更新日:2023年02月16日
幼いころ、おうちの絵を描くときには「四角形の上に三角形」が定番でした。多くの方が「三角屋根」で表現していたのではないかと思います。その三角屋根の形状を「切妻(きりづま)屋根」と呼んでいます。とてもシンプルな造りですが、専門的な呼び方になるとピンとこないかもしれませんね。今回は、切妻屋根についてサクッとご説明します。
屋根の形
切妻(きりづま)の由来~形状
切妻屋根とは、屋根の最頂部の大棟(おおむね)から地上(下)に向かって屋根を葺きおろしている形状です。2つの傾斜面が本を伏せたような山形の形状をしています。その山形部分を「大棟」として考えるとイメージしやすいです。「切妻」の『妻』とは「端(つま)」の意味で、建物の大棟の両端の「壁」のことを意味し、この妻の部分で屋根を切り落としているので「切妻」と呼ばれているのです。
切妻屋根のメリット
・施工コストを抑えられる
切妻屋根は長方形が2面で構成されており、形状がシンプルで比較的難しい工事ではないため施工コストを抑えられます。将来のメンテナンスやリフォームについても同じことが言えます。
・雨漏りしにくく、メンテナンスもしやすい
雨水の浸入は、屋根/外壁ともに、建材と建材の接合部分が原因であることが多いです。切妻屋根の「棟」は、屋根の頂上にある大棟の1箇所だけです。接合部分である棟の少ない方が雨漏りリスクも少なくなります。
・小屋裏の通気を確保しやすい
切妻屋根は、屋根が二等辺三角形の形状をしているため、小屋裏(屋根裏)を広く確保できます。また、通気口を設けやすいといった特徴もあります。軒天換気や換気棟のほか、妻換気を設けることにより、建物全体の換気を良好に保つことができます。
・落雪する場所を予測しやすい
切妻屋根は2面の屋根のため、積もった雪はそれぞれの面に沿って落雪することになります。そのため、落雪する場所も予め分かりやすく事故を防ぐことが可能です。
・万能な形状
ほぼ全ての屋根材が利用できるため、和風・洋風・和洋折衷とさまざまなデザインの建物でも似合う形状です。
切妻屋根のデメリット
・妻壁の壁面に太陽光や雨風を直接受けやすいため、妻側壁面が劣化しやすく雨漏りのリスクも高くなります。
・多くの屋根で採用されている形でもあるため個性がないと感じるかもしれません。
・デメリットというわけではないかもしれませんが、切妻屋根はどちらかというと急勾配になる場合が多いです。急勾配であるほうが、雨水の排水スピードが速くなることで雨漏りリスクは減少します。しかし、急勾配は屋根面積が広くなり、リフォーム時には通常の足場に加え屋根足場が必要になります。
切妻屋根のメンテナンスポイント
・破風板の定期的なメンテナンス
破風板は、常に雨風が当たる部分のため、傷みやすく定期的なメンテンスが必要です。破風の材質は木製または、窯業系サイディングであることがほとんどです。どちらも、雨水の吸収を防ぐために定期的な塗装によるメンテナンスが必要になります。しかし、破風板の傷みがひどく、塗装による効果が見込めない場合もあります。その場合は、ガルバリウム鋼板で、破風をまるごと包む破風板板金巻きがおすすめです。丈夫なガルバリウム鋼板を使用することにより20年前後の耐用年数を期待できます。
・妻壁の定期的なメンテナンス
破風側の外壁(妻壁)も破風と同じように傷みやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
近年よく見られる、軒の出が短い住宅(軒ゼロ住宅)では特に注意が必要です。軒の出(ケラバの出含む)が短いと、本来、傘のような役割をするものが無いということになります。そのため、雨を直接受けるようになり、経年などで軒先と外壁の取り合い部から雨水が入り込みやすくなります。その他、壁面が劣化しやすく窓や開口部からの雨漏りリスクも高くなります。
・屋根の形状に合った雨樋を付けましょう
切り妻は屋根が2面、寄棟は4面です。屋根の形状よって1方向に流れる雨水の量が違います。同じ雨量を2面で受ける場合は、4面で受ける場合に較べて排水性能の高い雨樋(大き目)が必要になります。集水器を追加するという方法もあります。
まとめ
新築や建て替えをお考えの場合には、是非、切妻屋根がおすすめです。また、外壁から張り出している屋根の下部分=「軒天」 が広いほうが、直接的に当たる雨風の影響が少なくて済みます。すでにほかの形状の屋根にお住まいの場合や、既存物件をご購入される場合は、屋根の形状を変えるというのは大掛かりな工事が必要で、なかなか現実的ではないようです。現在の屋根の形状ならではの気を付けるポイントや、こまめな点検・メンテナンスが重要です。私達、街の屋根やさんでは、点検・お見積りを無料で承っております。経験豊富なプロならではのアドバイスもお任せください。
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