コロニアル屋根の特徴とは!?製造時期によって大きく異なるポイントや屋根のメンテナンス・リフォームの注意点
コロニアルは、日本の住宅で広く使用されている屋根材の一つです。
その普及率の高さから対応できる施工会社も多く、施工業者の選択肢が豊富である点も大きな魅力といえます。
しかし、製造された時期によっては大きく特性が異なる製品も存在し、業者の選定によっては不適切なメンテナンスを行う事で無駄な出費を招いてしまうリスクもあります。
本記事では、コロニアル屋根材の特徴や経年劣化による影響、さらにリフォームやメンテナンスを行う際の注意点について詳しく解説します。
加えて、リフォーム業者の視点からみるコロニアルと金属屋根材の比較や、塗装リフォームが必要となる状態についても触れていきますのでぜひ最後までご覧ください。
コロニアルとは、スレート屋根材の中で広く使われている代表的な製品の名前です。
もともとは株式会社ケイミューが提供する商品「カラーベスト」シリーズの一部として登場しましたが、現在ではスレート屋根材の中でも非常に高いシェアを獲得しているに至ります。
その為、次第に「コロニアル」という名称はスレート屋根全般を指す言葉として定着しました。
コロニアルはセメントを主成分とする屋根材で、瓦屋根に比べて軽量な点が特徴です。
そのため、特に耐震性の面でも優れた屋根材として評価されています。
阪神・淡路大震災を契機にその軽さが改めて注目され、新築住宅に採用されるケースが急増しました。
それ以来、「軽量でありながらコストも抑えられる屋根材」として高く評価され、日本の住宅市場でも広く普及し続けています。
「コロニアル屋根」とは一口に言っても、その特徴や種類は販売されている年代によって違ってきます。
特に耐久性・メンテナンスにおける注意点も大きく異なるため、ご自宅のコロニアル屋根がどの時期に作られたものかをしっかり確認しておくことが大切です。
①ニューコロニアル:アスベストが含有しているコロニアル
コロニアル屋根が登場したのは1979年で、当時は「屋根材の新しい選択肢」として大きな注目を集めた屋根材です。
それ以前の屋根の選択肢としては、大きく分けて「耐久性に優れるものの高額で重い瓦屋根」か「軽量である一方で耐久性に欠けるトタン屋根」が一般的でした。
しかし、コロニアルは「低コスト」「軽量」「施工の容易さ」といった特徴を兼ね備え、短期間で新築やリフォームの現場に幅広く普及する事となります。
「ファーストフード」の様な手軽さから急速に広まったコロニアル屋根ですが、一方でその性能を支えていたのはセメントに含有された「アスベスト」でした。
【アスベストを含む屋根材が使用されていた理由】
現在ではアスベストが健康に悪影響を与えることが明らかになりその使用は禁じられていますが、かつては屋根材をはじめさまざまな建材に広く使われていました。アスベストが建築業界で重宝されていたのは、低コストでありながら優れた耐久性や耐火性を持っていたためです。コロニアル屋根材もセメントにアスベストを混ぜることで割れにくく、非常に強固な素材に仕上げることができました。
アスベストはその優れた耐久性と低コストでの生産が可能であったため、コロニアルの製造費用を抑えることができました。
この時期に生産されたアスベストを含むコロニアルは、しばしば「石綿スレート」と呼ばれます。
中でも「ニューコロニアル」という製品は特に普及し、1990年代前半まで製造されていました。
現在では古いタイプの製品となりますが、アスベストの特性によりその耐用年数はおおよそ40年とされています。
後に開発・製造されるコロニアルと比較しても、依然として長い耐久性を備えた屋根材です。
アスベストはかつて革新的な建材とされていましたが、1970年代にはその健康への影響が懸念され次第に規制が強化されていきました。
2004年には屋根材へのアスベスト使用が1%以上禁止され、さらに2006年にはその基準が0.1%に引き下げられたことで、事実上アスベストの使用が禁止されることとなりました。
その結果、高い耐久性を誇ったニューコロニアルは市場から姿を消す事となります。
このことから、2006年以前に建てられた住宅のコロニアル屋根にはアスベストが含まれている可能性があるため、注意が必要です。
コロニアルNEOは、アスベストを使用しないコロニアル屋根材として代表的な製品ですが、その背景には重要な問題がありました。
1990年代後半、アスベストに対する規制が強化される中で、多くのメーカーはアスベストを使用しない屋根材の開発に取り組みました。
コロニアルNEOもその一環として開発され、2001年から2008年にかけて販売される事となります。
しかし、この短期間で市場から姿を消した理由には大きな問題がありました。
それは、耐久性が大幅に低下していたことです。
アスベストの代替素材や技術が確立されないまま製造された結果、コロニアルNEOは「非常に脆い」という欠点を抱えることになりました。
実際に使用から約10年ほどで屋根全体にひび割れや欠けが目立ち、長期間問題なく使用できたニューコロニアルと比較するとその性能差は歴然です。
この時期に販売されていたノンアスベスト製のコロニアル屋根材は、コロニアルNEOだけでなく多くの製品で耐久性に関して欠陥を抱えています。
そのため、新築やリフォームの際にこれらを使用した住宅では、現在でも屋根に関するトラブルに直面しているケースが多く見受けられます。
また、ニューコロニアルと販売時期が重なることから、2001年から2008年に施工されたコロニアル屋根が「コロニアルNEO」に該当する可能性がある点にも注意が必要です。
現在流通しているコロニアル屋根材は、すべてアスベストを一切含まないノンアスベストタイプです。
アスベストに関する規制は依然として変更されていないため、これらの屋根材は安全基準に適合した製品となっています。
しかし、前述の通り過去に販売されていたコロニアル屋根材の中には、品質に不安が残るものも存在しました。
そのため、各メーカーは耐久性の向上を目指して新たなタイプのコロニアルを開発し、改良を続けてきた経緯があります。
中でも特に人気を集めているのが、「コロニアルグラッサ」や「コロニアルクァッド」などのカラーベストシリーズです。
これらは2008年に登場し、コロニアルNEOの後継として、現在でも多くの方に選ばれ続けています。
耐久性についてはコロニアルNEOよりも優れており、カタログに記載されている寿命はおおよそ30年程度となっています。
とはいえ、製造からまだ15年程度しか経過していないため、耐用年数に関しては現在も評価中の段階と言えるでしょう。
それでも現時点では特に大きな劣化症状は見受けられず、新築の屋根においてコストを抑えながら施工できる選択肢として広く採用されています。
アスベストを含まずに30年の耐用年数を達成した技術力は、まさにメーカーの実力を示しています。
前述の通り、コロニアルの耐用年数はアスベストが含有されているか否かによっても変わります。
さらに、この違いは屋根のメンテナンスやリフォーム方法にも大きな影響を及ぼします。
アスベストを含むニューコロニアルはかつて広く使用されていた屋根材で、現在ではその施工から30~40年以上が経過しています。
屋根の劣化が進行すると塗装でのメンテナンスが難しくなり、リフォーム業者から屋根の交換が提案されることも多くなると思います。
しかし、その一方でアスベストを含んだコロニアル屋根のリフォームには、いくつかの重要な注意点があります。
まず、屋根の葺き替え工事において劣化したコロニアルの取り外しが必要ですが、アスベストによる健康リスクを避けるため、解体や撤去の際には飛散を防ぐための特別な対策が求められます。
そのため、アスベストを含むコロニアルの撤去作業は他の屋根材と比べて費用が高額になるケースが多く、リフォームを進める前にその点について十分に理解しておくことが重要です。
屋根カバー工法は、既存のコロニアル屋根の上に新たに屋根材を重ねる方法です。
既存の屋根を取り外す手間がなく撤去や処分費用もほとんどかからないため、費用を大幅に抑えることができます。
そのため、特に「アスベストを含む屋根材のリフォームを、コストをできるだけ抑えて行いたい」という方には非常に適した施工方法です。
「葺き替え」や「カバー工法」のどちらが最適かを判断するためには、専門的な施工業者からの意見を聞くことが重要です。
具体的な予算や今後の住まいに対する計画などを踏まえ、じっくりと相談してみましょう。
ノンアスベスト製のコロニアル屋根材はアスベストを含まないため、撤去や処分に関連した追加コストが発生することはありません。
しかし、メンテナンスを行う上で注意しなければならない重要なポイントがあります!
それが、アスベスト非含有のコロニアルに塗装を施しても無駄になってしまうという事です。
前述の通り、初期のノンアスベスト屋根材は劣化が進行しやすく、表面に剥がれやひび割れが発生してしまいます。
一般的に塗装メンテナンスは塗布面の保護機能や景観を回復させる役割がありますが、ノンアスベストタイプに関してはそうした効果を期待する事は出来ません。
塗装を行っても素材の脆さが改善されるわけではなく、塗装工事に掛かる費用や手間は無駄になってしまいます!
「他の業者に塗装を頼んだが、すぐに劣化してしまったので屋根の状態を見てほしい」といった依頼を受けることがありますが、そうしたケースではコロニアルNEOに塗装が施されている事も少なくありません。
経験豊富な業者であれば、特定のコロニアル屋根材に塗装が意味をなさないことを理解しています。
塗り替えを提案するのではなく、他のメンテナンス方法を提案してくれるはずです!
アスベストの含有・非含有の判断できない業者に注意!
どんな工事においても共通して重要なのは、信頼できる業者に調査や施工を依頼することです。
コロニアルNEOは特徴的な形状を持つため、経験豊富な業者であれば屋根の調査段階でノンアスベストの素材を使用していることに気づくはずです。
また、耐久性に問題があるかどうかも専門知識を有した業者ならすぐに判断できます。
しかし、その一方で「アスベストが含まれているかどうか判断できないため、アスベスト含有を前提に見積もりを出します」などと提案する業者も残念ながら存在します。
コロニアルNEOはアスベストを一切使用していないため、その撤去や処分に高額な費用をかける必要はありません。
そのまま工事を進めてしまった場合、不要な費用を支払うことになってしまいます。
コロニアル屋根のメンテナンスやリフォームを検討する際は必ず複数の業者から見積もりを取り、工事費用や提案内容をきちんと比較することが重要です。
コロニアルはその軽さとコスト効率の良さから、多くの人々に支持されてきました。
しかし、近年では金属製の屋根が新築市場の主流となり、コロニアルのシェアは次第に減少しています。
では、リフォームの現場では、コロニアルはどのように評価されているのでしょうか?
豊富な経験を持つ「街の屋根やさん」が、コロニアルに対してどのような評価をしているのか正直な意見をお伝えします。
結論として、「街の屋根やさん」では屋根リフォームに金属屋根をおすすめしています。
その理由として挙げられるのが、金属屋根が持つ優れた耐久性・対候性です。
長期間安心して使用する事が可能で、将来的に掛かるメンテナンス費用・手間の削減にも繋がります。
また、コロニアルのように衝撃で割れるリスクが少なく軽量で耐震性にも優れており、現代の屋根に求められる性能を十分に備えていると言えます!
特に、ガルバリウム鋼板などの金属素材はコロニアルよりも軽量な上、非常に優れた耐錆性も備えています。
価格はコロニアルより少し高めですが、長いスパンで見ると金属屋根はコストパフォーマンスに優れた選択肢だと言えるでしょう。
コロニアル屋根は現在その使用が減少していますが、耐久性とコスト面でのバランスにおいては他の屋根材と比べても非常に優れています。
新築時においてはコロニアル屋根の低価格と施工の容易さが大きなメリットとなり、建物全体の建築費用を抑えることができます。
その為、特にコストを重視した建築工事において高く評価されています。
ガルバリウム鋼板とコロニアル屋根には、それぞれ異なる特徴とメリット・デメリットがあります。
リフォームを検討する際には両者の特徴をしっかりと理解し、それぞれの利点・欠点を比較したうえで最適な屋根材を選択することが非常に重要です。
コロニアル屋根は、時間の経過とともに色褪せやコケの発生が目立ち始めます。
特に、北側の屋根部分は日光があまり届かないためコケが生えやすくなります。
また、屋根材を保護する塗料が10年から15年経つと劣化が進み、そうした症状は屋根全体に及びます。
塗膜が剥がれると吸水性が増し、コロニアルのひび割れや反りが悪化しやすくなるため注意が必要です。
劣化を放置するとコロニアル屋根の本体強度が低下し、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
たとえば、反りが発生した部分が風の影響で持ち上がり、その衝撃で破損してしまうこともあります。
屋根全体に被害が広がる前に、早期に修繕を行うことが重要です。
インターネットでコロニアル(スレート屋根)のメンテナンスに関する情報を調べていると、「コロニアルには塗装が不要」「塗り替えの効果はない」という情報もよく見かけます。
しかし、私たち街の屋根やさんとしてはコロニアルの塗装は重要だと考えています。
コロニアル屋根が塗装を必要としない理由としては、以下の2つがよく挙げられています。
塗装メンテナンスによって必ずコロニアルの寿命が延びる訳では無い
劣化進行によってコロニアルが割れても屋根機能に問題はない
まず、「塗装を施すことで必ずしもコロニアルの耐久性が向上するわけではない」という点についてですが、実際のところコロニアルの劣化が進む原因の一つとして表面の塗膜の劣化は大きく影響しています。
塗膜が時間の経過とともに剥がれてしまうとコロニアルは雨水や紫外線を直接受けることになり、その結果、ダメージを受けやすくなります。
塗り替えを行うことで防水性や耐候性が回復し屋根の早期劣化を防ぐ効果が期待できますが、反対に塗膜が傷んだままで放置しておくとコロニアルの寿命を短くしてしまう恐れがあります。
同じ時期に建てられた住宅を調査した際、塗装が施されている屋根とそうでない屋根では、コロニアルの劣化具合に明確な差が見られます。
また、「コロニアルが割れても屋根に問題はない」という理由についても疑問が残ります。
確かに、コロニアルは上下の屋根材が重なり合う設計となっており、ひび割れが生じても屋根全体の機能には大きな影響を与えにくいことは理解できます。
しかしながら、塗装の劣化が進行するとコロニアルは雨水を吸収しやすくなり、その結果として反りや割れといった不具合が発生しやすくなります。
こうした状態は下地材である防水紙にダメージが及ぶ原因となり、その結果、屋根全体の防水性能に悪影響を与える可能性が高くなります。
防水紙は屋根の構造において欠かせない重要な役割を果たし、雨漏りを防ぐために欠かせない下地材です。
一方、その状態が悪化すると雨漏りが発生しやすくなり、屋根の防水機能が低下します。
その為、雨漏りを未然に防ぐ為にも、防水紙は常に良好な状態で維持することが必要です!
コロニアル屋根の塗装自体は直接的に雨漏りを防ぐことにはつながりませんが、塗装を行うことで防水紙が劣化しにくくなり、その結果として屋根全体の防水性能が向上します。
上記のことからも、コロニアル屋根には定期的な塗装が不可欠だと言えるでしょう。
コロニアル屋根の雨漏りを防ぐためには、棟板金の定期的なメンテナンスも必要です。
一般的に棟板金の寿命は約15年程度と言われていますが、特に注意すべきは棟板金を支える貫板(ぬきいた)の劣化です。
時間の経過とともに腐食が進み、それに併せて棟板金を固定する釘も緩んできてしまいます。
このような状態は棟板金の浮き上がりを招き、そこから雨水が浸入するリスクも高まります。
屋根の最上部に取り付けられた棟板金は風の影響を受けやすく、雨漏りのリスクが高い部分となります。
また、定期的な点検を怠ると強風時に棟板金が飛ばされる危険性もあります。
交換工事を行う際、もし下地材が劣化している場合には耐水性に優れた樹脂製の貫板を使用することが一般的です。
将来的にはコロニアル屋根全体のリフォームが必要です!
まとめ
●リフォーム時においては、コロニアルより金属屋根材の方がおすすめです
●コロニアルは軽くて耐震性が高いため、特に地震が多い日本では人気を集めていました
●コロニアル屋根は製造時期によって特性が大きく異なるため注意が必要です
●アスベストを含むコロニアルの撤去や処分には高額な費用がかかります
●初期のノンアスベストコロニアル屋根は耐久性が低く塗装メンテナンスには向きません
●定期的な塗装はコロニアルの寿命を延ばす効果があります
●満足のいく屋根工事を行うためには、信頼できる業者選びが重要です
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