更新日：2021年10月30日

　10月7日に千葉県北西部で少し大きめの地震が発生し、久々に恐怖を感じられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。地震が発生するたびに、実家の屋根は大丈夫かな、建物はだいじょうぶかな・・と心配になります。私は、街の屋根やさんで働くようになり瓦屋根は、メンテナンスが必要で、瓦自体は長寿命でも「漆喰や防水紙は定期的なメンテナンスが必要」ということも知りました。今回は、棟部分に使われている漆喰のメンテナンス方法である乾式工法について簡単に解説します。  

乾式工法（かんしきこうほう）

　 　瓦屋根の軽量化工法として、棟の乾式工法があります。瓦屋根の建物は、大きな地震や台風が発生するたびに、棟瓦がズレたり、崩れるなどの被害が発生しています。そのような背景があり、棟瓦もガイドライン工法が定められました。棟瓦の工事仕様である「乾式工法」では、漆喰（しっくい）を使用せず「乾式面戸（かんしきめんど）シート」というビニールやアルミ製のシートを用います。アルミシートと透湿シートの複合体となっており、とても軽量です。シートは細かい波のような形状で伸縮性があり、瓦の凹凸に馴染むようになっています。これにより漆喰のメンテナンスが不要となります。また、熨斗瓦（のし瓦）が数段ある棟（むね）は、熨斗瓦を無くし乾式工法を行うことで、棟瓦の軽量化も図れます。

乾式面戸（かんしきめんど）の内部

　乾式面戸（かんしきめんど）シートの内部には「棟補強金具」に取り付けられた「芯木（垂木）」があります。棟補強金具は屋根の下葺き材の野地板に設置しています。このあと、芯木（垂木の）を乾式面戸（かんしきめんど）シートですっぽり覆います。その上に冠瓦（丸瓦）を載せて固定します。その際、内部の芯木（垂木）にパッキン付きのビスで留め付けます。

湿式工法（しっしきこうほう）

　 　棟部には、現在でも湿式工法が多く施工されています。昔は、葺き土（ふきつち）と、漆喰（しっくい）を使用していました。漆喰は、棟等の台土へ雨水浸入防止の役割や、葺き土が見えないように覆い隠すよう塗られています。この漆喰を「面戸漆喰（めんどしっくい）」といいます。この面戸漆喰（めんどしっくい）が剥がれ、葺き土が流れ出てしまうと棟瓦のズレに繋がります。近年は、葺き土と漆喰の役割を兼ね備えた「南蛮漆喰（なんばんしっくい）」を使用しています。軽量な種類もありますので、昔に比べると湿式工法でもだいぶ軽量化が可能です。瓦屋根は、もともと建物強度が高く設計されていますが、少しでも軽量化されたいというご要望も多いです。 　私たち街の屋根やさんでは、お客様のご要望も踏まえ、現状で最適なご提案をいたします。まずは、何でもご相談ください。