更新日：2017年02月03日

君津市でに大きな日本家屋にお住まいのお客様から「瓦の一部が崩れ落ちてきた」とのご相談を受け、補修工事にお伺いいたしました。

本当に大きく立派な日本家屋です。大棟瓦、屋根の頂点に積み重ねられた瓦は9段にも上ります。一際目立つ入母屋のお住まいです。入母屋部分には彫刻も掘ってあり、屋根の形状もハイカラな太鼓張り大屋根となっています。太鼓張り屋根の特徴は通常の屋根よりも急勾配にできるため、雨の音など和らげる効果を持っていることです。また太鼓張り屋根に大棟瓦を高く積み上げる施工がされていますと、大風が吹いた時などは大棟に当たった風が渦を巻き、瓦の飛散を防止するという効果を生みます。強風の力を上手く使い、逆に利用しているのです。近年では見ることが少なくなった昔の技術の塊です。一つ一つの技が見え隠れしていて、見ていて飽きない屋根でした。

屋根の鬼瓦の部分を固定していた銅線が切れてしまい、鬼瓦が落下していました。下り棟部分が何層もあると、小口を隠す役割を持つ鬼瓦も必然と大きくなります。人の手がこんなに小さく見えてしまうぐらい、大きく立派な鬼瓦です。ここまで大きな鬼瓦もめったに見ることができないでしょう。ただ、こんな巨大なものが頭上から落ちてきたら、一溜りもありません。結合部分には漆喰が詰めてありました。漆喰は密着力はありますが、吸着力や接着力は余りなく、重いものを支えることはちょっと苦手です。棟内部の銅線で固定しているのですが、経年劣化が出てしまっています。今回、補修した部分の銅線はより太くビニールでコーティングされているものを使用いたしました。大きい鬼瓦ですので、念には念を入れて2本止めにしています。これで今までよりも耐用年数を大幅に伸ばすことができるでしょう。

お客様にお話を伺ったところ、何でも子供の頃から建っていたご実家だそうで、軽微な不具合が出ては直しを繰り返し、維持してきたそうです。今回の様に鬼瓦自体が落下したことはなかったそうですが、瓦が落下してしまったりすると割れてしまい、修復不可能なまで壊れてしまうこともあります。屋根は丁寧な施工がしてあるものの、直した方がよいところが多いのも事実です。このままだと、小さな工事をちょこちょこと繰り返すことになるでしょう。本来であれば、全て直しきってしまった方が後々の事を考えても良いてじょぅし、トータルでの金額も安く済むのですが、これだけ大きく手の込んだ屋根ですと結構な金額になってしまいます。実は屋根って、おすまいの中で一番メンテナンスを考えなくてはいけない部分なのです。家のどの部分より過酷であり、住んでいても劣化状況の確認しづらく、気が付きにくいところでもあります。心配なことがございましたら、ご依頼をいただければ、調査に参りますのでご一報ください。