現地調査では、外壁の浮きやひび割れ、ビス穴周りの剥がれなどが複数箇所で確認され、剥がれた部分には苔や黒ずみが発生していました。
長年の雨水や湿気の影響で、外壁表面が徐々に傷み、見た目にも劣化が進行している状態でした。

使用されていたのは窯業系サイディング外壁。
出荷時には工場で塗装が施されていますが、経年によって塗膜が劣化し、防水性が少しずつ低下していきます。
本来であれば塗膜が雨水の侵入を防ぐ役割を果たしていますが、防水機能が失われるとサイディング本体が直接水分を吸収するようになります。

その結果、外壁材は内部から脆くなり、表面がボロボロと剥がれ落ちたり、層状にめくれてしまったりするといった症状が発生します。
放置すると外壁の強度が落ち、さらに雨漏りや構造部材の腐食にもつながるおそれがあります⚠️

外壁だけでなく、柱部分にも欠けや損傷が発生しているのが確認されました。
一見小さなひびや欠けでも、そこから雨水が内部に浸入し、下地や木材の腐食を引き起こす原因となります。

特に今回の現場では、シーリングの劣化によって防水性が低下し、水分が染み込んだことで柱の表面が欠け落ち、内部まで劣化が進行している状態でした。
劣化箇所を放置すると、さらに雨水がまわって被害が拡大するおそれがあるため、早期の補修が必要な状況でした。

外壁の各所を確認すると、一部に浮き（ウキ）や反りが見られる状態でした。
特に1階と2階の取り合い部分では、経年劣化によりシーリングが切れており、そこから雨水が流れ出した跡が黒い雨垂れ汚れとして残っていました。
このような部分は見た目だけでなく、内部への浸水リスクが高まるため注意が必要です⚠️

浮いてしまった外壁材については、状態を丁寧に確認しながら釘やビスを使って一枚一枚しっかり固定していきます🔧
ただし、無理に押し込んでしまうとサイディングが割れたり、下地を傷めたりする恐れがあるため、あくまで素材を傷つけない範囲で慎重に施工します。

被害は外壁部分だけでなく、室内にも雨漏りの影響が及んでいました。
特にサッシ（窓枠）まわりから雨水が伝い、木製の枠に雨垂れの跡がくっきり残っている状態です。
見た目以上に内部の木材が湿気を含んでおり、時間の経過とともに腐食やカビの発生につながるリスクもありました。

外壁からの浸水が、サッシまわりのシーリング劣化や接合部の隙間を通じて室内に達していたと考えられます。
こうしたケースでは、表面を塗装するだけでは解決できないため、雨水の侵入口を正確に突き止めて補修することが重要です☔️🏠

そのため霞美装では、経験と理論に基づいて、雨水の侵入口となり得るポイントをひとつずつ検証していきます🔍
この散水調査は有料ではありますが、原因が特定できなかった現場はこれまで一件もありません。
再発を防ぎ、根本的な解決を行うための“必要な工程”として実施しています。

また、原因が特定できなかった場合には料金は一切いただいておりません。
確かな根拠をもとにした調査で、お客様にご納得いただける修繕をご提案いたします🏠✨

調査の結果、室内への雨漏りの原因は換気口まわりのシーリング劣化によるものでした。
換気口は外壁の中でも雨水の侵入経路になりやすい部分のひとつで、シーリングが硬化・ひび割れを起こすと、わずかな隙間からでも雨水が浸入してしまいます💧

既存のシーリング材は、まずカッターで切れ込みを入れて引き抜いていく作業から始めます。
しかし、今回の現場では経年劣化が進んでおり、シーリングが硬化してボロボロに崩れるほど劣化していました。

通常のようにスルッと引き抜くことができないため、カッターやドライバー、スクレーパーなどの道具を使い分けながら、少しずつ丁寧に剥がしていきます。
この工程を雑に行うと外壁材を傷つけてしまうおそれがあるため、職人が慎重に手作業で除去し、下地をきれいに整えることが大切です。

古いシーリングをすべて撤去したあとは、新しいシーリングをしっかり長持ちさせるための下準備を行います。
まず、目地の奥にボンドブレーカーを設置しました。
このボンドブレーカーには、“三面接着”を防ぐ大切な役割があります。

三面接着とは、外壁の両側面と底面の3方向すべてにシーリングが密着してしまう状態のこと。
この状態になると、外壁の動きに追従できず、ひび割れや剥離（はくり）が起こりやすくなるのです。

ボンドブレーカーを目地の底に貼ることで、シーリング材が左右の2面だけにしっかり接着する「二面接着」の状態を作ります。
こうすることで、外壁の伸縮にも柔軟に対応でき、長期的な防水性と耐久性を確保することができます💪✨

ボンドブレーカーの設置が完了したら、次にプライマー（接着剤）を塗布していきます。
このプライマーは、外壁と新しいシーリング材の密着性を高め、剥離を防ぐために欠かせない工程です。
細かい部分までハケでしっかりと塗り込み、ムラなく均一に塗布していきます🖌️

その後、新しいシーリング材を目地に打ち込んでいきます。
施工直後のシーリングは柔らかく、ヘラで表面を整えながら、しっかりと奥まで充填します。
時間の経過とともに徐々に硬化し、ゴムのような弾力を持った防水層へと変化。
この弾性によって、外壁の伸縮や気温変化にも柔軟に追従し、雨水の侵入をしっかり防ぐ仕上がりとなります💧✨

欠けてしまった箇所には、モルタルとパテを用いて形状を整える「形成補修」を行います。
単に埋めるだけではなく、周囲の外壁ラインや質感に合わせて丁寧に成形し、補修跡が目立たない自然な仕上がりを目指します✨

施工の際は、補修材の密着性と耐久性を高めるために、プライマー「MP1000」を下塗りとして使用。
このプライマーが下地と補修材の間をしっかりと接着し、長期間剥がれにくい補修層を作り出します。

外壁の下塗りには、エポパワーシーラーを使用しました。
エポパワーシーラーは下地との密着性が非常に高く、劣化した外壁でも塗料がしっかりと食いつくため、長期的な耐久性を確保できます💪

また、今回の現場では、劣化の進行度に差があったため、部分的にホワイトフィーラーも併用しました。
ホワイトフィーラーは、凹凸や細かなひび割れを埋め、表面を滑らかに整える役割があります。

このように、外壁の状態を見極めながら、

• 密着力を重視する箇所にはエポパワーシーラー

• 下地の荒れが目立つ箇所にはホワイトフィーラー
  といったように、部位ごとに最適な塗料を使い分けて施工しています。

下地処理と下塗りの工程を丁寧に行うことで、中塗り・上塗りの仕上がりや耐久性が大きく変わります。
見えない部分ほど丁寧に――それが、美しい外壁を長持ちさせる秘訣です🏠✨

下塗りで下地をしっかり整えたあとは、上塗り工程に移ります。
上塗りは、外観を美しく仕上げるだけでなく、外壁を紫外線や雨風から守る最終の保護膜となる大切な工程です☀️💧

今回は、上塗りを2回施工して仕上げました。
1回目の塗装で塗膜を均一にし、2回目で厚みを持たせることで、ムラのないツヤと高い耐候性を実現しています。
塗料がしっかりと重なり合うことで、色の深みや光沢が増し、より長持ちする塗膜が形成されます✨

外壁の仕上げには、アステックペイント社の「シリコンREVO」を採用しました。
シリコンREVOは、耐候性・防汚性・遮熱性に優れたハイグレードシリコン塗料で、紫外線や雨風に強く、長期間にわたって外壁の美しさをキープしてくれます☀️💧

塗膜が柔軟で割れにくく、チョーキング（白化）現象を起こしにくいのも特長のひとつ。
耐久年数の目安は約15〜18年とされており、コストパフォーマンスと美観の両立ができる人気塗料です✨