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スレート(コロニアル)」材は、スレート以外に「コロニアル(商品名)」や「カラーベスト(ブランド名)」などで呼ばれています。今回は、旧松下電工(現:パナソニック)製のスレート材「フルベスト20」と「フルベスト24」についてについて簡単にご紹介します。
フルベストとはスレート材
「フルベスト」には、「フルベスト16(S46~S53) 」・「フルベスト20(S63~H15)」・「フルベスト24(S62~H11)」という種類があります。いずれもアスベスト含有の屋根材となり、現在は廃盤の商品です。
写真の屋根は、棟板金と周りの屋根材が一部剥がれてしまったため、健康被害についてご心配されていました。アスベストの健康被害は、アスベストを粉砕して飛散したものを吸い込むことで影響が出ます。屋根に使われているだけであれば心配はありません。
コロニアルとの区別が難しい
「スレート」材といえば、薄型化粧スレート瓦で、既存の住宅屋根に多く使われています。写真は「ニューフルベスト24」で、屋根を見ただけでは、コロニアルとの見分けが難しいです。そして、一般的にこのような形状の屋根材を「スレート」または「コロニアル(カラーべスト)」と総称して呼ばれることが多いです。
そのため「コロニアルが1枚だけ割れたのでその部分だけ交換して欲しい」というようなお問合せをいただいた際、「部分差し替えが可能」ということを安易にご案内することができません。
「フルベスト24」の屋根が破損などで修理が必要になった場合、現在の薄型化粧スレートとは寸法や形状が全く異なるため、ほかの商品を代用することは出来ません。もし「フルベスト20」であった場合は、現在のコロニアルと寸法的にほぼ同じなので、代用できる場合があります。
昔は、瓦屋根の場合、予備の瓦を手元に残しておかれることがありましたが、スレート屋根材の予備をあらかじめ準備されていらっしゃる方は少ないのではないかと思います。わずかでも在庫をストックされている業者さんがいらっしゃるかもしれませんが、調達はなかなか難しいと思われます。
<参考>
●「コロニアル」の働き幅:910㎜、働き長さ:182㎜
●「フルベスト20」の働き幅:909㎜、働き長さ:182㎜
●「フルベスト24」の働き幅:606㎜、働き長さ:227㎜
フルベストのメンテナンス方法
アスベストを含んでる屋根材は丈夫で長持ちですが、 フルベストのメンテナンスが必要になった場合は「
屋根カバー工事」がおすすめです。フルベスト屋根材の上に、新しい
防水紙(固定のためのタッカー不要な粘着シートタイプがおすすめ)を敷き、新しい屋根材(金属屋根がおすすめ)を設置します。
雨漏りや、
屋根材・
野地板に
問題があり、
カバー工法がおすすめできない場合は「
屋根の葺き替え」となります。屋根の葺き替えでは、カバー工法では出来ない「
野地板」の手入れをできることが
メリットです。
デメリットは、アスベスト含有屋根材のため、
通常より「撤去・処分費用」は高くなります。