屋根の状態を点検調査

屋根はスレート葺きで、20年以上にわたり特別な手入れは行われていなかったとのことです。

屋根の勾配は4寸5分（約24.2度）で、この程度の勾配であれば作業時の歩行にも支障はありません。

表面には劣化が見られますが、現地確認および施工にあたっては、安全性を確保したうえで対応可能な状態でした。

スレートの重なり部分は、ザラザラした荒れた状態となっており、表面の劣化に加えて、僅かな反りも確認できました。

この段階になると撥水性が失われ、降雨のたびに雨水を吸い込みやすくなります。

その結果、劣化がさらに加速してしまいます。

傷みの進行状況を総合的に判断すると、塗装を施した場合でも、数年以内にスレート自体の寿命を迎える可能性が高い状態でした。

棟板金は、穴が開いていないのが不思議なほどサビが進行していました。

下地となる貫板の傷み（劣化）が原因で、棟板金が浮いた状態となり、固定している釘も抜けかかっていました。

このままでは強風や雨の影響を受けやすくなるため、棟板金は新しいものへの交換が必要な状況です。

屋根全体を確認した結果、今回必要な対応は屋根の葺き替え工事と判断しました。

スレートの劣化が著しく、塗装を行っても数年持つかどうか分からない状態です。

また、屋根の上に新しい屋根材を重ねるカバー工事（工法）という方法も考えられますが、下地となる野地板に傷みが出始めていました。

そのため、下地からしっかりと整えられる葺き替え工事をご提案しました。

屋根葺き替え工事

今回の工事は、傷みのあるスレートを撤去し、その上から野地板を重ね張りして屋根全体を補強していく作業工程となります。
合板を施工することで、屋根のねじれに対する強度を高めていきます。

まず、古いスレートを撤去すると、防水紙が現れました。
大きな劣化は見られず、雨水が染み込んだ形跡も確認されませんでした。
その上から、新しい野地板を重ねて施工を進めます。

既存の野地板は杉板を並べた仕様でしたが、その上に畳一枚分ほどの大きさの合板を張り重ねます。
合板を用いることで、屋根のねじれに対する強度を高める役割も果たします。

野地板を重ね張りした後は、防水紙（ルーフィング）を施工します。

使用するのは「ルーフィング」と呼ばれる材料です。

スレート葺きの屋根では、この防水紙が雨水の侵入を防ぐ重要な役割を担います。

その後、屋根のフチ部分に板金を取り付け、軒先から順にスレートを葺き進めていきます。

屋根の頂部には棟板金を取り付けます。

まず下地として貫板を設置し、その上からガルバリウム鋼板製の棟板金を被せていきます。

側面からビスでしっかりと固定する施工方法のため、強風の影響を受けにくく、安定した仕上がりとなります。

完工

工事は無事に完了しました。

今回、葺き替えた新しい屋根材は、従来と同じスレート葺きを採用しました。

現在のスレート材にはアスベストが含まれておらず、十分な強度を備えているため、安心して暮らせる屋根に仕上がっています。

屋根全体が新しくなり、雨漏りの不安も解消されています。

雪止めを設置しました。

これで、積雪時にも雪が一気に滑り落ちる心配が少なく、雨樋への負担を抑えられる点も安心できるポイントです。

今後の天候変化にも対応できる屋根に仕上がっています。