屋根の棟板金の状態を点検調査

棟板金全体に広がる色あせと錆の確認

調査すると棟板金の表面塗装が広範囲で剥がれており、赤みを帯びた下地が露出していました。

これは錆止め塗料が見えてしまうほど劣化が進行している状態で、表面保護の機能が弱まっているサインといえます。

屋根全体も紫外線によって退色しており、長年の風雨に曝されてきた印象です。

塗膜剥離と下地の腐食が疑われる状態

近くで確認すると、棟板金の中央付近に細かい錆が点在し、金属の疲れが顕著に表れていました。

塗膜が部分的に薄くなり、素地が浮き出るような状態で、このままでは水分が浸透しやすくさらに腐食が進んでしまいます。

職人としても早急な対応が必要だと感じられる状況でした。

棟板金が浮いた状態

棟板金を固定している釘が複数抜けかけており、やや浮き上がっている箇所も確認されました。

特に下り棟は負荷がかかりやすいため、このような症状が出やすく、放置すると飛散の危険が高まります。

次の台風が来たら、飛ばされる可能性があるため、早急な対応が必要です。

接合部のコーキング劣化

板金の継ぎ目部分にはコーキングが施されていましたが、硬化してひび割れが始まり防水性が落ちていました。

この状態を放置すると、棟板金の耐久性が落ちて、強風で飛散しやすくなるだけでなく、雨漏りにもつながります。

今回は、板金同士の繋ぎ目にコーキングを施す作業と、樹脂製「貫板」を使用した耐久性強化と、全長34mに及ぶ棟板金の全面交換が工事のポイントになります。

棟板金に釘抜けが発生

大棟部分では、通常は劣化しにくい箇所にも関わらず、釘が2か所浮き出ているのが確認できました。

屋根の頂点は風の影響を最も受けるため、釘抜けは構造上の危険サインとなります。

全体として劣化が進んでおり、交換が望ましい状態です。

棟板金工事工事

劣化した木製貫板の撤去

まずは既存の棟板金を慎重に取り外しました。

板金は一度外すと変形してしまうため再利用はできませんが、丁寧に取り外すことで下地の状態を確認できます。

露出した木製貫板には、色褪せや剥離が見られ、長年雨水の影響を受けていたことが窺えました。

また、木製貫板はカビの発生や腐食が進んでおり、釘が効かないほど脆くなっていました。

この状態では強風時に板金が飛ばされる危険性があるため、撤去する判断は正解といえます。

撤去後は溜まっていたゴミやほこりを丁寧に取り除き、次の工程に進んでいきます。

次は、新しい樹脂製貫板を設置作業になります。

新規の樹脂製「貫板」交換作業

新しい樹脂製貫板を設置しました。

樹脂製貫板は湿気による腐食がなく、木製よりも耐久性が高いのが特徴です。

屋根に合わせて曲げや長さを調整し、ビスでしっかり固定することで、強風でも緩みにくい安定した構造になります。

職人の手際の良さが光る工程で、仕上がりの精度に大きく影響する大切な作業です。

全長34mの棟板金交換作業

貫板の設置が完了すると、いよいよ新しい棟板金を設置していきます。

今回使用したのは日鉄住金鋼板ニクスカラーのパールブラックで、軽量かつ耐候性に優れた素材です。

屋根の角度や形状に合わせて現場で微調整し、隙間が出ないよう丁寧に取り付けました。

ビス固定と板金同士の繋ぎ目にコーキング処理を組み合わせることで、長く安心できる仕上がりとなります。

最後に全体を確認し、板金の収まりや防水処理に問題がないかをチェックしました。

写真でもわかるように、仕上がった棟板金は美しく直線が通り、見た目も耐久性も大幅に向上しています。

お客様からも「これで台風の時でも安心できる」と喜びのお声をいただき、職人としてもやりがいを感じられる工事となりました。

完工