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屋根の内部の構造ってどうなっているの?
建物を守る屋根、普段目にすることのない部分ですが常に風雨にさらされ過酷な環境から大切な建物を守っています。
また屋根の形にも様々な形があります。一般に見られる2面の屋根、4面以上の多面体の屋根、とんがった急勾配の屋根や真っ平らな屋根など、形を見ただけでも色々あります。
一般的には屋根は斜めになっていて雨水が下に落ちるようになっています。そんな屋根の内部の構造って、考えたことがあるでしょうか?日ごろ目にしない屋根の形状をちょっと理解していただけると、雨漏りの原因や雨漏りの可能性が解ることもあります。年々凶悪化する台風、常に隣り合わせの地震のリスク、いずれも屋根に大きな被害をもたらします。もちろんこれら以外にも紫外線や雨風の影響を受け、お住まいの外装で最も早く劣化が進む屋根。突然発生した被害や不具合に慌てないために屋根の事を知っておくことはお住まいと長いお付き合いをする上で大切なことだと思いませんか?
こちらのページでは外からは瓦やスレート、金属といった屋根材しか見ることのできない屋根の中、構造やどのように施工されているのかについて見ていきましょう。
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屋根を構成する部材・部位
「屋根」と聞くと、「瓦」や「金属屋根」など屋根材を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。普段私たちが街を歩いていたり、ご近所の屋根を見上げて目に入るものと言えばそうした屋根材ですから、屋根と言えば屋根材を思い浮かべるというのは当然ですよね。
しかし屋根は決して屋根材だけで建物を守っているわけではありません。新築の建築風景を見たことのある方であれば、木材が組まれ、屋根の形を作り、そこに板を張って・・・と何となく想像できる方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、それぞれを「何て呼ぶのか?」「どんな役割があるのか?」と聞かれるとわかる方のほうが少ないですよね。
屋根の構造として、まずは屋根を構成する部材や部位の詳細について見ていきましょう。
垂木
屋根の傾斜に沿って上から下へ流れている構造材です。この材料が屋根の基本となります。 勾配のある屋根であればどんな屋根であっても必ず設置されており、屋根面の荷重を支える役割があります。わかりやすい表現で言えば、屋根の「縁の下の力持ち」として屋根を支えてくれている部位と言うことですね。 一般的には約45cm間隔で設置をしています。屋根材の固定などもこの垂木に合わせて釘を打てば、屋根の強度向上に繋がったり、雨漏りの可能性が少なくなります。
野地板
垂木の上に設置しているのが野地板です。以前は18cmくらいの幅で厚さ5mm位の板(小巾板)を重ねて設置していましたが最近は厚さ9mm、または12mmの構造用合板(1800mm×900mm)を使うことが主流となっています。
防水紙、屋根材を敷くための土台となる部分でこの上に防水紙、そして屋根材を設置していくことになります。
表からは見えず、多くの方が野地板の存在を「初めて聞いた」という方も多いことと思います。
しかし屋根の土台であるため重要であることは言うまでもありませんし、耐用年数が20年~30年であるため屋根の葺き替え時等に屋根材と合わせてメンテナンスを行います。
※構造用合板とは・・・ 屋根の下地以外にも床や壁の下地など住宅の構造耐力上、主要な部分に使われる、非常に強度の高い素材です。
防水紙(ルーフィング)
野地板の上部に設置するシートです。実は雨から室内を守ってくれているのはこの防水紙(ルーフィング)がとても大きな役割を果たしています。 わかりやすく言うと屋根からの雨漏りを防ぐ最後の砦となってくれている部材ですね。
多くの方が、例えば屋根材が割れた、外れたなど屋根材に問題があると雨漏りに発展してしまうと思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
しかし、屋根材に不具合があっても実は防水紙に不具合がなければ雨漏りに発展することはありません。
「えっ!」と思う方も多いかもしれませんね。しかし事実そうなのです。「最後の砦」といったのは脚色でもなんでもなく、屋根からの雨漏りを防いでくれているのは紛れもなく防水紙(ルーフィング)なのです。
防水紙には沢山の種類が出ています。新築時にはそこまでこだわったという方はいらっしゃいませんよね。しかし屋根の雨漏りにとても重要な材料ですので、葺き替えやカバー工法といったリフォームをする際には良質の材料をお選びいただくことをご提案いたします。
一般的な防水紙から改質アスファルトルーフィング、粘着タイプのもの、厚手の粘着タイプのものなど種類は多岐に渡っています。最近は遮熱タイプも出ています。
屋根材
そして、仕上げとして防水紙の上に敷かれるのが皆さん目にする屋根材です。 もちろん風雨にさらされる部分ですし、紫外線も常に浴びていますから紫外線や雨などに強い材料などいろいろな種類が出ています。 屋根材は「お住まいの見た目」としての役割、また一次防水としての役割を持ちます。一次防水とは屋根材が受けた雨水を適切に雨樋まで受け流す役割ですが、屋根の防水はこの屋根材の一次防水、そして万が一屋根材の内部に雨水が浸入しても防水紙(ルーフィング)によって雨漏りを防ぐ二次防水とで守られています。
屋根はこうした部材によって構成されていますが、さらに「棟」や「鼻隠し」、「破風」などといった部位が存在します。あまりに専門的な用語ですので「何て読むの?」と初めて見る単語もあるかと思いますが、屋根工事をご依頼する際や見積もりや提案書を見る際など非常に役立ちますのでこちらも是非覚えておきましょう。
棟
こちらは「むね」と読みます。例えば三角屋根(専門的には切妻屋根と言います)であれば、屋根面が二つありますよね。その面と面が重なる山部分(頂点部分)を「棟」と呼びます。棟は三角屋根だけにあるわけではなく、例えば寄棟屋根であれば4面で構成されている屋根であり、頂点部分の「大棟」、そして頂点から下っている山を「隅棟(すみむね・下り棟)」と呼びます。
こうした棟と呼ばれる部分は屋根の弱点部分とも言え、雨漏りが発生しやすい場所でもあります。(屋根面が重なり合う部分で隙間ができるため当然ですよね)そのためスレート屋根や金属屋根であれば「棟板金」という板金部材を取り付け、雨水の浸入を防いでいます。また瓦屋根であれば「棟瓦」が施工されています。
鼻隠し(はなかくし)
初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。先述した垂木を隠すために軒先の先端に設置されている部材です。屋根の軒先には雨樋が設置されていますが、雨樋を設置するための下地となっている部分を指します。
屋根同様雨水や紫外線による影響を受けるため、塗装によるメンテナンスが不可欠です。
破風(はふ)
鼻隠し同様、屋根の軒先を指しますが、特に破風は切妻形状の屋根の妻側(屋根を横から見たときに三角に見える部分)のことを言います。またここに設置されている部材を破風板と言います。
鼻隠しは雨樋に隠れていますが破風はむき出しになっているため、より雨や紫外線の影響を受けやすくこちらも定期的なメンテナンスが必要となります。
軒天(のきてん)
外壁の際に立って、上を見上げると屋根の裏側が見えませんか?この屋根の裏側を軒天と言います。天を向いている部分と違って、屋根の裏側である軒天は一見劣化とは無縁と思いがちですが意外とそうでもないのです。
もしかしたらご自宅の軒天を見上げたら雨染みが広がっていたり、木材が剥がれてしまったりしていませんか。確かに風を伴わない雨であれば影響を受けることはありませんが、横殴りの風が伴うような場合は鼻隠しや破風に伝う雨が、風によって軒天に運ばれ劣化の影響を作ってしまう事があります。
破風や鼻隠し同様定期的な塗装メンテナンスや腐食があまりに進んでいる場合は張替えを行うなどメンテナンスが必要となります。
屋根の内部や鼻隠しや破風といった専門的な部位についても見てきました。どのような構造になっており、屋根がどのように雨漏りから建物を守っているのかについてご理解いただけましたでしょうか。屋根は決して表から目に見える屋根材のみが重要な役割を持っているわけではありませんが、とはいえ屋根材は最表面で紫外線・風雨をもろに浴びて建物を守ってくれています。
それでは次に一般住宅で使用されている屋根材について見ていきましょう。
瓦屋根(粘土瓦)
瓦屋根の場合は瓦桟という木を防水紙の上に打ち、そこに瓦を引っ掛けて設置していきます。 軒先とケラバは釘などで止めますがその他の部分は止めずに組んでいくのが一般的です。地震対応として防災瓦も最近では多く使われます。
塗装によるメンテナンスは不要ですが、定期的な棟部分の漆喰や谷樋のメンテナンスが不可欠です。寿命は30年~50年、釉薬瓦であれば50年以上の寿命も期待できます。ただ屋根材として寿命は非常に長いですが、先述の漆喰や谷樋、また防水紙や野地板は瓦よりも寿命は短いため屋根材以外のメンテナンスは他の屋根材同様必要となります。
薄型スレート屋根(コロニアル)
セメントと強化繊維を主剤にした板状の薄型屋根材です。塗装を行うことによって美観と防水性が保たれており、新築から10年程度で屋根塗装によるメンテナンスを行う必要があります。以前はアスベストが含まれていましたが最近はアスベストを用いずに作られています。
屋根の面と面には金属の棟板金で雨仕舞いをしています。主に釘で一枚一枚を防水紙の上から固定して設置しています。
寿命は20年~30年程度です。
金属屋根
金属屋根は大きく分けて竪葺き、横葺きの2種類に分別されます。
竪葺きの場合、屋根の頂点から下(軒先)まで繋ぎはなく一枚もので貼り合わせるので雨に強いと言えるでしょう。 横葺きの場合は薄型スレートと同様に一枚一枚をビスで固定して貼り合わせていきます。
瓦屋根やスレート屋根と違って「軽量である」ことが金属屋根最大のメリットでもあり一坪当たりの重量は瓦屋根の約1/10、スレート屋根の約1/4程度です。そのため耐震性の優れた屋根材と言えますね。
セメント瓦・モニエル瓦
「瓦」という名前が付いていますが、「瓦」と聞いて想像するような日本瓦では全くありません。スレート屋根同様、セメントを主成分として作られている屋根材であるため、水分に弱く塗装によって保護されています。塗料の耐用年数に応じて定期的な塗装メンテナンスが必要となる瓦です。
モニエル瓦は既に製造もされていませんし、セメント瓦も新築で使われなくなりました。20年~30年程度の寿命を持ちますが、お住まいの屋根がセメント瓦・モニエル瓦という方のほとんどがすでに20年~30年を迎えようとしていらっしゃるのではないでしょうか?その場合は次のメンテナンス時には葺き替え工事が必要となります。
アスファルトシングル
日本では馴染みのない屋根材かもしれませんね。しかしアメリカでは非常にポピュラーな屋根材で100年以上の歴史を持つ屋根材がアスファルトシングルです。
表面に石粒を吹き付けてあるザラザラした屋根材で、シート上であることから加工が容易で、複雑な形状の屋根にも施工が可能であることが特徴です。
見た目もお洒落なうえ、重量も軽量な屋根材に分類されます。
建物を雨から守るために防水紙や屋根材がありますが、その施工方法にもルールがあり雨漏りを防ぐための工夫がなされています。
屋根で受け止めた雨は当然ながら上から下に流れていきますよね。屋根材も防水紙も複数枚重ね合わせていきますが、重ね合わせた際に貼り合わせや梁型で雨を受け入れないような施工方法として下から順番に設置していきます。こうすることによって重なり部分が下を向くため雨水が浸入しにくくなるという大きなメリットがあるのです。
参考までによくある屋根の形状も簡単にご説明します
三角屋根と言われる屋根の形状を切り妻屋根と言います。
4つの面で構成されている屋根の形状です。頂点の棟を大棟、頂点から下っている棟を隅棟(すみむね)と言います。
切妻と寄棟をあわせもった屋根の形状をしています。
一面のみの屋根で、一方向にだけ傾斜を持つ形状の屋根です。傾斜の上側を棟、下が軒先となります。
頂点から4方向におなじ角度で傾斜を持つ屋根となります。正方形の建物に多く採用されています。
傾斜がなく、屋上のある屋根を指します。陸屋根は瓦やスレートなどの屋根材が使用されておらず、防水工事によって屋根の防水を維持しています。
などがあります。小屋裏、小屋裏部屋、採光(明取り)、吹き抜けなど屋根をどのように有効活用するかで形状が異なります。
屋根の内部の構造ってどうなっているの?まとめ
●屋根は表面に見える屋根材だけでなく、防水紙、野地板、垂木、棟、破風、鼻隠しなど様々な部位から構成されています
●屋根の防水は一次防水の屋根材、二次防水の防水紙によって守られています
●代表的な屋根材には瓦、スレート、金属、セメント瓦、モニエル瓦、アスファルトシングルなどが挙げられます
●屋根の形状としてよくあるものとして切り妻、寄棟、入母屋、片流れ、方形、陸屋根などが挙げられます
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