アパート（屋根）の状態を点検調査

化粧スレート屋根の広範な劣化

屋根全体に色あせや表面の荒れが広がっている様子が確認できました。

化粧スレート特有の層状の劣化が進んでおり、歩くと柔らかさを感じる部分もあったため、経年変化がかなり進んでいる状態です。

屋根の規模が大きく、長屋根であるため、一部の損傷が他の部分へ影響しやすい点も見逃せません。

こうした状況は雨漏りリスクを高めますので、オーナー様も屋根の写真をご覧になり、工事の必要性を実感されていました。

表面近くのスレート材の傷み

近くで確認すると、スレート一枚一枚に細かな亀裂が入り、塗膜のチョーキングも進行していました。

表層が弱ると水を吸い込みやすくなり、さらに劣化が加速してしまいます。

大規模な剥がれこそないものの、広範囲にわたってダメージが蓄積している状態です。

職人の目から見ても、この状態を塗装で改善するのは難しく、屋根カバー工法が最適との判断に至りました。

金属系屋根材を用いたカバー工事

防水紙の敷設

屋根を高圧洗浄した後に、改質アスファルトルーフィング（PカラーEXプラス）を丁寧に敷設しました。

釘穴シール性に優れ、破れに強い防水紙は長寿命の屋根に欠かせない重要な下地材です。

入り組んだ形状部分も隙間なく貼り付け、重ね幅20cmを保持しながら施工しているため、職人の細かな気配りが感じられます。

こうした丁寧な下地づくりが、後の防水性能に直結します。

断熱材付き金属屋根材を敷設

次に、軒先側から断熱材付き金属屋根材「スーパーヒランビーきわみ」を敷設していきます。

裏面にガラス繊維系断熱材（カルフォミクス）を備えた屋根材で、夏場の熱気を大幅に軽減できる点が大きな魅力です。

雪止め金具も適切な位置に取り付けられ、住民の安全を守る配慮も整っています。

35mの長屋根に同じ色が続く光景は圧巻です。

貫板と棟板金の交換作業

屋根材の葺き込みが完了したら、次に貫板と棟板金の交換作業になります。
まずは、劣化した既存の棟板金と貫板（下地）の撤去作業です。

そして、棟部分に新しい貫板を設置して、上から棟板金を取り付け、しっかりと固定します。
棟板金を固定することで、風の影響を受けやすい棟部分の耐久性が強化されます。

見えない部分こそ施工品質が問われるため、職人たちも慎重に作業を進めていました。

飛散したケラバ部分の復旧作業

突風で飛ばされてしまったケラバ部材についても、新しい下地を組み直し、周囲と色を合わせたガルバリウム鋼板で復旧していきます。

まずは、既存のケラバ部分と下地を撤去したうえで、新しい下地（木材）を取り付けました。

下地（木材）の取り付けが完了したら、次に新しいケラバ部材を取り付けていきます。

既存部材が残っていない状況でも、寸法を実測し、その場で加工しながら仕上げる技術が光ります。

カバー工事のタイミングに合わせて施工したことで、雨の影響も受けず安全に仕上げられました。

完工