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意外と多い笠木が原因のベランダ・バルコニーからの雨漏り

意外と多い笠木が原因のベランダ・バルコニーからの雨漏り

 ベランダやバルコニーは雨漏りがとても発生しやすい箇所です。
 中でも「笠木」と呼ばれる部分からの雨漏りが意外に多く、建物を腐食させる原因の1つになってしまっています。建物から張り出すように設置されているベランダやバルコニーの、そのまた外周部分に設置されている笠木は、雨風や紫外線の影響を受けやすく、雨漏りの原因になる危険性の高い箇所です。雨漏りを放っておくと、建物に深刻なダメージを与える原因になってしまいます。

 この記事では「笠木ってなに?」「笠木のメンテナンス方法は?」といった疑問を解決いたします。雨漏りの放置は重大なリスクがあります。雨漏りに対する正しい対処法をお伝えしますので、ぜひ少しの間お付き合いください。

【動画で確認「笠木」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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【動画で確認「雨漏りしやすい笠木、その原因を解説!」】
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笠木ってなに?どこにあるの?

 笠木は私たちの身の回りのさまざまな箇所に設置されています。具体的にどんな場所に設置されているのか?どんな素材で作られているのか?詳しくチェックしていきましょう。

最上部に被せる仕上材を笠木と言います

 笠木は住宅のさまざまな場所に設置されています。例をあげると、次に示すような箇所に設置されています。

・塀
・腰壁
・パラペット(屋上やバルコニーの外周にある低い壁)
・階段の手すり

 設置する箇所によって、意匠性や機能性を考慮した笠木が設置されます。例えばベランダやバルコニーには落下防止の手すり壁が設置されていますが、その手すり壁の上部に被せるように施工されているのが「笠木」です。

塀や手すりの笠木

腰壁の笠木

パラペットの笠木

階段の手すり壁の笠木

笠木の材質は用途によってさまざま

 笠木に用いられる原料はさまざまです。防水性や耐久性、意匠性などを考慮して使い分けられます。一般的に笠木として用いられる原料は次に示す3種類です。

・セメント製
・モルタル製
・金属製(パラキャップとも呼びます)

 階段の手すり壁には柔らかい印象の木製の笠木がよく用いられます。対して、ベランダやバルコニーに設置する笠木には防水性や耐久性に優れる金属製の笠木がよく用いられます。金属製の笠木には、ガルバリウム鋼板やステンレス、アルミなどの腐食に強い金属素材が用いられるのが一般的です。

ランダやバルコニーには防水性の高いガルバリウム鋼板やステンレス、アルミといった金属製笠木が用いられます

笠木は何のために設置されている?

 笠木を設置する主な目的は「デザイン性を高めるため」「雨漏りを防ぐため」です。
 用途によって笠木に求められる性質も変わります。詳しくチェックしていきましょう。

デザイン性を高めるため

 笠木を設置する理由の1つが、デザイン性の向上です。
 例えば、ブロック塀の上部にアクセントとして鮮やかな色の笠木を設置することで、無表情な塀をオシャレな印象に変えることも可能です。

笠木を被せることでワンポイントのアクセントを加えておしゃれを演出

ベランダ・バルコニーの雨漏りを防ぐため

雨漏りを防ぐための防水機能を高める役割

 ベランダやバルコニーに設置する笠木は、雨漏りを防ぐという重要な役割があります。
 建物の外周部分に設置される笠木は、雨風の影響を非常に受けやすい過酷な環境にあります。もし笠木部分から雨水が浸入してしまうと、外壁内部の腐食がはじまってしまい、住宅の重大な劣化につながりかねません。
 ベランダやバルコニーに設置される笠木には、高い防水性や耐久性が求められるのです。

ベランダ・バルコニーの笠木から雨漏りするとどうなる?

 ベランダやバルコニーに設置される笠木は、雨漏りを防ぐという重要な役割があります。ベランダやバルコニーは住宅の2階以上の階層に設置されるものですから、もし雨漏りが発生した場合、階下の部屋に雨漏り被害を発生させてしまいます。特に屋根の上に設置された「ルーフバルコニー」で雨漏りが発生すると、すぐ下の部屋に雨漏りを発生させてしまうでしょう。
 では、もし笠木部分から雨水が浸入してしまった場合、住宅にどんな悪影響が発生するのでしょうか?「木造住宅」の場合と「鉄筋コンクリート住宅」の場合、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。

雨水の浸入を許すとどうなる?~木造住宅編~

 木造住宅で雨漏りが発生してしまうと、木材の腐食の進行や、シロアリの発生が大きなリスクになります。
 腐食やシロアリによって木材が劣化してしまうと、次に示すような重大な悪影響が発生する危険性があります。

・住宅の強度の低下
・住宅の寿命減少
・資産価値の大幅な減少

 雨漏りが木造住宅に引き起こす悪影響は甚大です。ベランダやバルコニーは一般的に防水性の高い構造になっていますが、裏を返せばベランダやバルコニーが雨漏りが発生しやすい箇所であり、雨漏り対策が重要な箇所であるということが言えるでしょう。もし雨漏りが発生してしまった場合、住宅の深刻な腐食につながりかねません。早急な対処が必要です。

木材にとって水分は大敵!カビや腐食につながります

 シロアリが発生すると、最悪の場合木材をスカスカになるまで食い荒らされてしまい、深刻な強度低下に至る可能性もあります。そうなってしまうと、ベランダやバルコニーの利用にも危険が伴います。
 症状が進行すると浸入した雨水が室内に流れていき、雨漏りが発生してしまいます。そうなる前に対処することが重要です。

雨水が浸入し壁内を伝い落ちベランダ下の軒裏が腐食

雨水の浸入を許すとどうなる?~鉄筋コンクリート住宅編~

 鉄筋コンクリートの住宅はRC住宅とも呼ばれ、柱や梁などの主要な構造部に鉄筋で強化されたコンクリートが用いられています。そのため非常に耐震性や耐火性、耐久に優れているのが特徴です。しかし、雨漏りへの耐性は決して高いとはいえません。
 鉄筋コンクリートの住宅で雨漏りが進行すると、鉄筋部分に錆が発生してしまいます。錆が進行していくにつれ、次に示すような悪影響が発生する危険性があります。

・建物の耐震性の低下
・建物の寿命の減少
・コンクリートの爆裂

 鉄筋はコンクリートがアルカリ性のため、アルカリ性から経年によって酸性へと変わることで鉄筋コンクリートの構造部が錆びやすくなります。またサビによって鉄筋が膨張すると、コンクリートが内部から破裂する「爆裂」と呼ばれる現象が発生することがあります。
 爆裂が発生すると鉄筋が露出し、劣化はさらに加速します。雨漏りは早急な対処が必要です。

酸化して錆びた鉄筋

塗膜も剥がれ強度が著しく劣化したコンクリート

雨漏り修理について詳しくはこちらもご覧ください

ベランダ・バルコニーの笠木はどうやって設置されている?

 ベランダやバルコニーに設置された笠木は、雨風や紫外線に晒される過酷な状況にあります。そのため、雨漏りを防ぐためのさまざまな工夫が施されています。

スチームクリーナー

 ベランダやバルコニーは、床面と手すり壁で構成されています。床面は防水シートやコーティングなどによる防水処理が施されていて、雨が浸透しないように施工されています。さらに、雨水が適切に排水されるように、適切な勾配や排水経路を設けるによって雨漏りを予防しています。
 では、手すり壁側の雨漏り対策はどうなっているのか?詳しくチェックしていきましょう。

FRP防水について詳しくはコチラ

ウレタン防水について詳しくはコチラ

手すり壁内部には空間がある

 窯業系サイディングが張られている住宅の場合、笠木が設置されている手すり壁の内部にはある程度の空間が確保されています。この空間は湿気や雨水を外部に排出するために必要なものです。構造を簡単に説明しますと、木造の壁に吸湿防水シートを張り、その上に「胴縁」と呼ばれる下地材を打ち付け、胴縁の上から外壁材を張ります。これは「通気構法」と呼ばれる構法で、胴縁の厚みの分の隙間を内部に確保しています。この隙間が、湿気や雨水を外部に排出する通気口になるのです。

バルコニー手すり壁の通気構法のイメージ

シーリングでやジョイントカバーで笠木を繋ぐ

 笠木を手すり壁に被せる際には、笠木どうしの接合部分にシーリングをほどこしたり、形を合わせて加工したジョイントカバーを被せたりして、雨漏りを予防します

バルコニー手すり壁の通気構法のイメージ

バルコニー手すり壁の通気構法のイメージ

シーリングで雨水の浸入を防ぐ

 笠木の固定については笠木の下地に取り付け用のホルダーをビスで固定し、その上から笠木を被せて固定するという方法や被せた笠木笠木を手すり壁に固定する方法はおもに以下の2通りです。

・取り付け用ホルダーをビスで固定して、その上から笠木を被せる方法
・笠木を直接ビスで固定する方法

 いずれの方法も、手すり壁に穴を開ける必要がありますから、しっかりとシーリング材を充填しておきます。壁と笠木の接合部分である「取り合い」部分もしっかりとシーリング材を塗布しておきます。

バルコニー手すり壁の通気構法のイメージ

バルコニー手すり壁の通気構法のイメージ

 シーリング材は全ての隙間に充填すればいいわけではありません。もし笠木や手すり壁の隙間を全てシーリング材で埋めてしまった場合、湿気や雨水が内部にこもってしまいます。じつは笠木は水分を完全にシャットアウトするものではなく、通気口をあけて雨水や湿気を外部に放出するように設計されています。

シーリングで湿気や水分の逃げ道を塞いでしまうと…

逃げ場がなくなった水分は雨漏りを誘発する原因となります

 湿気が笠木の内部や壁内部にこもってしまうと、防水シートの劣化や木材の腐食を招きます。症状が進行すると雨漏りが発生してしまう事もあります。シーリングを施工する際は通気口を塞がないように注意が必要です。

なぜベランダやバルコニーの笠木が原因の雨漏りが発生するのか

雨水は少しの隙間から建物内部に浸入し雨漏りを引き起こします

 ベランダやバルコニーの笠木には防水性の高いものが設置されるのが一般的です。しかし少しでも笠木部分に隙間があると雨漏りは発生します。
 笠木からの雨漏りの原因は、主に次に示す4通りです。

・ビスや釘の隙間
・シーリング材の劣化
・笠木の変形
・笠木の錆

 それぞれ詳しくチェックしていきましょう。

1.ビスや釘の隙間から雨水が侵入する

シーリングの劣化やビスの緩みや錆が原因となって雨漏りを引き起こします

 笠木に直接ビスや釘を打ち込んで固定されている場合、その穴が雨漏りのリスクになります。
 新築時には異常がなくても、ビスの緩みやシーリング材の劣化によって少しずつ穴が広がり、雨漏りが発生してしまうのです。
 特に「脳天打ち」と呼ばれる、笠木の上部に釘やビスが打ち込まれいる施工方法が採用されている場合は、笠木上部に滞留した水分が劣化の原因になりやすく、雨漏りのリスクが大きくなってしまいます。

脳天打ちされたビスや釘の穴跡

●笠木の上に手すりがある場合は要注意!

 笠木の上部に直接手すりがビスで打ち付けられている場合は、そこから雨漏りが発生する危険性があります。
 15年以上前に施工された手すりが、この施工方法を採用していることが多いです。

笠木に直接ビスを脳天打ちして取り付けた手すりは雨漏りの原因になることが多い

●側面に打ち込まれたビスは雨漏りしない?

 笠木の側面にビスが打ち込まれている場合でも、決して雨漏りのリスクがゼロであるというわけではありません。
 ビスの緩みやシーリングの劣化であいてしまった隙間に、垂れてきた水滴が浸入してしまう可能性があるためです。
 「脳天打ち」と比べるとリスクは小さいですが、リスクが無いわけではないということをご留意ください。

ビスを打ち込めば側面であれ経年劣化で空いた隙間から雨水が浸入することも

●「取り付けホルダー」での設置も雨漏りリスクあり

 笠木に直接穴を開けない「取り付けホルダー」での設置は、最も雨漏りに耐性がある施工方法であると言えるでしょう。
 しかしこの施工方法もリスクがゼロというわけではありません。
 笠木の下部には湿気を逃すための排気口があります。例えば横殴りの雨が降ると、雨水が通気口を通って笠木の下に浸入してしまう事があります。その状態で、もし笠木内部のホルダーのビスが劣化していた場合、ビスの穴の隙間から雨漏りが発生してしまうことがあります。
 「強風の日にだけ雨漏りが発生する」という場合は要注意です

ビスを打ち込めば側面であれ経年劣化で空いた隙間から雨水が浸入することも

2.接合部分のシーリング材の劣化が原因の雨漏り

ジョイント部分や外壁との取り合い部分のシーリング劣化により雨水が浸水してしまう

 笠木どうしの接合部分は、シーリング材で埋められていますが、シーリング材が劣化すると雨漏りの原因になってしまいます。
 シーリングは早くて3年、長くても7年程度で劣化が始まります。
 劣化の原因は紫外線や雨風、温度変化による部材の伸縮などです。
 シーリング部分は、定期的なチェックをおすすめします。

ジョイント部分の木材が雨漏りで腐食

3.笠木の変形が原因の雨漏り

笠木が固定されている場所から浮いてしまい雨水が浸入し雨漏りに発展

 強風や太陽光による発熱、紫外線などが原因で笠木が変形してしまうことがあります。すると設置されている笠木に隙間が生まれ、そこから雨漏りが発生してしまうことがあります。

4.笠木の錆が原因の雨漏り

錆が進行した結果笠木の表面に穴が空きそこが雨漏りの原因となってしまう

 笠木が鉄製の場合、錆が発生することが穴が空いてしまい、雨漏りにつながることがあります。また、錆による腐食が進行すると、笠木自体が破損してしまう危険性もあります。もし錆が原因で笠木を交換する場合は、腐食しにくいアルミ製のものを選んだり、ステンレス製のビスを選んだりして、サビを予防することをおすすめします。

笠木のメンテナンス方法

 もし笠木が原因で雨漏りが発生してしまった場合、できるだけ早く修理をする必要があります。また、雨漏りが発生しないように予防することも重要です。笠木のメンテナンス方法は、主に次に示す3通りです。

・シーリングによる補修
・笠木の交換
・笠木の塗装

 それぞれの修理方法やメンテナンス方法を詳しくチェックしていきましょう。

1.軽微な補修はシーリングで

軽微な雨漏りや下地材への被害がない場合

施工前から施工後

施工前

施工中

施工後

 軽微な雨漏りには、シーリング材の再充填で対処できる場合があります。
 ただし、下地材や笠木に大きな劣化や腐食がないことが条件です。シーリング材は早くて3年、長くても7年程度で劣化が始まります。前回の施工後5年以上経過している場合は、劣化が進行している可能性があります。
 笠木をシーリング材で補修する場合、すべての隙間を埋めてしまわないように注意が必要です。
 すべての隙間を埋めてしまうと、雨水や湿気がこもってしまい、腐食や雨漏りの原因になります。施工の際は、専門的な知識を有する業者に依頼することをおすすめします。

2.痛みがひどい場合は笠木の交換を

錆が広がり耐久性が低下、穴が空いている経年劣化により変形や傷みが顕著な場合

 笠木に錆が広がっていたり、破損や変形などが発生していたりする場合は、笠木の交換が必要になります。
 もし笠木部分の劣化が原因で雨漏りが発生している状態が長く続いていた場合は、笠木の下の木造部分が腐食していたり、防水シートがやぶれていたりする可能性もあります。場合によっては笠木の交換のほかに、内部の木造部分や防水シートの交換も必要になるかもしれません。
 いずれにしても、専門知識の豊富な業者に修理を依頼することをおすすめします。

施工前から施工後

施工前

施工中

施工後

 笠木の交換の際には、雨漏りに耐性のある笠木や、錆に強いステンレス製のビスを選択することで、雨漏りに強い笠木を作り出す事が可能です。笠木と手すり部分が一体になった、雨漏りのリスクが小さい製品も各メーカーから販売されているので、そういったものを取り付けることも可能です。
 街の屋根やさんでは手すり壁部分の劣化状況やお客様のご希望に合わせた最適なご提案が可能です。無料点検も承っておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。

雨漏りからの笠木交換の事例を見る

3.塗装は劣化を予防する効果あり

 笠木の塗装は、劣化を予防する効果があります。笠木の塗料が劣化して剥がれてしまっている場合は、定期的に塗装すると美観を維持しつつ寿命を伸ばすことが可能です。ただし雨漏りを補修する効果はありませんので、実際に雨漏りの被害が発生している場合は別の補修を行ってください。

塗装による笠木のメンテナンス 美観を取り戻したい塗膜を作ることで防水性を高めたい場合

ベランダやバルコニーの笠木から雨漏りを発生させないために
無料点検をご活用ください

雨が直接当たる笠木だからこそ雨漏りに対しては細心の注意と定期的なメンテナンスが必要です!

 雨漏りが発生した場合、専門的な知識の無い人が雨漏りの原因を特定するのは非常に困難なことがほとんどです。笠木のビス穴やジョイント部分のごくわずかな隙間が雨漏りの原因になっている場合もあります。街の屋根やさんでは雨漏りの無料点検を承っております。屋根からの雨漏りはもちろん、ベランダやバルコニーの笠木や屋根裏の点検まで、徹底的に調査いたします。雨漏りにお悩みの方は、ぜひ街の屋根やさんにお気軽にご相談ください。

雨漏り修理についてはこちらもご覧ください

無料点検の詳細はこちら

笠木の実際のメンテナンス例

メンテナンス実例:笠木の交換とサイディングの張り替え

施工前と施工後

施工前

施工後

施工前

施工後

 ここからは、笠木のメンテナンスを行った際の実例を画像付きで紹介いたします。点検時の状況から原因特定、修理完了まで詳細にご案内いたします。

点検時の状況

点検時の様子

 2年前に築20年の中古住宅を購入されたお客様より、1階部分に発生しているという雨漏りの修理を承りました。室内のクロスに異常はありませんでしたが、戸の木枠部分に水を吸った黒ずみを発見しました。例え大きな被害が出ていなくても、雨漏りは確実に進行しています。油断せず、早めに対処する事が重要です。

点検時の様子

点検時の様子

 雨漏りの被害がある1階の居室の真上にバルコニーが設置されていました。バルコニーは雨漏り被害のとても多い箇所です。雨漏りが発生している箇所の真上という事でこのバルコニーからの雨漏りが強く疑われます。

バルコニー内側の笠木写真

バルコニー外側の笠木写真

 バルコニーの笠木にはステンレス製のものが使用されていました。築20年の住宅としては綺麗な印象がありますが、笠木の下が一部さびているのがわかります。塗料のおかげでサビの発生はわずかですが、塗料が経年劣化するにつれサビが一気に進行してしまう可能性があります。

点検時の様子

点検時の様子

 手すり壁の下側のFRP(繊維強化プラスチック)の防水層を確認いたしましたが、特に異常はありませんでした。手すり壁のサイディングからは、分離した顔料が表面に浮き出る「チョーキング」が見られました。チョーキングは、外壁の塗装を検討する時期になった合図です。

点検時の様子

点検時の様子

 バルコニーに雨漏りが発生している場合、バルコニー下部の軒天(外壁から張り出している箇所の裏側)に雨染みや黒カビが発生している事が多いですが、特にそういったこともありませんでした。バルコニー周辺に雨漏りがある疑いが強まります。

点検時の様子

 点検口を取り付けさせていただいて軒天の下地の状況を確認したところ、端の部分のみが腐食していました。バルコニーの笠木が被せられている部分です。笠木からの雨漏りが強く疑われます。

点検時の様子

 バルコニーの手すり壁の角部分を確認すると、サイディングが黒ずんでいました。ここまでの劣化は、1年や2年で進行するものではありません。何らかの経路で浸入した雨水によって、長い時間をかけて腐食してしまったのです。

点検時の様子

 腐食のある部分の笠木の角を確認してみたところ、打ち込んである釘がサビて浮いてしまっています。この程度の隙間でも雨水は浸入し、内部の劣化が進行してしまいます。これで原因が特定できました。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 バルコニーを一部作り直す必要があるため、高所作業のための足場を設置していきます。足場の設置は費用が掛かりますので、もし他に補修箇所があれば同時に修理してしまうと経済的です。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 黒ずんでいた部分のサイディングをはがすと、下地が完全に腐食している事がわかります。笠木や外壁材の下には防水シートが張られているのですが、長年の雨漏りで劣化して破れてしまっています。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 腐食してしまっていた箇所の木材を交換します。最初は釘の穴程度の隙間が原因の浸水でも、サイディングがボロボロになるまで放置してしまうと、外壁からも雨水が浸入してしまい、ここまで住宅を腐食させてしまうのです。
 さらに腐食が進行すると、バルコニーを使用中に壁が崩れてしまう危険性もあります。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 笠木の下地は木製でした。このままではまた雨漏りが発生してしまうので、透湿防水シートを張っていきます。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 腐食していたバルコニーの外側部分にも透湿防水シートを張ります。手すり壁内部に湿気を逃すための空間を確保し、外壁を張る下地を整えます。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 サイディングの張り替えが完了しました。ここから塗装を行い、既存のサイディングと色を合わせていきます。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 サイディングの目地にシーリングを塗布し、サッシ周りのシーリングは増し打ち(既存のシーリングの上からさらにシーリングを塗布する)します。雨漏り予防に重要な工程です。シーリング材が固まるまでに1日かかります。この日の作業はこれで終了です。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 塗装工程です。下塗りをおこない塗料と外壁の密着性を向上させてから、外壁に合わせた色の塗料を2回に分けて塗っていきます。既存の塗料は塗装後から時間が経ち、変色してしまっているので完全に同じ色を作るのは難しいのですが、できるだけ近い色を調色します。

バルコニーの外壁と笠木交換

バルコニーの外壁と笠木交換

 最後に笠木を被せます。今回はサビに強いガルバリウム鋼板のものを採用しました。 吸湿防水シートの上に笠木を設置します。笠木はのみこみ40mmで、内側60mm、外側75mmを基準に取り付けることで、雨水の浸入を確実に防ぎます。ジョイント部分にはシーリングを行い、しっかりと隙間を埋めます。

バルコニーの外壁と笠木交換

施工が完了したらしっかりと目視確認でシーリング部分に異常がないかチェックします。

バルコニーの外壁と笠木交換

ジョイント部分ではなく外壁との接合部分も確実にチェックします。最後に足場を片付けて作業完了です。

ベランダやバルコニーの笠木からの雨漏りまとめ

●笠木とは、塀や手すり、腰壁、パラペットの最上部に被せる仕上げ材のことです

●笠木の材料は木製、セメント製、モルタル製、金属製などが一般的です

●ベランダやバルコニーの笠木には雨漏りを防ぐための高い防水性が求められています

●笠木からの雨漏りは木造住宅・コンクリート造住宅問わず重大なリスクがが発生します

●笠木はビスや専用の取り付けホルダーで手すり壁に固定します

●笠木の雨漏りは、固定のためのビスや釘の穴、ジョイントや取り合い部分の隙間、笠木の変形、錆による隙間など原因として考えられます

●笠木のメンテナンス方法は、シーリング材による補修、笠木の交換、塗装などがあります

●ベランダやバルコニーの雨漏りを予防するためには、街の屋根やさんの無料点検をぜひご活用ください

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