この記事では、「天井に染みができた」というお悩みをきっかけに行った現場調査と、そこから明らかになった屋根棟部の不具合、そして棟の積み直し工事の施工内容について、実際の現場写真とともにわかりやすくお伝えします。同じような雨漏りのお悩みをお持ちの方にとって、参考になる内容になっています。

■現地調査

現地に伺ってまず確認したのは、2階のお部屋の天井にできた雨染みです。色も濃くなっており、かなり前から水が侵入していたことがうかがえました。

次に屋根裏へ。染みの真上あたりの野地板に黒ずみが発生しており、雨水が長期間にわたり入り込んでいたことが判明しました。雨漏りの原因が屋根にあることは、ほぼ間違いない状況でした。

実際に屋根に登って調査したところ、瓦の材質はセメント瓦で、棟際の瓦と地瓦の間に大きなズレが見つかりました。さらに、棟瓦の内部を確認するために一部をばらしたところ、中のセメントが適切に詰められておらず、空洞になっている箇所がありました。これでは雨水が容易に侵入してしまいます。

■提案内容

お客様には、調査で撮影した写真をお見せしながら現状をご説明しました。

「棟の内部のセメントがしっかり詰められていないため、瓦がズレやすく、雨水が入りやすくなっていること」
「このまま放置すると、雨漏りが拡大し、屋根下地や構造材にまで影響が及ぶ可能性があること」

これらの点をお伝えし、棟の積み直し工事をご提案しました。
部分補修ではなく、一度棟を全てばらし、内部の補強と南蛮漆喰での再構築が必要な状態でした。お客様にも状況をご理解いただき、ご依頼をいただきました。

◆既存棟の解体作業

最初に、既存の棟瓦を慎重に解体しました。
実際に瓦をはずしてみると、セメントがボロボロと崩れ落ちるほど劣化しており、雨水の通り道がしっかりできてしまっている状態でした。

👉 補足：見た目ではわからなくても、内部のセメントが劣化していると、瓦がズレて雨漏りの原因になります。瓦屋根は定期的な点検が大切です。

◆既存棟内部のセメント解体と撤去

内部のセメントまですべて解体しました。
中のセメントはやはりかなり劣化しており、雨水を吸い込んだ跡や崩れかけた部分が多く見られました。

👉 注意点：古い棟内部のセメントの状態のままでは瓦がしっかり固定されず、地震や強風時にズレる危険性もあります。

◆棟内部の補強

解体後は清掃し棟の土台部分に棟金具をしっかり固定。そし後に腐朽しない合成樹脂材を取り付けました。

棟を補強し、雨漏りを防ぐ役割があります。強風や地震などの自然災害から屋根を守るために重要な役割を果たします

◆新たな南蛮漆喰の施工

棟の補強後には、防水性・接着力に優れた南蛮漆喰を使用。
水平・直線をしっかり確認しながら施工していきました。ここを丁寧にしないと、歪んだ棟になってしまいます。

👉 現場の工夫：南蛮漆喰を使うことで、通常のモルタルよりも長期間安定した防水効果を発揮できます。今回は気温や湿度を考慮し、硬化タイミングにも注意して施工を進めました。

◆棟瓦の積み直しと仕上げ

最後に、棟瓦を上にのせて、固定。見た目は同じに見えても機能はすっかり新しくなりました。
一見、ただ積み直すだけに見えますが、実は角度、重さ、バランス、全ての調整が必要な繊細な作業です。

👉 注意喚起：棟瓦の施工不良は「目に見えにくいリスク」です。10年〜20年経ってからのトラブルが非常に多いので、定期的な点検とメンテナンスをおすすめします。

最後に

今回は、「天井の染み」から始まった雨漏り調査が、棟瓦内部の不具合へとつながり、「棟の積み直し工事」で根本解決に至った事例でした。

棟瓦のズレや施工不良は、雨漏りだけでなく、建物全体の耐久性にも関わる大事な部分です。「最近ちょっとおかしいな」と感じたら、それは屋根からのサインかもしれません。

私たちは、屋根の点検・調査は無料で承っております。
お住まいのことで気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
“屋根のプロ”として、確かな目と手で対応いたします。