屋根の漆喰の状態を点検調査

下屋根の瓦と壁際の隙間部分で漆喰が欠け、内部の土台が見えてしまっていました

この状態では瓦の固定力が低下し、雨水が弱点を突いて侵入する恐れがあるため、早急な補修が必要です。

鬼瓦の根元でも漆喰が大きく欠け、内部の下地が露出していました。

細かなひび割れではなく、塊ごと剥落している部分もあり、風雨の影響を強く受けたことが窺えます。

瓦の端部は、特に負荷がかかるため、機能が落ちると周囲に連鎖的なズレを招きやすい状態でした。

大屋根の北側では、瓦の重なり部分の漆喰が崩れ、隙間が段差のように見えていました。

漆喰自体も乾燥して硬化が進み、触れると崩れそうな質感で、保護機能がほとんど失われている状態です。

苔が見られる部分もあり、湿気に長くさらされてきた事が窺えます。

下がり棟では、漆喰表面の剥がれが奥まで進行し、黒ずみも広がっていました。

瓦の影になって見えにくい場所ですが、劣化は確実に進んでおり、補修を急ぐ必要がありました。

棟の構造が複雑なため、職人の丁寧な手作業が求められる部位でもあります。

屋根の漆喰詰め直し工事

工事は、職人さんが屋根に腰を落とし、鶴首という細身の鏝（こて）で漆喰を押し込みながら均する作業からです。

漆喰は隙間に確実に充填することで初めて防水機能を発揮するため、力の入れ方や角度を微調整しながら作業を進めました。

風が冷たい日でしたが、職人は集中して均し作業を続け、仕上がりが滑らかになるよう工夫しています。

下がり棟の軒先は足場が限られており、僅かなスペースで体勢を保ちながらの作業になりました。

職人さんは瓦を傷つけないよう姿勢を調整し、手元を確かめながら少しずつ漆喰を詰めています。

場所によっては風の流れが強く、材料が乾きやすいため、塗り広げる速度も考えながら作業を進めていました。

壁際の漆喰部分は、白く清潔感のある仕上がりになり、瓦との境目もきれいに整えました。

塗り厚のバランスを保つことで見栄えもよくなり、雨水の流れもスムーズに導ける状態です。

細部まで均一に仕上げることで、長く機能を維持できるよう配慮しました。

棟のカーブに沿って滑らかに施工したことで、漆喰の均一さが際立ちました。

古い漆喰を取り除いたうえで新しい材料を丁寧に盛り直し、滑らかな面を作ることで雨水の溜まりを防ぎます。

これで、瓦を固定する力も高まり、屋根全体の耐久性が向上しました。

完工

最後に仕上がりを確認して、工事は無事に終了しました。

今回の漆喰詰め直し工事では、全体的に劣化が進んでいた部分を丁寧に補修し、雨漏りのリスクをしっかり抑えることができました。

お客様からは、作業中も気遣っていただき、職人さんも大変励みになったようです。

施工後の屋根は清潔感のある仕上がりになり、見た目も安心感のある状態へと整いました。