屋根全体の経年劣化が進みメンテナンス（カバー工法もしくは屋根塗装）が必要だと思われますが、お施主様はご高齢ということで必要最低限の屋根修理を希望されています。

この部分の棟板金（隅棟）が飛ばされてしまいお施主様が屋根に上り取り付けたようです。棟板金の耐用年数は15～25年と言われていますが経年劣化により徐々に釘が抜け、板金の浮きが発生し今回のように飛ばされてしまいます。また棟板金の浮きや釘穴からの雨漏れのリスクがあります。日頃目に付かない屋根の上の事なのでなかなか難しいですが、10年程度経過したらメンテナンスすることをお勧めします。

今回は予算の都合もあり屋根カバー工事はこの一面のみになります。他の屋根面よりも若干劣化がひどいのと、何より屋根材の大きな割れがありました。

スレートの劣化がかなり進んでいて、反りや欠損、ひび割れにシーリング補修した跡などが散見されます。スレート屋根の耐用年数は定期的なメンテナンス（5～10年での屋根塗装）を行った場合20～30年程度ありますが、主成分がセメントでできているため塗膜がないと水を吸ってしまい雨漏れにつながってしまいます。白っぽく見える部分は完全に塗膜が無くなっている所です。現在室内に雨漏れはしていないとのことですが心配です。

まずは既存の棟板金を外していきます。貫板（屋根と板金をつなげるための下地材）は下の方（軒先）が若干雨水により腐食していましたが、屋根下地まで影響は無くて良かったです。古い貫板を全て撤去し新しいものに交換します。

既存のスレート屋根にルーフィングシート（防水シート）を、屋根下の方（軒先）から敷いていき上のシートが被さるようにします。ルーフィングシートがあることにより万が一屋根材に損傷があってもいきなり雨漏れすることはありません。ですがこれにも寿命（10～１５年）がありますので注意が必要です。

ガルバリウム鋼板の屋根材を「横葺き」葺いていきます。葺き方には「横葺き」「縦葺き」がありそれぞれ長所短所があります。「横葺き」はバリエーションが豊富で複雑な屋根にも対応できるが、何枚もの屋根材を重ねていくので縦葺きよりも水の流れが悪くあまり緩い勾配の屋根には適さない。一方「縦葺き」は長い屋根材を棟から軒先まで一枚で葺くので水の流れがよく緩い勾配でも雨漏れの心配は少ないが、バリエーションが少ないといった点です。今回はこの一面だけのカバー工事なので屋根の全体的なバランスを考慮し横葺きとしました。

最後に新しい棟板金を取り付けていきます。

これで今回の屋根工事は全て完了です。全工程二日で終わりましたのでお施主様は大変喜んでおられました。また不具合が起きたらすぐ連絡するからとのお言葉を頂きました。