外壁の状態を点検調査

木目調のサイディングで、全体に程良いムラがあり、意匠としては味わいのある印象でしたが、実際には劣化によるものでした。
近くで確認すると、色褪せが進んでいる状態でした。

また、サッシ廻りではシールが痩せ始めており、壁面ジョイント部分のシールについては、ご主人様ご自身で補修を行われていたとのことです。
丁寧に手をかけてこられた様子が窺えます。

ですが、シールの劣化が高所部分にも見られるようになり、これ以上の自己補修は難しいと感じられたことが、今回の相談につながったそうです。

建物の裏側は山の斜面に面しており、加えて北側という立地条件から、湿気がこもりやすい環境となっていました。

その影響で、苔やカビが発生しやすい状況にあることも確認できます。

こうした環境条件を踏まえ、今後の美観と耐久性を保つためには、苔（こけ）やカビの発生を抑制できる性能を備えた塗料を選定する必要がありました。

サイディングの役物であるコーナー材を確認したところ、横方向に小さな亀裂が見受けられました。

この程度の幅であれば、シール処理と塗装によって十分に補修が可能な状態です。

下地処理

高圧洗浄

まず初めに、屋根と外壁を高圧洗浄で丁寧に洗い流し、汚れや付着物を除去しました。

これは、下塗り材の密着性を高めるために欠かせない重要な工程です。

また、軒樋の内部清掃については、足場を設置しなければ対応が難しい作業となりますが、建物全体を良好な状態に保つための一環として対応しています。

外壁の高圧洗浄を行っている様子です。

苔やカビが残らないよう、細部まで丁寧に洗い上げました。

今回はシャッターの塗装は対象外でしたが、ご要望に沿って洗浄のみ対応しています。

塗装工程を進める前の下地づくりとして、重要な作業となります。

こちらは駐車場の床部分です。
コンクリートの状態に問題がない場合には、洗浄する工程の一環として洗浄を行っています。

続いて、こちらは塀の様子です。
こちらについても同様に、状態を確認したうえで対応しています。

対象箇所や対応内容について希望がある場合は、事前にお知らせいただければ確認のうえ対応しています。

シーリング処理

シール（シーリング）の打ち替え作業を進めていきます。

最初に、既存のシールにカットを入れ、その後、古いシールを丁寧に取り除いていきます。

あわせて、両端に残ったシールも残さず除去し、次の工程に備えて下地を整えました。

今回の作業では、合計で94m分のシールを撤去しました。

新しいシールをしっかりと定着させるため、次の工程としてプライマーと呼ばれる接着剤を塗布し、下地処理を行っていきます。

屋根塗装工事

屋根の下塗りには、サーモアイシーラーを使用しました。
こちらは、後工程で使用するサーモアイSi専用の下塗り材となります。

中塗り上塗りにはサーモアイSiを採用しています。
2液型の弱溶剤シリコン系遮熱塗料で、屋根表面の温度上昇を抑える効果が期待できます。

これにより、室内温度の上昇も抑制され、結果として冷房負荷の軽減や電気代の削減につながる塗料です。

仕上げとなる上塗り工程に入ります。

一般的には、中塗りと同じ塗料を重ねて塗装し、塗料本来の性能を十分に引き出します。

これにより、耐久性が高まるだけでなく、光沢のある美しい外観に仕上がります。

また、棟板金については、下地処理としてサーモアイプライマーを塗布したうえで、サーモアイSiを2回重ね塗りし、耐候性と仕上がりの向上を図っています。

塗料で塞がれた隙間にカッターを入れ、あらためて通気と排水のための隙間を確保します。

この作業は「縁切り」と呼ばれ、屋根内部に雨水が溜まるのを防ぐために欠かせない重要な工程です。

外壁塗装工事

次に工程として、下塗り作業に入ります。

今回は下地調整材としてパーフェクトサーフを使用し、このあとの塗装工程に備えて下地を整えていきます。

続いて中塗り工程です。

仕上がり時のムラを抑えるため、塗り残しのないよう丁寧に進めていきます。

今回、上塗り材にはパーフェクトトップを採用しました。

色品番は、白がND-503、茶色がND-342です。

上塗りでは塗り重ねを行いながら、ハケを使って細かな部分の調整を行いました。

今回は木目調のサイディングのため、木目の質感が活きるよう意識しながら仕上げています。

「その他箇所・基礎」塗装工事

雨樋の塗装工程に入ります。

まず、既存の汚れや付着物を落とすためにケレン作業を行い、下地を整えました。

段差や隙間などの細かな部分については、小さめのハケを使って先行して塗装し、仕上がりに差が出ないよう丁寧に進めています。

仕上げとして、ローラーを使い全体を均一に塗装していきます。

あわせて基礎部分の塗装を行いました。

下塗り材には、下地への浸透性に優れたIP含侵シーラーを使用し、次の工程に備えて下地を整えています。

こちらは上塗り材として使用するIPヨウヘキコートです。

外壁と同じ塗料で対応するケースも見受けられますが、擁壁や基礎部分は湿気を含みやすいため、透湿性に優れた専用塗料の使用が適しています。

十分に洗浄を行ったあと、下塗りとしてIP含侵シーラーを隙間なく塗布し、上塗り工程へとつなげていきます。

下塗りの乾燥を十分に待ったうえで、IPヨウヘキコートを塗布していきます。

まず1層目を仕上げ、しっかりと乾燥させたあと、重ね塗りを行い、耐久性と仕上がりの向上を図りました。

基礎は高基礎仕様となっていました。
建物の裏側がすぐ山に面している立地のため、湿気対策としてこの仕様を選ばれたものと考えられます。

状態を確認したところ、劣化はほとんど見られず、良好なコンディションを保っていました。
今回は、良い状態のうちに塗装を行ったことで、今後も健全な状態を維持しやすくなります。

高基礎の特性を活かし、耐久性の向上につながる仕上がりとなりました。

完工