日本瓦(粘土瓦)のメンテナンス
更新日:2022年01月21日
瓦屋根は素材により「粘土瓦」や「セメント/コンクリート瓦」、「ハイブリッド瓦」等に分類されています。今回は土由来の「粘土瓦」のメンテナンスについて簡単にご案内します。粘土瓦
土由来の粘土瓦には釉薬(ゆうやく)がかけられているか否かで「釉薬瓦」と「無釉薬瓦」に分類されます。「釉薬(ゆうやく)」は「うわ薬」という陶磁器の表面を覆うガラス質の膜のことで、陶器と同じ仕上げになるため「陶器瓦(とうきがわら)」とも呼ばれています。
●釉薬(ゆうやく)瓦(陶器瓦)・・釉薬により、ツヤや様々な色のバリエーションが可能。耐用年数は50年以上。経年により多少の色褪せはあります。
●無釉薬(むゆうやく)瓦・・いぶし瓦と素焼き瓦があります。釉薬を使用せず焼きあげており、いぶし瓦は焼き上げ後、仕上げに燻す(いぶす)ことで渋い色味になります。耐用年数は30年~50年程。
メンテナンス
<漆喰工事>
瓦屋根の漆喰(しっくい)は、瓦と瓦の隙間を埋める接着剤のような役割をしています。漆喰の劣化状態によりメンテナンス方法が異なります。漆喰の劣化が比較的軽い場合は「漆喰の詰め直し」を行います。ヒビ割れなど劣化している漆喰を取り除き、新しい漆喰を詰め直すという方法です。漆喰が剥がれて無くなり棟に歪みが出ているなど、重症な場合は「棟の取り直し」を行います。
<部分葺き直し工事>
屋根と屋根の取り合い部分(複合屋根)に「谷樋(たにとい)」があり、この部分に設置されている板金を「谷板金(たにばんきん)」といいます。雨水や雪を排水する「樋」の役割のため、板金の腐食が進行しやすく、雨漏りの原因箇所になることが多いため、定期的なメンテナンスが必要です。谷板金の劣化により雨漏りが発生した場合、状態にもよりますが部分葺き直しで修繕が可能です。また、外壁と下屋根の取り合い部分でも、雨仕舞(あまじまい)板金の劣化や、熨斗(のし)瓦のズレや破損・漆喰剥がれ等で修繕が必要な場合も、部分葺き直しで対応が可能です。
防水紙のメンテナンスも必要です
瓦屋根の耐用年数は50年~100年以上のものも多く、瓦が割れない限りメンテナンスフリーのイメージがあります。しかし、瓦の下にある下地材(下葺き材)の防水紙や野地板(のじいた)は、そこまで長持ちしません。漆喰と同様に防水紙も定期的なメンテナンスが必要です。防水紙の寿命は環境や種類にもよりますが、約20年です。10年経過した頃から劣化が始まるとも言われており、地震や強風等の振動により瓦で防水紙が擦れてしまうこともあります。瓦は、1枚1枚に重さがあります。1枚ズレるだけで徐々に全体のバランスが崩れ始めてしまいます。瓦屋根は部分補修が可能ですので、大掛かりな修繕が必要になる前に、その都度補修されることをおすすめします。このページに関連するコンテンツをご紹介
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