更新日:2023年02月16日
屋根材には様々な種類がありますが、現在最も普及しているのは「スレート屋根」です。私達、街の屋根やさんでも、既存屋根材が「スレート」というお客様からのお問い合わせを多くいただいております。これは、単に普及率が高いだけでなく、定期的なメンテンナンスが必要な屋根材でもあるということが言えます。今回は、スレート屋根とメンテナンス方法についてサクッとご説明します。
そもそもスレートとは?
「スレート」とは「粘板岩(ねんばんがん)」という石のことです。
「粘板岩(ねんばんがん)」とは 「堆積岩(たいせきがん)」が温度や圧力の上昇による変成作用を受けてできた岩石で、薄く板状に剥がれやすい性質があります。
※「堆積岩(たいせきがん)」とは、砂や泥、火山灰などが、それはそれは長いあいだ(何万年などのレベル)堆積したことによりできた岩石です。
屋根材としてのスレートとは?特徴は?
◆スレートは大きく分けて「天然スレート」と「化粧スレート」の2種類があります。
<天然スレート>
「粘板岩(ねんばんがん)」を薄く加工して屋根材にしたものです。高級感があり、耐久性が高く、着色されておらず色褪せしません。天然の岩を使用するため高価で、しかも重量もあるため一般の住宅ではあまり使われません。海外ではお城や寺院などに使われていることが多く、日本では、2012年に保存・復原工事が完成した「東京駅丸の内駅舎」に使用されています。丸の内駅舎の保存・復原には、可能な限り創建当時と同じ材料や工法が採用されたそうです。
<化粧スレート>
セメントを主成分に繊維質材料を混ぜ込んで成型したものです。化粧スレートは人造スレートのため、品質が安定していて作業性も高く、「瓦(陶器瓦)」に比べ、軽量なうえ安価で、費用も抑えられることから大流行しました。これをきっかけにスレートと言えば、「化粧スレート(人工のもの)」を指すようになりました。製品名の「カラーベスト」や「コロニアル」とも呼ばれることがあります。
スレート屋根材(化粧スレート)のメリット・デメリット
<メリット>
①軽量:化粧スレートは、厚さ5~6mmと薄く、瓦(陶器瓦)の約半分の重量で、建物への負担が少なく耐震性に優れてる。
②安価:瓦(陶器瓦)に比べ、価格が安いため、新築時だけでなくメンテナンス時にも費用が抑えられる。
③施工しやすい:屋根材として普及率も高く、施行できる業者が多い。メンテナンスで部分差し替えも可能。
④色・デザインが豊富:平板や波型があり、カラーバリエーションが豊富で外壁の色に合わせやすい。
<デメリット>
①ヒビ割れしやすい:厚さ5~6mmと薄いため、ほかの屋根材に比べ衝撃に弱く、台風での飛来物や雹(ひょう)による破損が発生しやすい。
②コケやカビの発生:雨風や紫外線などの影響によって変色やコケが発生する。
③塗膜剥がれ:経年により、屋根材の表面の塗装が徐々に剥がれ防水性がなくなる。放っておくと雨漏りの原因になる。
メンテナンス
スレート(カラーベスト/コロニアル)の耐用年数は25年前後と言われています。メンテナンスをしない状態で何事もなく25年~30年を迎えることは難しいでしょう。大型の台風が発生したり、何があるかわかりません。まずは、小さな補修でもその都度行うなど、メンテナンスサインを見逃さないことが大切です。
◆スレート屋根の耐用年数を25年前後として考えた場合
・新築~10年未満:ヒビ割れ等の修繕
施工会社等の定期点検で、ヒビ割れがあればコーキング処理で修繕か部分差し替えをしてもらいましょう。私達、街の屋根やさんでも対応しておりますので、是非ご相談ください。
・新築~10年前後:屋根塗装
美観だけでなく、屋根の耐久性を維持させるため塗装によるメンテナンスがおすすめです。築10年前後でメンテナンスしておけば、次の10年間まで安心して過ごせます。そのためにも、次回メンテナンスまでの期間を考慮すると耐用年数の長い塗料を使用したり、併せて「棟板金交換」を行うことで、次のメンテナンスを15年後などに延ばすことも可能です。
・新築~25年前後(前回メンテナンスから10年経過):屋根塗装/屋根カバー工法/屋根葺き替え
屋根の耐久性を維持させるためには、10年ごとに塗装することが望ましいですが、屋根の下地となっている「防水紙」の寿命も近づいています。防水紙は屋根材の下にあるため、屋根材を剥がさないと交換できません。「防水紙」は建物内部への雨水浸入を防いでくれる重要な役割をしています。「防水紙」の耐用年数はおおよそ20年といわれています(いずれも種類や環境により異なります)。このことから、スレート屋根が新築から20年以上経過している場合は、屋根の下地部分も併せて交換するようなメンテナンスが必要ということになります。
◆メンテナンスの種類
・ヒビ割れ補修/破損箇所の部分差し替え
特に雨漏りもなく、そのほかの点検で早急な対処が必要と判断されない場合や、今後長く住まわれないなどお客様のライフプランにより部分補修も可能です。
・「屋根塗装」で美観/屋根の耐久性の維持
スレート屋根は、表面が塗装されています。屋根が色あせているようであれば、塗装が傷んでいるということになります。塗膜が剥がれてしまうと防水性が低下し、雨水を吸収しやすくなります。そのためカビや苔が発生しやすくなります。また、以前のメンテナンスで塗装した際に、塗料によって屋根材と屋根材の重なり部分の隙間が塞がれてしまったり、隙間が狭すぎることで雨水を吸い上げてしまう「毛細管現象」が発生することがあります。屋根材と屋根材の間にヘラを押し込み引き抜くと、中に溜まっていた水分が一緒に流れてきます。この状態のまま放置した場合、さらに水はけが悪くなり雨漏りを引き起こす原因となります。
・屋根塗装と併せて「棟板金交換」のススメ
屋根塗装には足場が必要です。築10年以上が経過して屋根塗装をされるのであれば、併せて棟板金交換も行われることをおススメします。「棟板金」は、屋根材と屋根材が合わさる部分を覆っている板金です。この部分は、経年により釘浮きや接合部分の亀裂が発生した場合、雨漏りにつながる可能性が高いです。また、棟板金の下地に使われている「貫板(ぬきいた)」の多くは木材が使われていることが多く、水分を含み腐食や割れなどを起こしている可能性もあります。そのため、屋根だけ塗装しても、数年でまた足場を組んで棟板金交換をしなくてはならなくなります。
・「屋根カバー工法」
既存の屋根材の上に新しい屋根材をかぶせる工法です。重ね葺きとも呼ばれます。
既存の屋根はそのままなので、棟板金の撤去以外は解体工事がほぼ不要です。それにより廃材費用もおさえられ、工期も短く、工事中の生活への支障も最小限で済むというメリットがあります。また、2004年以前に施工された建築物の建材にはアスベストを含んだものがあります。アスベストを含む建材は環境負荷が高いために解体も難しく、廃材処理費も含めると高額になります。そのため、廃材がほぼ出ないカバー工法によるメンテナンスは最適といえます。
・「屋根葺き替え」
既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材を設置する方法です。屋根塗装や棟板金などのメンテナンスでは行えなかった下地部分の補修もできます。下地部分とは「防水紙」とその下の「野地板(のじいた)」などです。
既存のスレートを撤去したところ、防水紙は経年等でボロボロな状態でした。清掃・野地板等の補修を行ったあと、新しい防水紙を敷きます。その上から新しい屋根材を設置します。写真は、スレートから金属屋根に葺き替えです。
まとめ
スレート屋根の主なメンテナンスには「補修」「塗装」「カバー工法」「葺き替え」といった種類があります。スレート屋根材の耐用年数は25年前後といわれています。まずは、耐用年数に合ったメンテナンスが大切です。ご自身で目視で確認できる範囲で、日ごろからチェックされることもおすすめです。メンテナンスサインをいち早く見つけて対処することが大切です。
記事内に記載されている金額は2023年02月16日時点での費用となります。
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