スレート屋根の工事前に必要なアスベスト調査とは?詳しく解説!
スレート屋根の葺き替えやカバー工法などのリフォーム、または塗装のメンテナンスをご検討されている方、いらっしゃるのではないでしょうか。そのようなときに気を付けていただきたいのが、お住いにアスベストを含む可能性のある建材が使用されているケースがあるということです。このような場合には、工事を行う前に適切な調査と報告が必要ですので、ご注意ください。
2022年4月より、アスベストに関する事前調査と都道府県への報告が義務化されました。アスベストはスレート屋根に限らず、軒天・外壁・室内の外壁にも含有されている場合もございます。適切な調査・報告を順守することは、家族や地域の皆様の安全・健康を守るためにも非常に大切です。本記事では、スレート屋根の工事前に必要なアスベスト調査について詳しく解説します!
「アスベストの事前調査」とは、住宅や他の建物の構成材にアスベストが含まれているかどうかを調査することです。
かつてはアスベストは建築材や断熱材として広く利用されてきましたが、その後、アスベストによる肺がんや中皮腫などの疾患といった健康被害が報告され、注目を浴びるようになりました。
そのため、住宅の解体時やリフォーム時に特定の建材を取り除く場合、必ず事前に調査を行い、所轄の都道府県や大気汚染防止法で定められた政令市に報告を行う必要があります。
建築物にアスベストが含まれている場合、アスベストが風に舞い散ることによって周囲の人々の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。アスベストは極めて危険性が高く、人体の健康への害を引き起こすため、非常にデリケートな問題とされています。
アスベスト事前調査は、建築工事の元請業者が実施します。調査の方法としては、建物の状態を目で確認し、サンプリングを行ってアスベストの存在を検出する手法が一般的です。
調査の結果、アスベストの取り除きや処理が必要な場合は、適切な方法で処置を行う必要があります。
※石綿ありとみなし、必要なばく露・飛散防止対策を講じて工事を行う場合、分析調査は不要
※引用:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト・リーフレット
アスベストは、一体どのような物質なのでしょうか?
アスベストは別名石綿(いしわた・せきめん)と呼ばれ、自然界に存在する鉱物繊維です。建築物の材料や工業製品に幅広く利用され、高い耐熱性や耐久性を持ち、薬品にも強く絶縁性にも優れています。そのため、防音材や断熱材、保温材としても多く採用されてきました。
しかしながら、がんを引き起こす可能性のある物質が含まれていることが確認され、2006年9月1日以降、アスベストの生成や使用が規制されるようになり、アスベストを含む建材の使用は絶たれました。ただし、それ以前に建設された住宅や建物には、まだまだアスベストを含む材料が多く存在しているのが現状です。
今後は、住宅を新しく建て替える際や、リフォームに伴う一部の解体作業において、アスベストの処理を非常に重要視し、この事前調査と報告の義務を遵守する仕組みが設けられました。
※引用:環境再生保全機構
アスベストの事前調査と報告が必要となる工事には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。建材のタイプと工事のカテゴリーを詳しく見てみましょう。
建材のタイプは?
アスベストを含有しているの可能性がある主な建材
※下記以外にも含まれる場合がありますので、詳しくはお問合せください。
まず、建材の中で重要なのは屋根材です。
屋根材には、住宅用のスレート屋根(波板、平板)や繊維強化セメント瓦などがあり、これらにアスベストが含まれている可能性が考えられます。
他にもアスベストを含まないと思われる建材でも、事前調査と報告が必要となるケースがあります。
また、アスベストを含むのは屋根材だけでなく、外壁材にも影響が及びます。窯業系サイディングや軒天に用いられるけい酸カルシウム板第一種・第二種(ケイカルボード)、そして一般的な住宅で使われる建材、フレキシブルボードなどがこれに当たります。
フレキシブルボードは、繊維強化セメント板の一種で、セメントと補強繊維を素材にして高圧プレスで成型された不燃性の建材です。通常、軒の天井材やビルトインガレージなどの壁に用いられ、俗に「フレキ板」とも呼ばれます。
その他、あまり馴染みのない名前の建材も存在します。スラグ石膏板やパルプセメント板、押出成形セメント板、ロックウール吸音天井板などがこれに該当し、建築の中で使用されることがあります。押出成形セメント板は、建築物の非耐力外壁や間仕切り壁などに利用されることが多い建材です。
これらの建材は専門的な性質があるため、一般的な人には理解しづらいこともあります。したがって、こうした事柄については専門業者に相談することをおすすめします。
もしも、スレート屋根やセメント瓦など、アスベストを含んでいる可能性のある屋根材を取り扱う際、屋根葺き替えや屋根カバー工法、屋根塗装を行う際でも、アスベストの存在の有無に関わらず、必ず調査が必要です。
屋根がスレートで構成されている場合、解体作業が無い屋根カバー工法や塗装などのメンテナンスを行う際でも、必ず調査が不可欠です。
その理由は、屋根カバー工法や塗装メンテナンス工事において、高圧洗浄機を使用して汚れや不純物を除去する工程があるためです。高圧洗浄機は非常に強力な力を持っており、屋根材にアスベストが含まれている場合、その圧力によってアスベストが飛散する可能性が考えられます。
また、屋根以外の工事も検討される際には、調査と報告が必須となるケースが存在します。
例えば、外壁の張り替えや外壁塗装、軒天の張り替えや塗装など、アスベストが含まれている可能性のある建材が使用されている場合は、アスベストの有無に関わらず、必ず調査と報告が求められます。
先述したように、アスベストは製造年代によっては外壁の窯業系サイディングや軒天のケイカルボードに含まれていることがあります。
このような状況では、アスベストがどの建材に含まれているのかを自己判断しようとしても困難ですよね。したがって、プロの専門業者による事前調査が必要であり、自身の住まいのどの建材にアスベストが含まれているのかを再確認しておくことも不可欠なのです。
住宅や他の建築物を取り壊したり、改修や修繕を行う場合、アスベストの有無を事前に調査し報告する必要性は理解していただけたかと思います。ただし、このルールが全ての場合に適用されるわけではありません。
実際に、どのような条件下で都道府県への報告が必要なのかを詳しく見ていきましょう。
①:建築物を解体する作業を伴う建設工事であって、当該作業の対象となる床面積の合計が80㎡以上であるもの
この要件は、80㎡を超える広さを持つ住宅や建築物の解体工事において、報告が必要とされるということになります。
②:建築物を改造し、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計額が100万円以上であるもの
この要件は、住宅や他の建築物を改修や補修する場合、その仕事の総額が税込みで100万円以上に達する場合に、報告が必要とされるということです。
請負金額には、作業全体のコスト、材料費を含むものが含まれますが、事前調査費用は含まれません。また、請負契約が成立していない場合であっても、工事を引き受けた人によって施工が行われる場合には、適正な請負金額に基づいて判断が行われます。
③:工作物を解体・改造、又は補修する作業を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計金が100万円以上であるもの
この規定は、特定の施設(ボイラー、煙突、焼却設備など)において解体工事や改修工事を行う際、工事の請負金額が100万円以上に達する場合、報告が必要とされることを指します。
こちらの規定も、条件②と同じく、作業全体の請負金額には材料費を含むもののみが対象となり、事前調査費用は含まれません。請負契約が締結されていない状況でも同様に、適正な請負金額に基づいて判断が行われることになります。
前述した条件に当てはまらない他の工事については、調査後に報告する必要はありません。
もしも実際の判断が難しい状況に直面した際には、地方自治体の生活安全課に問い合わせるか、専門の業者にご相談いただくことをおすすめします。
アスベストの事前調査と報告については、工事を引き受ける専門業者が担当いたしますので、ご安心ください!
事前の調査時には、お客様には必要な情報として、設計図書などを提供していただくことがあります。また、まれに外部の専門業者に調査を依頼する必要があるケースもありますが、その場合には別途費用がかかることがあるため、注意して確認しましょう。
事前調査にて、建築物にアスベストが確認されたら
もし事前の調査でアスベストの存在が確認される場合、周辺へのアスベスト飛散を防ぐために、飛散防止措置を講じ、法令で規定された作業基準を順守し、適切な施工を行います。
また、万が一、断熱材などがアスベスト含有量が高い建材である場合、その建材を解体、改修、補修する場合には、工事の発注者である「お客様ご自身」が該当工事を行う意向を都道府県に届け出る必要があります。
この措置は、通常のスレート屋根材や窯業系サイディングの場合には必要ございません。工事業者に、この届出が必要なのかどうかを確認することが大切です。
お客様ご自身も、報告書を保管する必要があります
工事現場では、解体工事が行われる期間、解体工事の範囲や改修工事の請負金額に関係なく、アスベストの事前調査結果は必ず掲示されなければなりません。掲示しなければならない項目は、大気汚染防止法および石綿障害予防規則に定められています。
※上記画像…アスベスト事前調査結果掲示の一例
※引用:日本建設業連合会HP
同様に、建物の解体、改造、補修工事が完了すると、工事を行った専門業者はアスベストの取り除き作業の終了をお客様に報告する必要があります。そして、お客様はその報告を受けた際には、報告書を保管し管理しておかなければなりません。
2023年10月1日以降、住宅など建築物のアスベスト事前調査は、以下の条件を満たす資格保有者でなければ実施できません。
☑一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
☑特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
☑一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
※(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録されている者も「同等以上の能力を有する者」として認可されます。
最も大切なのは、上記のような有資格者がしっかりと正確に調査してくれる業者に依頼することです。業者を選ぶ際は、有資格者の有無を確認し信頼できる専門業者を選ぶことが重要です。
※画像引用:国土交通省 目で見るアスベスト建材(第2版)より
平成18年以前に建てられた建物には、アスベストを含む建材が使用されている可能性があります。これはスレート屋根やセメント瓦などの外部材料だけでなく、キッチンの天井や床材にも及ぶ可能性があります。
リフォームを計画している方にとって、アスベスト調査は他人事ではなく、多くの方々にとって重要な検討事項となります。
アスベストを含む建材に適切な対策を講じない場合、最高で3か月の懲役または最大30万円の罰金が科されることが定められています。
しかしながら、法律の規定だけでなく、家族や近隣の健康と安全を守る観点からも、リフォーム工事を行う前にアスベストの調査と報告を忘れずに施工業者に委託することが重要です。
私たち、街の屋根やさんでは、適切な基準に従った正確な調査と報告を提供しています。リフォームや工事を検討しており、アスベストに関する不安がある場合でも、どうぞお気軽にご相談ください!
スレート屋根の工事前に必要なアスベスト調査とは?まとめ
- ●2022年4月から、建物のリフォーム時にはアスベスト含有調査と報告が必要になりました。
- ●スレートやセメント瓦などの工事・リフォームをご計画中の方は、注意が必要です。
- ●調査と報告は通常、工事を請け負う専門業者が行います。
- ●安全を確保するため、適切な調査・報告を行う業者の選定が重要です。
- ●街の屋根やさんは、規定に基づいた適切な調査・報告を実施しています。
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