ご自分でできる悪天候後・地震後の屋根点検
「自宅の屋根が悪天候の影響を受けた可能性がある」
「地震で住まいの瓦屋根が移動していないか心配」
このような心配事を抱える方々に、自分でもできる屋根点検の方法を解説します。
屋根材ごとの点検ポイントや自己点検時の留意事項について詳しくご紹介しておりますので、問題があればぜひお問い合わせください。
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屋根の点検と聞くと、「高いところに上らないといけないの?」と少し不安になってしまう方もいらっしゃるかと思います。どのような不具合があるのか?またどの程度の被害があるのか?といった詳細については専門業者の点検を受けて、補修が必要かどうかの最終的な判断は行うとしてもお住まい、屋根の異常にまず真っ先にお気づきになるのはお客様ご自身であるケースがほとんどですよね。
「屋根の上から聞いたこともない音がする」
「庭先に屋根から何かが落ちてきた」
また、ご近隣の方から、指摘を受けて屋根を眺めてみたら、
「鉄の板のようなものが外れかけていた」
「瓦が一枚なくなっていた」
など私たち街の屋根やさんにご相談くださるほとんどのお客様がご自宅の屋根の異常に、大きな不安を抱えてお問合せいただきます。毎日お住まいと接しているお客様だからこそ、異常が発生する前と後の違い、異常が発生することでお住まいにどのような変化が起きたかなど気になってしまいますよね。そこでまずは自分で点検ができるのか?どうやってするのか?についてお話しをしていきたいと思います。
まず、屋根点検を行う際にご注意いただきたいのは、100%安全だと言い切れるような、点検をするということです。私たち専門家でも屋根の上は細心の注意を払って上らなければ危険な場所です。
万が一「滑って落下した」といった事故が起これば、怪我だけでは済まない可能性がありますから、まずは100%の安全を確保した上で行うことが大前提となります。
上階からご自宅の屋根を確認する
屋根の形状にもよりますが、屋根に上らなくても屋根の状態を間近に確認できる方法があります。それが上階の窓から、ご自宅の屋根を確認するという方法です。
例えば下屋がついているお住まいなどは、外壁から差し出た形で屋根が取り付けられています。こうした屋根や三階や二階の窓から下を眺めることで屋根の状態が確認できます。
くれぐれも窓から身を乗り出すようなことは危険ですのでお控えください。
ご自宅より高い位置からご自宅を眺めてみる
窓からではご自宅の屋根が全て確認できるわけではありませんよね。
もし全体の確認をしたい場合で、例えばご自宅より高い位置に道路や橋がある、公園があるような場合はそうした場所から遠目にはなりますが確認してみましょう。
このような場合双眼鏡などを使用することで状態をよりわかりやすく確認できますが、周りから見ると他人の家を覗いていると勘違いされてしまう事もありますので周囲に気を配ることが大切ですね。
押し入れ、小屋裏など室内の状態を確認する
特に雨漏りなどは、お住まいの外側である屋根に何かしらの不具合が発生し、そこから時間をかけて室内へ浸入してきます。
湿気や雨染みなど雨漏りの被害が出やすい場所としては小屋裏や、小屋裏に繋がる二階の押し入れなどです。普段はなかなかまじまじと見ることのない押し入れの天井、そしてそこから繋がる小屋裏などであれば危険のない範囲で状態を確認することができますね。
外壁など外周を確認
悪天候後、自然災害後に被害を受けるのは屋根だけではありません。例えば軒天や雨樋、また外壁自体が被害を受けてしまう事もあります。
軒天の剥がれや雨染み、雨樋の外れや歪み、またそこから雨水がこぼれ落ちることによってできた外壁の汚れや、それ以外の不具合などお住まいの外周を点検するだけでも異常に気付くことができる不具合も多々あります。注意を向けるのは屋根だけに限らず、外壁も点検してみましょう。
冒頭でもお話ししましたがご自分で点検するの際の最大のポイントは100%安全だと言える状態で行うということです。
当然私たち専門業者であっても屋根の上が危険で あることは変わりないため安全のための靴やヘル メット、また安全帯の装着など細心の注意を払って 行うのが屋根点検や屋根工事です。
また安易に屋根に上ってしまったせいで、逆に屋 根を傷めてしまう事にもなりかねません。お客様自 身で不具合を増やしてしまっては補修にかかる費用 などを考えると決して喜ばしいことではありません し、危険が伴うだけですのでお控えいただきたいと思います。
それではここからは屋根材ごとに見られる異常や不具合について見ていきましょう。ご自宅の屋根を眺めた際にこのような状況が見られる場合は、すでに雨漏りなどの被害が進行してしまっている可能性もありますので専門業者に早急にご相談いただくとよいでしょう。
セメントのような塊が落ちてませんか?
強風の後に庭先をぐるっと一周してみてください。
グレーっぽい、セメントのような塊が落ちてませんか?
もし落ちていたら漆喰の可能性があります。漆喰は棟瓦と屋根面の隙間に埋められています。棟瓦などの漆喰が劣化して落ちているとすると棟瓦付近に異変があるかもしれないので要注意です。また下から眺めた際にその隙間から茶色い土(葺き土)が覗いてしまっている場合、本来漆喰が防いでくれる雨水の浸入を許してしまっている可能性があります。このように漆喰の落下や剥がれについて確認してみましょう。
針金のようなものが落ちていませんか?
瓦屋根の特徴とも言えますが、針金のようなものが庭先などに落ちていませんか?
もしかしたら熨斗(のし)瓦と棟瓦を固定している銅線かもしれません。
固定していた銅線が切れてしまえば、棟瓦や熨斗瓦の落下の危険性もあります。瓦屋根の見せる細かなサインですので見落とさないよう、悪天候後などは注意深く見てみましょう。
瓦の剥がれやズレ、落下など
美しく整列されているはずの瓦が数枚なくなってしまっている、ズレてしまっている、割れてしまっている、庭先に落下してきた、こういった事はありませんか?
一次防水としての役割を持つ屋根材が剥がれていたり、ズレてしまっている状態では、その下地部分に直接雨水が入り込み防水紙や野地板を傷めてしまい、雨漏りに発展してしまう可能性があります。また隙間に鳥などの小動物が住み込み糞尿などでこちらも下地を傷めてしまう可能性があります。
釘が落ちていませんか?
強風後、お庭に釘が落ちていませんか?
4cm 前後の釘が落ちてる場合、棟板金を固定している釘の可能性があります。
耳を澄まして音を聞いてみてください。バタバタと音がする場合、棟板金の釘が浮き、暴れているかもしれませんし風で飛んでしまう可能性もあります。
心配なことがあるときはちょっと遠くで屋根の傾斜が見える位置まで動いてみてください。
遠目から見て色が違って見える場合、その部分が浮 いていたり、めくれていたりする可能性があります。
板金が落ちてきていませんか?
釘が抜けて落ちてしまっただけでなく、板金自体が飛散して、落下してしまったというご相談も特に強 風を伴う悪天候後は多くなります。
スレート屋根には、受けた雨水を受け流す雨仕舞として屋根の頂点に設置されている棟板金の他にも外 壁との取り合い部分にも板金が施されています。こうした板金は釘の固定力を失った上で強風による影響 を受ければ、浮いてしまったり、最悪飛散して外れてしまう事も考えられるのです。特に強風を伴う悪天 候後や庭先などに板金が落ちてきていないか、また下から眺めた際に浮いていないかなどを確認してみま しょう。
屋根材の割れや欠け、落下など
こちらも専用の釘で固定されている屋根材ですが、特に強風を伴った悪天候の場合は板金部材だけでなく 屋根材にも被害を与えてしまう事もあります。
釘の固定力を失った部分が風の影響を受けて剥がれてしまったということはもちろんですが、強風によって 運ばれてきた飛来物が屋根にぶつかり屋根材が割れてしまった、欠けてしまったということもあるのです。
●スレート屋根の色褪せや苔にも要注意
悪天候後の点検とは少し違いますが、スレート屋根が見せる異常・不具合は板金や屋根材の飛散や落下などだけではありません。特に経年劣化によって、塗膜で守られている防水性が失われてしまうと苔や藻が繁殖して屋根材自体が水分を含んでしまい、素材を弱くしてしまうばかりか最悪のケースとして雨漏りへと発展してしまいます。
お住まいの屋根をご覧いただいたときに屋根の色が剥げてきている、苔や藻の繁殖で屋根が広い範囲で緑色になってしまっている際は塗装が必要なタイミングになっていると考えましょう。
板金が落ちてきていませんか?
スレート屋根同様ですが、屋根の棟部分、また外壁との取り合い部分に板金部材が取り付けられています。金属は熱の影響を受けやすいため日夜の温度差で熱膨張と収縮を繰り返すことで徐々に釘が浮きはじめ、固定力を失っていきます。そうした所に強風・台風が襲い掛かれば板金が影響を受けて、浮きや剥がれなどの被害が生まれやすくなります。
こちらも強風を伴う悪天候後は板金の落下や浮きなどの被害を受けていないか確認するようにしましょう。
屋根材の凹み
記憶に新しいという方もいらっしゃるかもしれませんが、2019年5月関東甲信地方で局地的な雹が降り、直径3〜4cmほどの雹が住宅やビニールハウス、車を襲ったというニュースがありました。
稀に発生する降雹による被害ですが、空から勢いよく降り注いでくるため真っ先に影響を受けるのが屋根であることは想像に難くないですよね。降雹によって屋根が凹んだ、傷つくといったことがあるため強風や台風後だけでなく、雹が降った後も屋根の状態を確認する必要があると言えますね。
●金属屋根の大敵「錆」には要注意
スレート屋根に色褪せや苔といった経年劣化によっ て見られる症状があるように金属屋根にもメンテナンスの必要性を告げてくれる劣化症状があります。
それが錆です。錆は金属を脆くし、最悪貫通し、穴を空けてしまいます。
こうした錆の広がりを防いでくれているのが塗装でもあるため屋根を眺めた際に塗装が剥げてきている、錆が見られるといった場合は、こちらも塗装が必要なタイミングと考えましょう。
屋根と雨樋の隙間から水が垂れていたり、軒天にシミはありませんか?
雨の降っている日にちょっと屋根を見上げてみてください。屋根と雨樋の隙間から水が垂れているところはありませんか?軒天にシミが出ているところはありませんか?
雨樋の歪みなどの不具合、また詰まりなどからくる雨水のオーバーフローにより、雨天時に雨水が溢れてしまったり、外壁を伝うようにこぼれてしまうようなケースにおいては外壁を汚すだけでなく、外壁のクラックから雨水の浸入を許してしまったりとお住まいの新たな不具合へと発展してしまうケースもあります。
また軒天のシミなど、実は気付かないうちに雨漏り被害が進行してしまっていたなんてこともございます。こんな現象をみたら迷わずお問い合わせください。
床に何か落ちていませんか?
床に何か落ちていませんか ? それがグレーの欠片だったら漆喰かもしれません。貴方のお住まいが瓦屋根ではありませんか ? もし違うのだったら、外壁は似たような色ではありませんか ? ベランダ・バルコニーにそんなものが落ちていたら明らかに不自然ですよね。
床に釘やビスといった金属製の部品は落ちていませんか ? そういった部品が風で飛んでくるのは不自然ですので、お住まいの外回りで何かを固定したものと考えた方が良さそうです。釘やビスでなくても金属製の部品は落ちていませんか ? アンテナや雨樋を固定していたものかもしれません。
ベランダ・バルコニーの排水口に土や砂、落葉などのゴミは溜まっていませんか?排水口の詰まりは雨漏りの原因になります。しっかり取り除いてあげてください。アンテナケーブルがしっかりと固定されているかも確認してください。
普段注意深く見ないと気付かないようなものまで含めてお住まいは、私たちにメンテナンスや補修の必要性についてのサインを出してくれています。こうしたサインに気付かずにお住まいの耐用年数を縮めてしまう事は誰もが避けたいとお考えですよね。是非この機会に大切なお住まいの自己診断をしてみましょう。
お住まいの異常にいち早く気付き、ご不安になっている方も多いと思います。
ここまででご自分でできる屋根やお住まいの点検について見てきましたが、詳細な点検は是非街の屋根やさんにご依頼いただきたいと思います。
新築から時間が経過している屋根などは、突発的に発生した不具合に加えて経年劣化によって発生する不具合の予備軍ともいえる劣化や傷みを抱えているケースが多々あります。
どのような補修が必要なのか、また将来を見通した際にこれからどうすべきかなど、それぞれのお住まいの屋根材や状況に応じて最適なご提案をさせていただきます。
特に強風、台風などによる被害の原状回復は火災保険を活用した補修も可能です。工事、工法はもちろん保険の活用なども幅広い提案をさせていただけますので是非お気軽にご相談ください。
ご自分でできる悪天候後・地震後の屋根点検まとめ
●ご自分で屋根点検をする際は 100%の安全を確保した上で行いましょう。
●ご自身で屋根に上ることはせず、「上階からご自宅の屋根を確認する」「ご自宅より高い位置からご自宅を眺めてみる」「押し入れ、小屋裏など室内の状態を確認する」「外壁など外周を確認」など安全にできる範囲内で実施しましょう。
●瓦屋根の場合は漆喰の剥がれ、瓦のズレや剥がれ、落下などがないか確認しましょう。
●スレート屋根の場合は釘や板金部材の剥がれ、落下、屋根材の割れや欠け、落下などを確認しましょう
●金属屋根の場合、スレート同様板金部材の不具合に加えて、降雹後は屋根材の凹みなども確認しましょう。
●その他として雨樋からの水漏れや軒天のシミなど雨の日だからこそできる点検もあります。
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