屋根の状態を点検調査

実際に屋根に上り、状態を確認しました。
使用されている屋根は化粧スレートで、ソーラーパネルも設置されています。
化粧スレート屋根は、セメントと繊維材料を組み合わせて作られた平板状の屋根材です。

かつてはアスベストを含む石綿スレートとして販売されていましたが、健康への影響が問題視され、現在は製造されていません。
この化粧スレート屋根は、表面の塗膜で保護されることで耐久性を保っています。
そのため、塗膜が劣化すると屋根材自体の劣化につながります。

屋根を見ると、表面の塗膜はかなり劣化している状態でした。
築19年とのことですが、塗料の性能は環境によって差がありますが、通常7年から10年程度で劣化が進みます。
すでに13年が経過しており、塗膜の一部が剥がれ、化粧スレートの素地が露出している箇所も見受けられます。

また、赤茶色に変色している部分がありますが、これは防水機能が低下したことにより繁殖したカビや苔によるものです。
特に北側の斜面は日光が当たりにくいため、顕著に現れています。
塗膜は劣化していますが、化粧スレート自体には反りや変形はなく、屋根の上を歩いた感触でも沈むような箇所はありません。

これにより、野地板や垂木の状態が良好であることが確認できました。

棟板金の状態も確認しました。

釘が緩んでいる箇所が数か所見られましたが、板金自体は良好な状態でした。

ただし、塗膜は劣化しているため、こちらも塗装工事を行うのが望ましい状況です。

点検中に撮影した写真をもとに、工事内容を説明し、サーモアイSiを使用した塗装工事を実施することになりました。

サーモアイSiを用いた屋根塗装工事

足場を架設し高圧洗浄

作業は、安全確保のため足場を設置することから始めます。

塗装しない部分にはメッシュシートやビニールシートをかけて、汚れが付着しないように保護します。

その後、スレート表面に付着した汚れやカビ、苔、前回の塗装の塗膜を、高圧洗浄で一気に洗い流していきます。

シーリング処理

高圧洗浄の後は、ケレン作業と補修作業を行います。
ヒビの入ったスレートは、塗装前に補修を進めます。

続いて、シーリング材を使って亀裂を塞いでいきます。
化粧スレートに亀裂を見つけると、「すぐに雨漏りするのではないか」と心配される方もいますが、屋根材の割れが直ちに雨漏りにつながるわけではありません。

屋根材の下には防水紙（ルーフィング）が敷かれており、この防水紙が雨漏りを防いでいます。
ただし、屋根材の劣化は防水紙の劣化にも影響するため、早めの補修が望ましい状況です。

棟板金も塗装前に、緩んだ釘などの補修を行います。

板金の合わせ目にはシーリングを施し、防水処理を行っておきます。

下塗りしてタスペーサーを設置

下地作業が完了したら、いよいよ塗装工程に入ります。
塗装は基本の3回塗り（下塗り・中塗り・上塗り）で行います。

まずはシーラーを使用して下塗りを行います。
下塗りは、スレート表面と仕上げ塗料の密着性を高めるため、とても重要な工程です。

使用する塗料はサーモアイシーラーで、ローラーを使って丁寧に塗っていきます。

下塗りが完了した段階で、タスペーサーを設置します。

タスペーサーはスレート同士の間にわざと隙間を作る部材で、屋根材の隙間から入った雨水を排出する役割があります。

下塗り塗料が十分に乾いた後、仕上げ用の塗料を塗っていきます。

「中塗り・上塗り」作業

下塗りが十分に乾いた後、仕上げ用の塗料を塗ります。

今回は日本ペイントのサーモアイSiを使用しています。

非常に高い遮熱性能があり、他の塗料と比べると、暑い夏場の室温を3～4度ほど下げる効果が期待できます。

仕上げ塗装は2回行います。

スレートに色を付けるだけであれば1回でも可能ですが、塗りムラが生じたり、塗膜の耐久性が低くなって剥がれやすくなることがあります。

下塗りと合わせて3回塗ることで、塗膜に十分な厚みが確保され、メーカーが想定する性能をしっかり発揮できます。

そのため、丁寧に重ね塗りを行います。

付帯部の塗装作業

破風などの付帯部分も塗装を行います。

屋根と同様に、下塗り・上塗りをローラーで丁寧に重ねていきます。

棟板金を含め、すべての塗装が終われば作業は完了です。

最後に複数のスタッフで塗り残しや塗装後の汚れがないかを確認し、必要に応じてタッチ補修を行った後、作業を終了します。

完工

屋根・外壁の塗装工事が完了しました。

塗り重ねにより塗膜に厚みが出たため、光沢が増し、美しい仕上がりとなっています。

長年住まわれてきた建物の屋根が希望通りの色で新しく生まれ変わった様子に、お客様も大変喜ばれていました。

屋根や外壁の塗装で悩みがある場合は、まず街の外壁塗装やさんまでご相談ください。