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岸和田市の台風で落下したケラバの袖瓦と棟の修復で瓦をビスで固定
更新日:2025年9月25日
岸和田市の台風で雨漏りした瓦屋根の修理です。S様邸は木造の2階建てで屋根は土葺き、青い釉薬瓦を葺いています。台風で屋根の瓦が落下したり割れるなどの被害を受け、部屋内に雨漏りしてしまいました。遠方に住まわれていた娘さんにご依頼を受けて屋根をブルーシートで応急処置させていただき、その後、ご実家に戻ることになったので本格的に屋根を修理してほし、とのご相談がありました。今回は、屋根のケラバの修理の様子をご紹介します。ケラバとは、屋根の雨樋が付いていない端部分(三角になった面)のことで、そこに葺かれている袖瓦がほとんど落下している状態です。
雨漏りしている部屋内の様子です。
ここは下屋の下にある和室で、下屋の瓦が割れたことで天井に雨漏りしていました。
雨漏りしてから応急処置もできない状態が続き、カビも発生し、大変お困りでした。
2階の部屋でも雨漏りしていました。
古くなってきていた天井板が雨水で濡れて、表面が剥がれてきている状態です。
屋根の被害状況です。
大屋根(一番高い屋根)の袖瓦が強風に飛ばされてほとんどが落下してしまいました。
この部分は屋根の端ですのですぐに部屋内に雨漏りすることはありませんが、葺き土が流れて周囲の瓦のバランスが崩れる危険性があります。
同じく大屋根の棟瓦も一部崩れて飛散していました。
棟は屋根の頂点部で屋根面同士の取り合いになるため、瓦を積み上げて雨仕舞しています。瓦の下には隙間があり、そこから雨水が浸入すると雨漏りの原因になることがあります。
この記事では袖瓦と棟の修復の様子を分かりやすくお伝えします。
袖瓦はケラバと言う屋根の一番端に施工されている瓦です。そのため、屋根の上から作業するとなると危険が伴いますし、作業性が悪く良い状態で仕上げることができません。
職人の安全を確保し、作業性を高めるために被害箇所の全面に足場を設置しました。
この記事でご紹介する工事範囲です。
屋根の端のケラバと、棟の一部を修復します。
応急処置させていただいたブルーシートと土のうを撤去して作業を行います。
ケラバには数枚の袖瓦が残っていましたが、動いていたのでめくって固定しなおします。
ほとんどの瓦が落下して割れてしまったので、新しい釉薬瓦をご用意しました。
釉薬瓦とは瓦の表面に釉薬という「うわ薬」をかけて焼いた瓦のことです。釉薬により様々な色を付けることができ、洋風の釉薬瓦もあります。
被害箇所を修復する前に、周囲の瓦のズレを戻します。
土葺きの屋根は粘り気のある土により瓦を固定していますが、経年で土が乾燥して痩せてくると瓦の固定力が低下してズレやすくなります。瓦がズレると隙間が生じ、雨漏りの原因になる可能性がありますし、隙間に強風が吹き込むと瓦がめくれ上がってしまいます。
被害箇所の修復です。
葺き土を足し、軒先から順番に瓦をのせて密着させて固定していきます。
土が乾燥し、痩せている状態で瓦をのせると「カタカタ」と動いて安定が悪く、きちんと固定できません。
被害に遭ったケラバ部分は前面道路に面していますので、下からよく見えます。瓦の端が揃っていないと、見上げた時に雑な仕上がりに映ってしまいますので、長い木材をあてて揃っているか確認しながら瓦を固定していきます。
袖瓦は屋根の一番端にあることから、風や地震の揺れを受けたとに飛散して落下する危険性があります。近年、勢力の強い台風が上陸しますし、いつ大地震がきてもおかしくありませんので、その時に被害を抑えるために1枚1枚ビス留めさせていただきました。軒先から棟まできちんと固定したので安心です。
反対側の袖瓦は軒先から真ん中あたりまでの瓦は飛散せずに残っていました。残っている瓦はズレが生じていなかったので、そのままの状態で上からビス留めして固定しました。
瓦は軒先から順に重ねていますので、葺いている瓦を固定する際は重なり代でビス留めできません。
この後、ビス頭から雨水が浸入しないように、シーリングを充填して防水しました。
少し色の濃い瓦が新しい瓦です。
一番上の袖瓦は棟の下になりますので、両側の袖瓦を復旧してから崩れた棟を修復しました。
重量のある鬼瓦は太い銅線を通してしっかりと固定させていただきました。
袖瓦は1枚1枚ビスで固定していますが、念のためシーリングを充填して瓦同士を繋いで補強させていただきました。
S様邸の屋根は全体的に傷んできていたので、屋根面の瓦も飛散しないようにシーリングを充填して固定しました。
袖瓦と棟部の修理完了です。被害箇所の修復はもちろん、大屋根全体の瓦をシーリングで固定したので瓦がバラバラに飛散するのを防止することができました。
S様邸は下屋の瓦も割れる被害がありました。
下屋の棟の、のし瓦が抜けています。
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