雨漏りでお困りだったセメント瓦屋根の今治市O様邸。
前回のブログで屋根の解体撤去の様子と雨漏りの原因の一部を紹介しました。
→前回のブログはこちら『今治市O様邸　セメント瓦屋根の葺き替えと雨漏りの原因』

こちらのブログでは前回のブログで書ききれなかった雨漏りの原因『捨て谷の重要性』と台風・地震に強い屋根にするための引っ掛桟工法のための桟木打ちの様子をご紹介します。

捨て谷で壁際の雨漏り予防

まずは前回からの続きで今治市O様邸の雨漏り原因の一つについて紹介します。

Ｏ様のお話で「雨と一緒に強い風が葺くときに雨漏りを起こす箇所がある」との事でしたが、それが左(上)の写真の場所です。
セメント瓦に降った雨水が強い風で壁の方に押されて雨漏りを起こしていました。
実はこの屋根と壁の境目はセメント瓦だけに限らず、ある程度古いお宅では頻出する雨漏り箇所なんです。
それもそのはず！現在ではほとんど考えられませんが、『捨て谷』を入れていないって事が良くあったんです。

「そもそも捨て谷ってなに？」と疑問に思われる方多いと思いますが、捨て谷とは壁際などに侵入した水を屋外に排水するための設備なんです。
工事後は屋根材(瓦)の下に隠れて見えなくなることから『捨て』なんて言葉が付きますが非常に大切な部位で、実際に施工したのが右（下）の写真です。
強風で瓦上から押された雨水も、この捨て谷で止まり屋外に排出されます。これで安心ですね。

瓦が入らないところは板金で排水！

こちらは板金で雨仕舞をしているところです。
雨仕舞とは「雨水を適切に排水して屋内に浸水（雨漏り）させないようにする」事です。
今治市O様邸では隣の屋根と今回の葺き替え工事をする屋根が非常に近いため、一部瓦が入らない所が出てきてしまいます。その部分の雨水を上手く排水するために板金で雨仕舞をしました。
もちろん板金の下には防水紙(ルーフィング)が敷いています。
これで瓦が葺けない所も安心です！

新しい瓦屋根は引っ掛け桟工法で全数留め付け。強風、地震でもヘッチャラです！

捨て谷の施工が終わったら次の工程で桟木というものを打ち付けます(写真右)。

今回の葺き替え工事では、耐久性が高く明るい銀色の肌が美しい『淡路産いぶし瓦』を使用します。
阪神淡路大震災以降、「重い、ズレる、落ちる、飛ぶ、、、」などの災害に弱いイメージがついてしまった瓦ですが本当にそうなんでしょうか？
確かに他の屋根材に比べると重さでは敵いません。
しかし適切な施工をしてあげればズレたり飛んだりなんてことはありません。
それ以上に他の屋根材にはない耐久性を発揮してくれる優れた屋根材なんです。

その適切な施工というのが今回の『引っ掛桟工法』です。
『引っ掛桟工法』とは左(上)の写真ので分かる働き長さの間隔で防腐処理を施した桟木という木を事前に打ち付けて(写真右)、その桟木に瓦を引っ掛けて1枚1枚釘やビスで固定する方法です。
この『引っ掛桟工法』より前は『土葺き工法』といって練った土の上に瓦を並べて、所々針金で固定するといったものでした。
震災で被害が出る多くはこの『土葺き工法』のもので『引っ掛桟工法』で被害を受けるものもありますが全ての瓦が固定されていないものであるのが大半です。
街の屋根やさんでは、しっかりとした施工で災害に強い屋根を作ります。

棟の強化金具で耐震棟に！

桟木が打てたら棟(屋根の頂上部)の強化金具も設置しておきます(写真左)。
詳しくは棟を施工する際にまたご説明しますが、地震の被害を受けやすい屋根の頂上部にある棟を崩れないように強化するための金具です(写真右)。

これで事前の準備は完了！次回から主役の瓦の登場です。

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