更新日：2016年08月23日

先日小波スレート瓦の張替へのご依頼を受け、現地調査に参りました。今回は他の箇所の再調査です。今回のご依頼では下地も補修しなければならないと思います。木部は白化現象が始まっていました。木部の中心まで乾燥しており、中がスカスカの状態です。長年に渡り天日にさらされると、この様な現象が現れます。

片方の破風がもう無くなっていました。破風は屋根の先端部に付く大きな板の事です。破風が無くなると、糸をほぐした様に、屋根もバラバラになってしまいます。重要な部分です。

波板の特徴は安値で手間いらず、雨の音を遮り、耐用年数も高いことです。また、加工がしやすく、短期間での施工が可能等々ありますが、一番の利点は腐らないことです。劣化はするが朽ちることはありません、基本セメントですから。しかし、古くなると水分を吸収してしまい、ひび割れ等の要因になります。

釘の浮き沈みが多く見受けられます。海岸の目と鼻の先でして、塩害の影響を受けています。釘類は錆が出ており、いつ折れてもおかしくありません。この時代のスレートにはアスベストが入っており、50年ほど耐用年数があると言われていますが、見る限りでは寿命ギリギリのところまで来ていると思われます。反り返りも見受けられます。滅多に反り返りは起きないのですが、一度変形するとと元には戻りません。こうなると隙間が空き、漏水の要因になります。風により持ち上がり、いずれは剥がれしまうでしょう。工場や物置きによく使われていますが、一部取り換えで直しても、耐用年数が違う部分が増えていくので工事する回数も増えてしまいます。一回の工事金額は少なくて済むのですが、工事回数が増えますので最終的には高額になります。できれば一度に直してしまうのが一番ですが、こう言った建物は大きなことが多く、なかなか難しいのが現実です。お施主様としっかりと打ち合わせを重ね、方向性を定めた上でメンテナンスしていきたいと思います。