洋瓦への屋根葺き替えでお家を大きくイメージチェンジ
洋瓦とは文字通り、西洋起源の瓦の一種です。スパニッシュ瓦やフレンチ瓦などとも呼ばれています。もし「我が家には洋瓦は似合わないかもしれない」とお考えの方がいれば、実は純和風の住宅にもマッチする洋瓦があるのでご安心ください!
瓦屋根の取り替えを考えている方は、ぜひ洋瓦を選択肢に追加してみましょう。
洋瓦のデザインや種類を、実際の製品や事例を交えてご紹介いたします。また、災害に強い種類の瓦や適した施工方法についてもご紹介していますので、気になる洋瓦を見つけてみてください。
誰もが一度くらいは洋風のお家に憧れたことがあるのではないでしょうか。洋風と言ってもアメリカ大陸からヨーロッパまで、その範囲は実に広くさまざまなものがあるのですが、日本で特に人気があるのは欧州の建物です。
その中でも代表的なのが地中海沿岸のなどの南欧風のもので、その建物の大きな特徴の1つとして挙げられるのが洋瓦になります。
大地のオレンジ色をそのまま瓦にしたようなS形瓦は日本でも珍しいものではありません。また、街中によく溶け込みつつも、さりげないモダンさを持つF形瓦のお家もよく見かけるようになりました。
ここでは日本でも使われることが多く、屋根葺き替えの際にぜひ選択肢に加えてもらいたい洋瓦をご紹介していきます。
洋瓦とは
当初は西洋から輸入された屋根瓦のことを指していましたが、現在では生産国とは関係なく、西洋の瓦の外観と形状を持ったものがそう呼ばれるようになりました。元祖は明治時代に洋館を建設するために輸入されたフランス製の瓦で、後にフランス人技師が横浜で製造を開始したと言われています。
スペイン製の瓦が日本に輸入されたのは大正時代で大正モダンの中、大流行したようです。現在、フランス製の瓦はF形瓦として、スペイン製の瓦はS形瓦として改良を重ねたものが販売されています。
洋瓦と和瓦ではここが違う
主な違いはその形状で、緩やかな波形の和瓦はJapaneseの頭文字をとってJ形瓦と呼ばれています。その土地で取れる土や粘土によって成分や色は異なりますが、製法はほぼ同じです。
現在、洋瓦と呼ばれるものでも日本の瓦メーカーが製造しているものが多いので、見た目以外に違う点はほとんどないと言って良いでしょう。
和瓦は日本の伝統的な住宅に多く使用されている瓦で、緩やかな曲線を描いた形状が特徴です。日本の文化や風景に調和する「銀色・いぶし色」といった落ち着いた色合いが多く、重厚感があります
一方、洋瓦は凹凸が大きく、丸みを帯びた形状が特徴的です。カラーバリエーションが豊富で、オレンジやピンク、グリーンなど明るい色が多く使われている事から個性的で華やかな外観を持ち、洋風建築に非常に適しています。
和瓦が静かで重厚な印象を与えるのに対して洋瓦は明るく開放的な印象を与えるます!
また、和瓦でも洋瓦でも粘土瓦は土や粘土を成型して窯で焼いたものです。日本の瓦は高温で焼かれるのに対し、洋瓦は比較的、低温で焼かれると言われています。
洋瓦の歴史
洋瓦の歴史は長く、江戸時代末期にフランス人によって日本国内で製造されるようになったことに始まります。
この時期、ヨーロッパの建築様式が日本に持ち込まれ、洋瓦もその一部として紹介されました。
初期は輸入品が主流でしたが次第に日本国内でも生産が始まり、現在では国内で製造された洋瓦が広く使用されています。
その為、日本独自の洋瓦デザインも数多く生産されることとなりました!
洋瓦の種類・特徴
スペイン発祥のS形瓦
オレンジとも赤とも取れるその色が特徴であり、非常にユニークな形状をしているのがS形瓦です。発祥地であるSpanishの頭文字を取ってS形瓦と呼ばれていますが、実はこの形状は日本で考案されたものだそうです。
部分によっては湾曲が強く、正面真横から断面を見るとS字型に近い形をしています。輸入されてやってきたものは後述の上丸瓦と下丸瓦でした。
<主な商品>
新東株式会社 セラム21
栄四郎瓦株式会社 カパラスKS40 など
フランス発祥のF形瓦
こちらも元々はフランスから輸入されたもので、元々は一目で長方形と分かるものでした。
現在、国内で流通しているものは日本で独自進化を遂げ、正方形に近い形をしています。F形型のFはFrenchではなくFlatのFで、それが示すように平らなのが特徴です。
見た目では屋根材と分からないような平たい板のような瓦もあります。
<主な商品>
新東株式会社 セラムFフラット
株式会社鶴弥 トラッドⅢ防災 など
F形瓦の進化とも、S形瓦の進化とも言われるM形(波形)瓦
半円を重ね合わせた波型の瓦でM字型をしているのでM形(波形)瓦と呼ばれています。波型の形状はF形瓦の進化と言われることもあれば、S形瓦の進化と言われることもあります。日本の瓦の三大産地の一つである三州瓦ではF形Mタイプと呼ばれています。
近年まで海外から輸入され、販売されていたものにもこのような形状の瓦があります。
<主な商品>
三州野安株式会社 セラマウント
東洋瓦株式会社 スーパートライ110タイプⅠ など
洋瓦の元祖、丸瓦(上丸瓦と下丸瓦)
半円の雨樋のような下丸瓦を桟に沿って並べて、隣接する縁の上に上丸瓦を被せるという方法で葺いたもの。
これが元祖のスパニッシュ瓦です。
沖縄の赤瓦と似たような葺き方をしているのが特徴です。
洋瓦のメリット・デメリット
続いて、洋瓦のメリット・デメリットを詳しくご紹介いたします。
洋瓦のメリット
1.優れた耐久性
洋瓦のメリットとしてまず挙げられるのが「優れた耐久性」です。
特に粘土瓦は高温で焼成されることで非常に高い耐久性を持ち、約50年以上の寿命を誇ります!
また、自然素材である粘土から作られているため、紫外線や風雨による劣化が少なく長期間にわたって美しい外観を保つことができます。
さらに、粘土瓦は耐火性にも優れており、火災に強い屋根材としても評価されています。
2.豊富なカラーバリエーション
洋瓦はカラーバリエーションが豊富である点も大きな魅力です!
オレンジ、ピンク、グリーンなどの明るい色から、ブラウンやブラックといったシックな色まで多様な色が揃っていますので、住宅の外観を個性的でおしゃれに仕上げることができます。
特に、地中海風や南欧風のデザインを目指す場合には、色鮮やかな洋瓦がぴったりです。
また、複数の色を焼き付けた「混ぜ葺き仕様」の洋瓦もあり、自然な色ムラを表現することで経年変化による美しさを楽しむことができます。
2.通気性に優れる
洋瓦のもう一つのメリットは、その優れた通気性です。
特に、凹凸の大きいS型瓦やM型瓦は空気の流れが確保できる為、屋根裏の湿気がこもりにくくなります!
夏場の暑い季節でも屋根裏の温度が上昇しにくく、カビや苔の発生も抑える事にも繋がります。
洋瓦のデメリット
1.重量による耐震性の問題
洋瓦のデメリットとして挙げられるのが、重量による耐震性の問題です。
地震が生じた場合、お住まいの揺れは屋根の重量が重くなるほど大きくなる傾向にありますが、屋根材の中でも洋瓦は重量の大きい屋根材です。
日本国内は地震の発生頻度も高く、最近では大きな地震も確認されています。
そうした背景からも洋瓦の重量が招く耐震性の低下は大きなデメリットと言えます!
2.施工コストが大きい
洋瓦のもう一つのデメリットが「施工コストの大きさ」です。
洋瓦に限らず、和瓦などの瓦屋根の施工は専門的な技術・経験や手間が掛かります。
その為、他の屋根材と比較して施工コストが大きくなりがちです。
特に、凹凸が大きく立体感のあるS型瓦は施工が難しく、工期・費用がさらに大きくなる傾向にありますので、注意しましょう!
意外なことに和瓦でも洋瓦でも施工方法はほぼ共通
和瓦であっても、洋瓦であっても、屋根の葺き方はほぼ同じです。野地板に防水紙を張り、桟木を設置してここに固定していきます。つまり、現在のお住まいが瓦屋根ならば、和瓦から和瓦への葺き替えと同じように洋瓦の施工もできるのです。
雨漏りなどから屋根の葺き替えをご検討中なら、ぜひ洋瓦もご検討ください。和風の我が家には合わないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、色や形状を選ぶことで以外にマッチします。
また、防災に優れた瓦なども選ぶことができます。
→ 似合う洋瓦はどれ?タイプ別マッチング→ 災害に強い防災瓦
・湿度が多い日本でも安心、現在の洋瓦はほぼ日本産
現在、日本の家屋の建材やその原料は輸入されたものが多く、屋根材も輸入されています。洋瓦ももちろん輸入されていますがごく少量で、市場に出回っているのは国内生産のものがほとんどです。
生産は主に日本の三大瓦の産地である三州(愛知県西部)、淡路(兵庫県淡路島)、石州(島根県西部)で行われています。
それぞれが歴史を持つ産地で、日本の気候に合わせて造られていますから、安心です。
前述のように一口に洋瓦と言っても、さまざまなものがありますし、釉薬で色をつけられるので色も様々です。貴方のお家に合うものを選び、屋根葺き替えによるイメージチェンジを成功させてください。
洋風のお家ならS形瓦がお薦め
洋瓦の中で最も洋風の色が濃いのがS形瓦となります。土や粘土を成型し、そのまま焼いた素焼きのものが主流で、赤みがかった土色は素朴ながらも大地の力強さを感じさせます。
お住まいの外壁がモルタルやジョリパッドでコテ跡や模様を描いた建物なら、絶対にお似合いになるはずです。また窯業系サイディングで洋風のデザインや意匠を持ったものとの相性もいいでしょう。
→ 栄四郎瓦株式会社エスパニカでデザイン性あふれる屋根に
スペイン瓦を日本の風に合うよう改良したS形瓦です。グラデーションとランダムに吹付けられた模様が特徴的で北欧風の雰囲気あふれるデザインです。
天窓つきの屋根ともよく調和しています。棟部はハイロールを使用した乾式工法で屋根を軽量に仕上げています。
和洋折衷ならM形(波形)瓦
S形瓦に較べると凹凸が少なく、ちょっと控えめな印象を受けるのがM形(波形)瓦です。どんなお住まいにも似合うという形状で、日本の戸建てに一番多いとされる和洋折衷の建物にマッチするでしょう。
色さえ間違えなければ、平屋で軒の出が大きく、外壁の下半分が板張りで漆喰などの塗り壁にも似合います。貴方のお家に合う色を選んであげてください。
→ 重厚感を残しつつイメージを一新
雨漏りを起こした築40年の瓦屋根を三州野安株式会社のセラマウントで葺き替えました。これまで土葺きでしたがそれをすべて撤去し、桟木に瓦を固定したことで軽量化しただけでなく固定力も高まっています。
マウントグレーという落ち着いた色をお選びいただき、瓦の重厚感を残しつつモダンなイメージの屋根になりました。
純和風でも全く問題なしのF瓦
F瓦には全く飾り気のないプレーンなものからラインや凹凸を施したものまでさまざまなものが存在します。このうち、全く飾り気のないプレーンなものを屋根に葺くと水平のラインが強調されることになります。こちらは好き嫌いが分かれるので、注意が必要です。
ラインや凹凸を施したものは和風のお家にもしっかりとマッチしますし、モダンなデザインの建物にも似合います。
→ 完全フラットタイプのF形瓦で引き締まった印象に
すっきりとシャープな印象にしたいというお客様のご希望で、栄四郎瓦株式会社プラウドプレイン(マットブラウン)にて施工いたしました。
凹凸のない四角い板のような瓦で見慣れない形かもしれませんが、シンプルさを追求した引き締まった形状は和風住宅を力強く引き立たせます。
敢えて微妙に色が違う瓦を混ぜて葺いていくのが混ぜ葺きです。屋根はほとんどものが一色で構成されています。色が違うものを混ぜて屋根を造ることによって躍動感が出てきてとてもおしゃれな屋根になります。
混ぜ葺きは化粧スレートなど、他の屋根材でも行われていることです。ちょっと想像ができないという方は画像をご覧になってください。
洋瓦は現在の外壁の主流である窯業系サイディングとの相性もバッチリです
年々、瓦屋根のお家は減っていると言われていますが、それでもまだまだ見かけることの多い屋根材です。外壁に注目してみますと、窯業系サイディングのシェア率は約8割です。
洋風の意匠を持った窯業系サイディングの外壁にJ形瓦(和瓦)の屋根という建物も多いのです。外壁と屋根とのマッチングに不満がある方は洋瓦による屋根リフォームを検討してみることをお薦めします。
洋瓦に葺きかえるのだったら、おしゃれや美観だけじゃなく、お手入れが楽で地震や台風にも負けない強い屋根にしてみませんか。
瓦屋根から瓦屋根への葺き替えであっても、メンテナンス性をアップさせ、災害に強い屋根にすることができるのです。
メンテナンス性のアップ
・セメント瓦よりも粘土瓦を選びましょう
洋瓦にはセメントから造られたものも存在します。セメント瓦は塗装が必要な瓦で、塗り替えをしないと美観だけでなく、強度も落ちてしまいます。それに対し、粘土瓦は塗装を全く必要としない瓦です。
洋瓦でも粘土瓦を選択すれば、屋根塗装の手間が省けますし、その分のコストも節約できます。
災害に対して強い屋根へ
・お薦めは地震に強く、強風にも強い防災瓦
洋瓦に限らず、現在販売されている瓦には「防災瓦」と呼ばれるものが多くあります。防災瓦は、瓦の1つ1つをビスなどで固定し、瓦同士をかみ合わせているため、地震時にも落下する心配がありません。
また、強風時に飛散することもありません。こういった屋根にしておけば、いざという時も安心です。
地震や台風で屋根瓦が落下したニュース映像などをご覧になり、瓦屋根にすることに不安を抱える方もいらっしゃるかもしれませんが、瓦やその施工方法も改良が重ねられ新しいガイドラインが推奨されているのです。
・防災瓦は従来の瓦よりも軽いから地震時にも有利
1㎡の重さが約5~6kgの金属屋根に較べると瓦は重量があるので、どうしても地震時には不利なことは否めませんが、それでも防災瓦は固定されていない従来の瓦に較べれば、落下してくる確率は大幅に低減できます。
また、防災瓦は重さにも気を配っているので、従来の瓦より軽いものがほとんどです。概ね、重量は1割程度軽くなっています。1割と聞くと瓦1枚で数百グラム程度ですが、100㎡(約30坪)の屋根の場合、実に400kg近くの軽量化>になります。
雨漏りしにくい
・瓦の下に雨水が入り込みにくい瓦もあります
瓦の下端の形状を工夫し、雨水の流れと切れをよくした瓦もあります。緩い勾配(傾斜角の少ない)の屋根に開発されたものですが、普通の勾配の屋根でももちろん、それ以上でも使用可能です。
屋根材の下に雨水が入り込まなければ、雨漏りしにくいだけでなく、防水紙の寿命も延びますからいいこと尽くめです。
屋根は軽いほうが良いの?
近年は屋根リフォームの際、軽量な金属屋根材に変える方も増えています。確かに、上部にある屋根は軽いほうがお住まいの重心が低くなりますから、その分揺れは軽減できるでしょう。
しかし元々瓦が葺かれている建物というのはその重さに耐えられるよう壁や柱の構造が計算されていますから、過度に心配される必要はありません。
しかも、築年数の長い瓦屋根は土葺きといって瓦の下に粘土質の土が敷き詰められた工法です。それを撤去し桟木に打ち付ける工法に変わるだけでも屋根はずいぶんと軽くなるのです。
洋瓦は、粘土瓦(釉薬瓦や素焼き瓦)であれば耐用年数が長く40~50年ともいわれます。しかしその間全くお手入れや点検がいらないわけではなく、そういった点でも和瓦と同様です。せっかくこだわった瓦を長く保つためにチェックしておきたいポイントを解説します。
漆喰補修
洋瓦の施工には漆喰が使われます。漆喰は瓦同士の隙間を埋め支える役目を持ちますが、だんだんと劣化し10年も過ぎると割れたり剥がれたりということがあります。すると主に棟部の固定力が弱くなり、できた隙間から雨漏りを起こしたり、棟瓦が倒壊してしまったりという問題を引き起こすことになります。隙間の白い部分が目に見えて剥がれてきた、お庭に欠片が落ちてきて、などということがあれば補修を検討してください。
冠瓦・ケラバ瓦
洋瓦を葺く際には、釘を使って瓦を固定します。しかし屋根の一番高い部分にある冠瓦や、屋根の端であるケラバ部分は、風などの影響を受けやすく、釘が緩んできて瓦がずれたり外れたりしてしまうことがあり、さらに鳥が入り込んで巣を作ってしまうこともあります。強風・台風の後や、瓦が浮いているなどが見られるようなら下地の劣化状態を含め点検してもらい、必要な補修を行いましょう。
軒先面戸
軒先の一番端にある瓦とその下地の隙間を埋めているのが軒先面戸です。漆喰が埋められることもありますが、多くは金物や樹脂製の面戸が取り付けられています。経年で外れてしまうと瓦が崩れやすくなったり、やはり鳥の侵入する入口になったりしてしまいますので、割れている、外れている等あれば早めに補修してもらいましょう。
ずれや割れ
洋瓦が割れたりずれたりした場合、下地の防水紙さえしっかりしていればすぐに雨漏りになることはありませんが、露出した下地にいつも以上にダメージを与えてしまうことには間違いありません。
また重い瓦が落下するのは危険ですから、この場合も見つけたら点検・補修をしてもらいましょう。割れた瓦は同じ品番や後継で似た形のものなどがあれば差し替えられます。(差し替えた場所に釘を打つのが困難な場合は専用の接着剤での固定になります。)
洋瓦に塗装は必要?
前述したように、セメント瓦やモニエル瓦(コンクリート瓦)なら、定期的な塗り替えで防水性を保つ必要があります。
しかし粘土瓦である場合は塗装の必要はありません。できないこともありませんが、一度塗装すると塗膜劣化の際に見た目が悪くなってしまうので、塗装はせずに経年での色の変化を楽しんだ方が良いでしょう。
洋瓦の実際の施工例
J形瓦からF形瓦へ
エンジから黒へ屋根をカラーチェンジ、葺き替えで落ち着きのある佇まいへ
使用材料 鶴弥スーパートライ110 タイプI
築年数 築32年 施工期間 55坪 工事費用 約197万円
施工前の画像を見ると臙脂色をした釉薬瓦のように見えますが実はこれ、粘土瓦の色褪せがきになり、塗装してこの色にしたそうです。数年前に塗装したそうですが、既に塗膜が剥がれだして来ており、見栄えが悪くなっています。また、漆喰も傷んできていることや地震などのことも考えて、軽量の防災瓦に葺き替えることにしました。
・瓦屋根の問題部分
釉薬瓦はほとんど色褪せしませんが、いぶし瓦は時とともに色褪せしてきます。色褪せが気になって瓦を塗装したということから、おそらくいぶし瓦だったのでしょう。粘土瓦を塗装するための塗料もありますが、塗装してしまうと定期的に塗り替えなければならないので、あまりお勧めはできません。漆喰も崩れてきています。
屋根を保持していく上で、漆喰の崩れもそうですが、瓦の下にも問題がありました。桟木が折れてしまっていますので、瓦を留めていく力も弱くなっているでしょう。しっかりと直さなければなりません。
・日本瓦から洋瓦(軽量防災瓦)への葺き替え
これまでの瓦の撤去
これまで使用していた瓦を取り外し、撤去していきます。瓦を取り除いた後には葺き土や防水紙、桟木が残りますから、こちらも撤去しつつ、清掃を行います。
野地板の増し張り
古いお家だったようで、野地板はバラ板が使われていました。通気性が高いという利点があるのですが、現在では防水紙の性能も上がりましたので、バラ板ではなく構造用合板が使われています。バラ板の上に構造用合板を増し張りしていきます。細いバラ板の上に構造用合板を増し張りしたので、屋根の強度も上がりました。
防水紙(ルーフィング)の敷設と桟木の設置
続いては防水紙を敷いていきます。防水紙にはタディスホワイトを使用しました。タディスホワイトは釘周りのシーリング製に優れ、引っ張りや引き裂きにも強い優れた防水紙です。
瓦を屋根上に搬入
クレーンを使って瓦を屋根の上へと搬入します。この瓦を載せているパレット、屋根の勾配に合わせて水平になる仕組みがあるとても便利な物です。
・日本瓦から洋瓦(軽量防災瓦)への葺き替え、竣工
どうでしょうか、この落ち着きのある雰囲気。純和風の日本家屋に使用したとしても、違和感はありませんし、似合いますよね。しかも軽くて地震にも、台風にも強い瓦屋根です。こちらは釉薬瓦なのでほとんど色落ちしません。
洋瓦風の金属屋根材「ローマン」
「洋瓦の見た目は憧れるけど耐震性が気になる...」という方も多いのではないでしょうか。
その様な方に、おすすめなのが金属屋根材「ローマン」です!
●「ローマン」を使用した葺き替え工事をご依頼頂いたD様
【Before・After】
「ジンカリウム鋼板」と呼ばれる石粒が吹き付けられた金属素材を使用している事から意匠性が高く、その形状から洋瓦に近い景観を実現できます!
また、金属素材であることから非常に軽量な屋根材ですので、洋瓦のデメリットである耐震性の低下の心配もありません!
洋瓦風の景観と耐震性を両立させたいとお考えの方がおられましたら、ぜひご検討下さい!
屋根はお住まいを雨風から守ってくれる重要部分であると同時に、お住まいの外観の印象においても大切な部分ですね。ぜひリフォーム際にはお気に入りのタイプを見つけてみてください。色やデザインによってお住まいの雰囲気を引き締めたり、明るくしたり、長く住んだお住まいでも新たな顔に出会えるはずです。
築年数が長く雨漏り等でお困りの方、耐用年数を過ぎたセメント瓦などでリフォームをお考えの方もまずは街の屋根やさんまでご相談ください。
屋根の状態、お住まいの状態をしっかり確認し、ご希望などをお伺いしたうえで、屋根材やリフォーム方法をご提案させていただきます。
すでに洋瓦屋根にお住まいの方も、瓦屋根の点検・修理・リフォームは街の屋根やさんにお任せください。
洋瓦のまとめ
●洋瓦は西洋が発祥の瓦です
●スペイン発祥のS形瓦、フランス発祥のF形瓦、それらの進化形と呼ばれるM形(波形)瓦があります
●意外なことに和瓦(J形型)も洋瓦も施工方法はほぼ一緒です
●輸入されている洋瓦もありますが、現在の洋瓦はほぼ国産です
●洋瓦の形状によって似合うお家も違います
●純和風のお家にも似合う洋瓦はあります
●混ぜ葺きはお家のお洒落度がアップします
●洋瓦の場合も和瓦と同じく、漆喰やケラバ、面戸部分などのメンテナンス・補修が必要です
●洋瓦へ葺き替えるならメンテナンスの手間が減り、災害に対しても強い防災瓦などを選びましょう
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