1.現地調査

築30年のお宅です。

屋根の劣化、外壁のひび割れと汚れが気になってきたので、点検と見積もりをお願いしたいとのご相談をいただきました。

高所カメラを使って、屋根を確認していきます。

色あせがかなり進んでいるのがわかります。
屋根材に施されている塗膜が、紫外線で剥がれ防水性がなくなってしまっている状態です。

水はけも悪くなっているので、苔も広域に繁殖しています。

棟板金も錆びてしまっています。

続いてモルタルの外壁を見ていきます。

モルタルは凹凸が特徴ですが、防水機能が失われてしまうと汚れが入り込んでしまいます。

汚れは美観を損なうだけでなく、劣化を早めていく原因です。

窓枠周辺は、負荷がかかりやすくクラック（ひび割れ）が入りやすい場所です。
放置していると、雨が侵入してしまうことになります。

黒いシミは雨染みです。

チョーキングも確認できました。

これは塗料に含まれている顔料が、劣化し粉化して表面に浮き出てきている状態です。
塗り替えの時期が来ているサインです。

雨樋も紫外線を受け色あせて劣化が進むと柔軟性がなくなり、欠けたり割れやすくなります。
軽度の劣化であれば、塗装することで防水性を回復することができます。

破損が大きいときは部分交換などが必要です。

留め具もさびて、劣化が進んでいます。

庇です。

こちらも塗装での防水強化が必要な状態になっています。
このままだと、台風などでの雨の侵入が心配です。

ベランダのスチール部分もさびが広がっています。

サビは徐々に広がり、やがてその部分が腐食するとボロボロと崩れていきます。
少しでも早く、さびを進行させないことが大事です。

2.高圧洗浄

塗装前の準備として、まずは高圧洗浄で建物の汚れをきれいにしていきます。

モルタルの外壁に付着していた汚れも、キレイ落ちていくのがわかりますね。

業者専用の高圧洗浄は、水圧が強いので頑固な汚れも落とせます。
しかし、傷んで脆くなった場所には注意が必要で、水圧の調整をおこなわないと割れたり、ひびが入ってしまうこともあります。

経験豊富な業者選びが必要ですね。

建物全体の洗浄が終わると、もともとの色が復活して驚かれることもあります。

汚れは美観を損なうだけでなく、劣化の原因にもなります。

この汚れを洗浄でどれだけ落とせるかで、塗装の仕上がりが大きく変わります。
汚れの上からでは、塗装は密着せずに剥がれてしまうからです。

3.屋根カバー工事

まずは、さびが付着していた棟板金を取り外します。

平らな状態になったところへ、ルーフィングと呼ばれる防水シートを軒先から貼っていきます。

防水シートはたくさんの種類があります。
どんなものが使用されるのかは、見積書で確認できます。

屋根を設置すれば、見えなくなる場所ですが屋根から回った雨水を屋内へ侵入させないために遮断してくれるのが、防水シートの役割ですから高品質で耐久性の高いものを取り入れることが大事です。

屋根カバーは既存の屋根を撤去せず、その上から新しい屋根を設置していく工事です。
屋根を重ねるので「重ね葺き」ともいわれています。

屋根を撤去しないので解体の必要がなく、廃材も出ないため解体費と廃材処理費の両方がかからず経済的です。

また、工期も短くすむので工事中のストレスも軽減できます。

今回はデグラ社のセネターを使用しています。

驚くほどの軽さで、瓦屋根の1/9の重さしかありません。

屋根を重ねるため重量が気になるところですが、セネターなら建物への負担も最小限ですみ耐震性にも効果があることから、人気の屋根材です。

天然チップとガルバリウム鋼板でできているので、ザラザラした質感が特徴です。
このザラザラが雨音を吸収するので、雨の日も静かに過ごせます。

色あせの心配がないので、塗り替えがいらないのも最大のメリットです。

4.外壁塗装

モルタルの外壁を塗装していきます。

まず、水性の下塗り材を均一に塗布していきます。

下地が傷んでいると過度に塗料を吸収してしまうことがあります。
色がムラになる原因にもなるためそれを防ぎ、上塗り塗料がしっかり密着できるように下地を整える役目があります。

中塗り、上塗りに使用していくのは、シリコン塗料です。

シリコン塗料の特徴は

・脆弱な外壁にもしっかり密着して、建物を長く保護します
・かびや苔を寄せ付けない、防かび、防苔機能
・窓枠などに多い雨染みができにくく、美観が続く
・弱溶剤のため臭気の心配がありません。
・「無鉛」なので環境に優しい

5.付帯部塗装

付帯部塗装です。

庇の塗装の様子です。

雨漏りの多くは、庇と外壁の取り合いから発生します。

外壁から侵入した雨水は、時間をかけて進み腐食していきますが、外側からは見つけづらいのが難点です。

破風の塗装です。

破風とは、切り妻屋根の側面で山型になっている場所です。

屋根の弱点である横や下から吹き上げる風から、屋根が吹き飛ばされないように守っているのが、破風の役割です。
屋根と同じように紫外線を受け続けるので、傷みが進みます。

塗装の剥がれは劣化のサインです。
屋根や外壁の塗装の際には、雨漏り予防のための塗装が大事です。

軒天の塗装が終わりました。

軒天は直接雨は当たりませんが、湿気が溜まりやすいので塗装での防水を強化しておきたい場所です。

金属製の雨戸や換気フードは、サビが発生しやすい場所です。

徐々に腐食へと進みます。

小さな場所のためそこまで塗装しなくても良いのではと思いがちですが、外壁や屋根が塗装でキレイになると、塗装を行わなかった場所が悪目立ちしてしまうことがあります。

また、後日に塗装が必要になったときは、再度足場の設置が必要となってしまいます。
足場設置を最大限に利用して、付帯部の防水も強化しておくことがお得です。

6.ベランダ防水工事

ベランダ防水工事の様子です。

スチール製の笠木をケレンでさびを落とし、塗装の剥がれを取り除いていきます。
この下準備を丁寧におこなうことで、塗装が密着して剥がれにくくなります。

下塗り、中塗り、上塗りの順に塗装していきます。

ベランダの柵もケレンをおこない、塗装していきます。

外壁の色に合わせ、キレイに仕上がりました。

ベランダ床の防水工事の様子です。

まずは、下地を整える専用のプライマーを塗布していきます。
均一に塗っていくことで、上塗りがしっかり密着することができます。

中塗りと上塗りに使用するのは、オートンウレアックスHGです。

わずか5時間以上で硬化し強靭な塗膜が出来上がり、耐久性が長いことで好評の防水塗料です。
耐用年数は15年と耐候性にも優れているので、歩き回るベランダでもその効果は薄れません。

ベランダのメンテナンスをお考えの方は、ぜひご検討ください。

7.施工完了

スレート屋根が色あせて、劣化がかなり進んでいたこととモルタル外壁の汚れが目立ってきたことを気にされてのご相談でした。

施工後、屋根はセネターでの屋根カバーで落ち着いた趣に仕上がり、もう台風や豪雨でも雨漏りの心配もなく安心です。
モルタルの外壁も真っ白なシリコン塗料で仕上げ、汚れを寄せ付けず美観を長く保つことができます。

今回は、屋根はセネターでの屋根カバー工事、外壁はシリコン塗料、付帯部塗装、ベランダ柵の補修と塗装、ベランダ床はオートンウレアックスHGによる防水工事の施工をおこないました。

総工費約180万円、施工期間は約3週間でした。

お住まいは建てたら終わりではありません。

計画的リフォームで住まいの寿命は延ばしましょう。

ご自宅でゆっくり安心してご相談ができます。