垂木とは？屋根構造を支える細長い木材

「垂木（たるき）とは」、屋根の勾配に沿って母屋（もや）から軒先に向かって設置される細長い木材のことです。

屋根の荷重を分散し、上に張られる野地板（のじいた）や屋根材をしっかり支える、非常に大切な構造部材です。

垂木は、構造の骨格である柱・梁・母屋などと連動しながら、屋根の形状と強度を保つ役割を担っています。

垂木の間隔は303mm～455mmピッチが一般的で、地域の風雪や台風条件によっても変わります。

垂木の役割とは？

屋根の下地を支えるだけでなく、垂木にはいくつかの重要な役割があります。

● 屋根荷重を柱や梁へ伝える：屋根材や積雪の重みを安全に分散します。

● 屋根勾配を形成する：設置の角度により屋根の傾きを決めます。

● 野地板や断熱材の施工ベースになる：その上に合板を貼り、ルーフィングや屋根材が施工されます。

一般的な木造住宅では、45mm×60mm〜45mm×75mm程度の角材が使われることが多いです。

垂木が見える屋根と軒天で覆われた屋根の違い

垂木は、屋根の裏側に露出している場合と、軒天（のきてん）と呼ばれる板で覆われている場合があります。

● 垂木が見えている屋根：和風住宅や木の質感を活かす意匠でよく見られます。

● 軒天で覆われている屋根：モダン住宅や防火・防虫性を考慮したデザインで多く採用されます。

垂木が見えている場合は、雨風・紫外線にさらされやすいため劣化リスクが高く、定期的な点検と塗装が必要です。

一方、軒天で覆うことで長期的な耐久性を確保しやすくなります。

垂木が傷む原因と雨漏りとの関係

垂木が傷む最大の要因は、雨漏りによる腐食やシロアリ被害です。

屋根や外壁の防水性が低下すると、水分が垂木へ浸透し、腐朽菌や害虫の温床となってしまいます。

特に、軒先や外部と接する小屋裏部分は湿気がこもりやすく、劣化しやすい場所です。

また、垂木が劣化すると、野地板のたわみや屋根材のずれ、雨漏りの原因となります。

雨漏りが発生すると、さらに垂木が傷み…という悪循環に陥ることも少なくありません。

傷んだ垂木は補強・交換で安全性を回復

傷んだ垂木は、そのままにしておくと建物の強度や耐久性に関わるため、早めの補修や交換が必要です。

状況によっては、以下のような対応が取られます。

● 金物や合板での補強

まとめ：垂木の健康状態が屋根全体の寿命を左右する

垂木は、屋根全体を支える重要な構造材です。

垂木がしっかりしていなければ、屋根材の寿命や雨漏りリスクにも大きく関わります。

気候変化の激しい地域では、雨風・紫外線への備えとして定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。

「垂木が見える軒先」と「軒天で覆われた屋根」の違いも考慮しながら、住まいの構造チェックを習慣化することが長寿命住宅への第一歩です。