根の場合、1㎡あたり17~20kg前後の重さですから、新設部分を合わせても23~26.5kgくらいです。1㎡あたり約60kgの瓦屋根と比べても、はるかに軽いですよね。つまり、スレート屋根に金属屋根をカバーしても「瓦屋根よりは軽い」と言えるでしょう。
屋根の「重い・軽い」と耐震性はどう関係している?
重い屋根材を軽くすれば耐震性はアップします。ただ、屋根の重量が耐震性とどんな風に関わっているか、仕組みがよく分からないと感じている方もいるのではないでしょうか。
地震のとき、「建物の重量」が重いほど揺れ幅は大きくなります。重い屋根材が加わっている上部に重心が高くなるからです。逆に、軽い屋根材の場合は重心も低くなり、揺れ幅も小さくなるのです。

屋根カバー工法をしたいけれど耐震性が気になる…。そんなときはご自身で耐震性を高める工夫もできる
屋根カバー工法による重量増は「1㎡あたり約6kg(1㎠あたり0.6g)」と前述しましたが、なんとなくイメージがわかないという方もいるのではないでしょうか。
もっと分かりやすく言えば、「これまでの屋根の重量より30%増える」ということです。このように聞くと「かなり増えそう…」と感じるかもしれません。しかし、屋根カバー工法でリフォームをしたいと考える人も多く、さまざまな建材メーカーでは「屋根カバー工法に適した屋根材」が開発されています。
1㎡あたり約6kg程度ですし、軽い屋根材を選べば、耐震性に大きく影響することはないと言えるでしょう。重量増の数値を聞いたうえで「どうしても耐震性が気になる」という方は、屋根カバー工法よりも屋根葺き替えという選択肢の方が安心できるかもしれませんね。

また、屋根材とは関係なく、ご自身で耐震性を高める工夫もあります。さきほどお伝えしたように、重い部分が上部にあるほど建物は揺れます。そのため、2階建て以上の住宅なら、重い家具を上階に置かずに1階に置くという対策でも耐震性を高めることができます。
たとえば、本棚を例にとって考えてみましょう。サイズが「高さ180cm×幅90cm」の本棚に本を満載すれば重さは350kgほどです。読書が趣味で本棚を複数並べているケースもありますよね。本棚が2つなら700kg、3つならなんと1050kgということになります。もし、重い本棚が上の階にあるなら、1階に移動させるだけでも耐震性は高まります。
屋根カバー工法は強風に弱くないですか?
屋根カバー工法は、新しい屋根を上に被せるだけなのでしょうか?台風などの強風で剥がれないか心配です。
屋根材1枚1枚をビス止めしていますので大丈夫です
「カバー」というワードのイメージから、「上に被せるだけで大丈夫…?」と心配される方もいるかもしれません。でも、屋根材はしっかりとビスで固定しますから、耐風性も確保されていますのでご安心ください。
屋根カバー工法の耐用年数は?
屋根カバー工法は、葺き替えと比べて工事が簡単とお聞きしますが、耐用年数は短くないのでしょうか?耐用年数がどのくらいあるか知りたいです。
メーカーの保証期間以上の耐用年数があります。
メーカーの保証期間よりも、長持ちするケースがあります。
たとえば、ガルバリウム鋼板の場合でもメーカーによって差はあるものの、だいたい15~20年の保証期間が設定されています。一般的に耐用年数よりは長持ちしますし、メンテナンス次第ではそれ以上の寿命が期待できるでしょう。
長く雨漏りしていたけど、屋根葺き替えは可能?
数年前から雨漏りに悩んでいます。雨漏り箇所は1部屋だけなのですが、「雨漏りするとき・しないとき」とそのときによって状況が違います。そのため、なんとなくやり過ごしてきたのですが、最近、雨漏りの状況が悪化してきました。
我が家のように、長く雨漏りを放置して傷みがひどい場合でも「屋根葺き替え」は可能でしょうか。
傷みのひどい部分はしっかり補修してから屋根葺き替えを行います
屋根の葺き替えは「これまでの屋根をすべて撤去する方法」なので、長引いた雨漏りがあっても屋根葺き替えはできます。屋根材を取り除いた後、傷んでいる下地をしっかり補修してから、新しい屋根を取り付けていきます。
また、葺き替えをする前に屋根の状況を点検してから、施工内容や金額についてお伝えしています。ご不安な点がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
「葺き替え?屋根カバー工法?」どちらを選ぶべきか迷ったらまずはご相談ください!
お伝えしてきたように、「屋根葺き替え」と「屋根カバー工法」はそれぞれ特徴やメリット・デメリットが異なる屋根リフォームの方法です。決断に迷ったときには、まずは「今の家にあとどのくらい住むのか」という視点で考えてみるのもいいでしょう。
また、予算や将来的なことを考えても結論が出ない方も多いかもしれません。そんなときには、ぜひ街の屋根やさんにご相談ください。お住まいの状況をしっかり点検したうえで、お客様のライフプランに合わせてぴったりの屋根リフォームをご提案させていただきます。
お住まいの状態はそれぞれで異なり、状況によって選択すべき方向性がある程度限られるケースもあります。どうすればよいかご自身で悩み過ぎて屋根リフォームのタイミングを逃がしてしまうことは、大切なお住まいの寿命を短くしてしまうことにつながります。
私たち街の屋根やさんでは、ご不安を抱えいるお客様の気持ちに寄り添うために、屋根点検とご提案書・お見積りを無料でお受けしています。ぜひ、無料点検をご活用ください。
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屋根葺き替えと屋根カバー工法 どちらを選ぶのが正解?まとめ
●葺き替えや屋根カバー工法などの屋根リフォームのタイミングは、屋根材の寿命を迎えた頃や雨漏り症状があるときです
●今までの屋根を解体して撤去し、下地もすべて新しくするのが「屋根葺き替え」、既存屋根を新しい屋根材で覆うのが「屋根カバー工法(重ね葺き)」です
●瓦屋根の場合、既存の瓦を撤去して下地を補修し、再び瓦を取り付ける「葺き直し」という選択肢もあります
●葺き替えは、屋根材だけでなく下地も新設できるため、これまでの不具合をリセットすることができます。寿命がゼロからとなりメンテナンスサイクルが延びるのはメリットですが、工事期間が長引き費用が高くなるデメリットもあります
●屋根カバー工法は、工期が短くて費用がおさえられるメリットがあります。ただ、「選べる屋根材は限定的」「既存屋根が瓦屋根の場合は施工できない」などの注意点もおさえておきましょう
●屋根葺き替えは、現在の屋根材の種類を問わず対応できる工法です。ただし、既存の屋根材よりも重たい屋根に葺き替えることはできません
●屋根の重量は、家の耐震性と深く関わっています。屋根カバー工法で選ぶ屋根材には、軽い金属屋根がおすすめです
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