屋根の状態を点検調査

天井の変色と撓み

天井には、ソーラトンが広範囲で変色しているのが確認できました。

また、色ムラが目立ち、雨染みの状態から長期にわたり、雨水が浸入していたことを示していました。

撓みのある部分が複数あったため、建物内部への影響も無視できず、改修の緊急度が高い状況です。

錆が広がった屋根の表面

屋根に上がると、元の色が判別できないほど広範囲に錆が進行していました。

表面の劣化によって雨水がスムーズに流れず、滞留が起きやすい状態が続いていたことが窺えます。

瓦棒も波打っており、内部の心木が傷んでいる可能性が高い点も気掛かりでした。

瓦棒部分を近くで見ると、剥離や腐食がさらに進んでいることがわかります。

触れるだけで表面がめくれ落ちるほどで、軽い雨でも浸水リスクが高まっている様子が見て取れました。

既存屋根としての耐久性はほぼ限界に達している状態でした。

壁際の隙間と雨水の浸入経路

立ち上がりの板金と壁の間には隙間が生じていました。

本来は端から端まで板金を立ち上げて覆う必要がありますが、既存施工では不足があり、雨水が入り込みやすい構造になっていました。

指で押さえると内部に抜けかけた釘が見え、施工精度の低さも雨漏りの要因となっていたと考えられます。

釘の浮きと板金のめくれ

別箇所では板金がめくれ、その奥に錆びた釘が見えていました。
強風で揺さぶられたことで固定力が弱まり、そこから雨水が侵入してしまう典型的な劣化パターンです。

また、下地にまで影響が及んでおり、部分補修では再発リスクが残る状況でした。
築35年が経過した屋根は広範囲で劣化が進んでおり、補修ではなく全面的なカバー工事が最適と判断されたケースです。

今回は、長年続いていた雨漏りを解消するため、ガルバリウム鋼板による屋根カバー工法をご提案させていただきました。

カラーガルバリウム鋼板を用いた屋根カバー工法

材料搬入と軒先の加工

工事ではJFE製カラーGL（パールブラウン）のガルバリウム鋼板を使用しました。

まずは材料を屋根上へ搬入し、軒先の形状に合わせて板金を加工し設置していきます。

錆びた屋根に新しい材料が並ぶと、現場の雰囲気も一気に変わり、職人の手際の良さが際立ちました。

瓦棒に合わせた心木の補強作業

瓦棒の形状に合わせて心木を切り出し、追加補強を行います。

写真では職人が1本1本の長さを調整しながら丁寧に加工している様子が写っています。

全部で134mもの心木を使用するため、集中力のいる工程ですが、屋根全体の耐久性に直結するため手を抜けない作業です。

現場でも慎重さとスピードが両立した進行でした。

防水紙の敷設とガルバリウム鋼板の設置

下地補強が完了した後は、改質アスファルトルーフィングを全体に敷き込み、防水性を高めます。

その上からガルバリウム鋼板を順に固定していくのですが、瓦棒の幅に合わせてピッタリ収める必要があるため、事前の実測がとても重要です。

職人が一枚一枚確認しながら丁寧に配置している姿が印象的でした。

新しい棟板金と樹脂製貫板の設置

屋根の山となる棟部分には新しい棟板金を取り付けます。

内部の貫板には樹脂製を使用し、木製より耐久性と強度を高める工夫をしています。

仕上がるにつれ屋根全体が引き締まり、美観性も大きく向上しました。

細部まで配慮した施工は長く使い続ける上で大きな安心材料になってくれます。

完工

最後に、壁際からの浸水防止のためパラペットを端から端までしっかり立ち上げ、笠木を取り付けて工事は竣工です。
従来の問題点であった隙間も完全に覆われ、雨水が入る余地のない構造に改善されました。

完成後の屋根は艶やかなブラウンに統一され、まるで新築のような仕上がりに生まれ変わりです。
この工事により長年悩まされてきた雨漏りが解消され、屋根全体の耐久性も大幅に向上しました。

お客様からも「もっと早く相談すればよかった」とのお声をいただき、安心して事務所をご利用いただける環境が整いました。
屋根の劣化は気づきにくいものですが、症状が出始めたら早めの点検が大切です。