屋根の棟板金の状態を点検調査

棟板金が失われ内部の貫板が露出した状態

調査に伺うと、棟板金が大きく飛散し、内部の貫板がむき出しになっていました。

本来なら左右2本ある貫板のうち片側が完全に失われており、残った貫板も風雨に曝された影響で変色や劣化が見られます。

屋根材表面には砂埃が堆積しており、台風による影響の大きさが窺えました。

職人としても早急に手を入れるべき状態だと判断しました。

接合部の破損

別の箇所では、棟板金の接合部分が割れており、中の下地材が見えてしまっています。

一部には応急処置として過去に施されたシーリング材が残っていましたが、すでに効果が薄れています。

このままでは再び台風が来たら、さらに破損する可能性が高い状態で、破損の深刻さがより明確になりました。

剥離した棟板金が変形

調査の途中、落下を免れて残っていた板金も大きく変形していました。

端部には折れ曲がりが見られ、固定の役割を担っていた釘穴付近は広がっています。

屋根の縁付近では足元に気を配りながら状態を確認しましたが、どの角度から確認しても交換が不可避であることがわかりました。

職人としても「よくここまで持ちこたえていた」と感じるほどの状態です。

抜けかけの釘が目立つ棟板金

さらに、まだ残っている棟板金の釘が浮いており、このままでは他の部分も同じように飛散する危険がありました。

赤丸で示した箇所はすべて釘が抜けかけており、強風の力に耐えられない状況です。

お客様にも写真を交えて説明したところ、すぐに交換したいというお気持ちがより強くなったとお話しくださいました。

棟板金交換工事

既存棟板金と貫板の撤去作業

工事に着手し、まずは破損した棟板金と内部の貫板を丁寧に取り外していきました。

画像の通り、貫板は風雨で変色し、一部には腐食も進行しています。

撤去作業では周囲の屋根材を傷つけないよう細かな道具を使い分け、慎重に解体を進めました。

内部が露出すると、改めて台風の影響の大きさを実感しました。

棟全体の清掃と下地の整え

板金と貫板を取り除いた後、棟部分には砂埃や細かなゴミが入り込んでいました。

これらを残すと新しい部材がしっかり密着しないため、清掃は重要な工程のひとつです。

刷毛やブロワーを使って溝の奥まで丁寧に清掃し、次の工程に向けた下準備を万全に整えました。

職人たちは「仕上がりの良さは下地で決まる」という意識で作業を進めています。

新しい樹脂製貫板を設置

清掃後は新しい貫板を取り付けました。

今回は腐食に強く耐久性の高い樹脂製貫板を採用しており、強風時でも変形しにくく、長期的な安定性が期待できます。

黒い樹脂製貫板を等間隔でビス留めて、しっかりと固定されています。

ビスにはステンレス製を使用し、錆びにくい仕様として強度を高めました。

新しい棟板金の取付作業

貫板の上から、最後に新しい棟板金を取り付けていきます。

今回は日鉄住金鋼板ニクスカラーパールブラックを使用しました。

ガルバリウム鋼板のため耐候性が高く、色調も既存屋根になじみ、仕上がりも美しくまとまります。

板金の重なり部分は風の流れを考慮しつつ、シーリングを最小限に抑えながら丁寧に固定しました。

最後に全体の締め付けや浮きがないか確認し、工事を終えました。

完工

棟板金の設置作業が完了して、工事は無事に竣工しました。

棟板金交換工事では、飛散した板金や抜けかけた釘など、台風被害の深刻さが随所に見られました。
ですが、耐久性の高い材料への交換によって、長く安心いただける屋根に生まれ変わりました。

お客様からも「早く対応してもらえて助かった」とお言葉をいただき、私たちもお役に立てたことを嬉しく感じています。
強風による被害は屋根全体に影響を及ぼすことが多く、早期の対応が住まいを守る鍵となります。

今回は破損状況が大きかったため、耐久性の高い樹脂製貫板とガルバリウム鋼板の棟板金を使用し、より安心いただける施工を目指しました。
台風や強風で屋根に不安を感じた際は、被害が大きくなる前に街の屋根やさんへお気軽にご相談ください。