更新日：2023年05月05日

アスファルトシングルの基礎知識

アスファルトシングルとは？

　アスファルトシングルとは、ガラス繊維にコンクリートをしみ込ませたシートの表面に石粒が吹き付けてある屋根材です。日本ではあまりメジャーな屋根材ではありませんが、北米では100年以上前から使用されており、定番の屋根材として親しまれています。耐久性・防水性・断熱性が高く、加工性に優れているため複雑な形状の屋根に適しています。

アスファルトシングルの主な特徴

　アスファルトシングルには、以下のような特徴があります。

・防水性・遮音性の高さ
　素材であるガラス繊維とアスファルトが高い耐水性能をもたらし、雨漏りしにくい屋根材です。
　また、屋根材表面に吹き付けられた石粒が雨音を吸収するため、遮音性にも優れています。

・素材の柔らかさ
　薄いシート状の屋根材であるアスファルトシングルは、硬いスレートや瓦の様にひび割れたりせず、金属屋根材の様に錆びることもありません。
　一方で、強風に弱いといった弱点もあります。経年によって接着力が弱まると、強風で屋根材が剥がれてしまうこともあります。

・意匠性の高さ
　アスファルトシングルは他の屋根材に比べてデザインが豊富で、意匠性の高さも特徴です。表面に吹き付けられた石粒を着色することで屋根の色を変えられるため、デザイン性が高く、お洒落な屋根にしたい方にはおすすめです。

アスファルトシングルのメンテナンス方法

アスファルトシングルの劣化症状

・苔や藻の繁殖
　アスファルトシングルは、石粒によって表面に凹凸があるため雨水が滞留しやすくなり、苔や藻が繁殖しやすいといった特徴があります。デザイン性の高さに魅力を感じてアスファルトシングルを採用された場合、苔や藻の繁殖により、せっかくの外観を損なってしまいます。また、屋根材の傷みにもつながるため、苔や藻の繁殖を発見したらなるべく早くメンテナンスされることをおすすめします。

・石粒の剥落
　経年劣化によって表面の石粒が落ちていきます。石粒が少なくなると下地であるガラス繊維シートがむき出しになってしまう場合もあり、防水性が低下します。
　石粒の剥離を防ぐため、屋根塗装によって保護することが可能ですので、表面の凹凸が少なくなってきたと感じる場合には、塗装工事を検討してください。

・屋根材の剥がれ
　アスファルトシングルの弱点である屋根材の剥がれには最も注意が必要です。屋根材が剥がれてしまえば、屋根下地である防水紙が露出してしまう場合もあり、雨漏りの原因につながります。

アスファルトシングルの補修

　苔や藻の繁殖、石粒の剥落といった症状の場合には、屋根塗装工事が有効です。屋根塗装工事によって屋根材表面を保護することで、石粒の剥落を防ぎ、防水性能を復活されることができます。ただし、石粒の剥落が著しい場合には屋根材自体を取り換えなくてはならない場合もあります。

　屋根材の剥がれといった症状の場合には、部分的にアスファルトシングルを貼り直すことが可能です。屋根下地に傷みが見られる場合には葺き替え工事やカバー工事をご提案する場合もあります。

アスファルトシングル施工時の注意点

実績のない業者に依頼しない

　冒頭でも述べましたが、アスファルトシングルは日本国内ではあまりメジャーな屋根材ではありません。そのため、屋根業者の中にはアスファルトシングルの施工実績が無かったり、正しい施工方法を知らない業者もいます。正しい手順で施工されなかった場合、耐用年数を待たずに屋根材が傷んでしまったり、雨漏りが起こったりしてしまいます。
　アスファルトシングルを検討されている方は、必ず工事前に業者に施工実績があるか、知識を持っているかどうかを確認しましょう。

気候条件の考慮

　アスファルトシングルを検討される際は、必ずお住まいの地域の気候条件を確認しましょう。冒頭で述べたように、アスファルトシングルは強風に弱いといった弱点がありますので、お住まいの地域が強風地域であったり、台風が多い地域の場合には、アスファルトシングルの経年劣化が早まってしまう可能性があります。場合によっては、他の屋根材を検討されることをおすすめします。

まとめ

　アスファルトシングルは耐久性、防水性、美観性などの優れた特性を持つ屋根材です。特にデザイン性・意匠性の高さから人気が高まっていますが、日本国内ではまだまだシェアの少ない屋根材です。屋根業者とはいえ、アスファルトシングルを施工したことがない、アスファルトシングルについてよく知らない業者も存在します。

　アスファルトシングルを検討される際は、屋根材の特徴を理解した上で、正しく施工してくれる業者を選定しましょう。