ジンカリウム鋼板は、塗装不要であり、軽量で耐久性が高い金属屋根材です。 近年注目のガルバリウム鋼板とほぼ同等で、自然石粒が表面に付着した金属屋根がジンカリウム鋼板として認知されています。
この記事では、ジンカリウム鋼板の特徴と、屋根材を選択する際のメリットやデメリットなど、有益な情報を皆様にご紹介します!
ジンカリウム鋼板とは?
トタンやブリキから入れ替わるように主流となりつつあるガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板ですが、「結局何が違うの?」と思われる方がほとんどでしょう。
比較したことのある方はご存じかと思いますが、ガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板の組成はアルミニウム:55%・亜鉛:43.4〜43.5%・シリコン:1.5〜1.6%とほとんど変わりません。
ではなぜ呼び方が違うのか?その答えは非常に単純、商標登録を行った会社が違うのです。ちなみに下記は一部で他にも数十社が別名やスペルを変え商標登録を行っています。
商標登録を行った会社で呼び方が異なる
Galvalume(ガルバリウム) |
1972年にアメリカのベスレヘム・スチール社が開発し、
BIECインターナショナル社が商標登録 |
Galvalume(ガルバリウム) |
1972年にアメリカのベスレヘム・スチール社が開発し、
BIECインターナショナル社が商標登録 |
Zincalume(ジンカリウム) |
オーストラリアのBlueScope社と
アメリカのSteelscope社が商標登録 |
Zincalume(ジンカリウム) |
オーストラリアのBlueScope社と
アメリカのSteelscope社が商標登録 |
ガルバリウム鋼板 |
日本製鉄が商標登録
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ガルバリウム鋼板 |
日本製鉄が商標登録
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ここまででわかる通りガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板に大きな違いはありませんし、今後別名で世に出ることも考えられますが、これらの鋼板に共通しているのは「アルミニウム:55%」の組成です。製品の品質・性能・安全性等を全国的に統一させるため設けられている日本産業規格(JIS規格)でも、JIS G3321(溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板)がガルバリウム鋼板と定められているのです。
では大きな違いとして紹介されている「ストーンチップ」「自然石粒付き鋼板」がジンカリウム鋼板なのか?という点ですが現状の認識として間違っていません。
実際にジンカリウム鋼板は表面に自然石粒を吹き付けた仕上がりになっているものしか見たことがありません。自然石粒付き鋼板がジンカリウム鋼板という認識なのでしょう。
ただ2013年にLIXILも天然石付き鋼板屋根材として「T・ルーフシリーズ」を販売していますが基材はガルバリウム鋼板です。人気番組「幸せ!ボンビーガール」の古民家リフォームで紹介されていたDECRA屋根システムの屋根材も、表面が石粒仕上げですが基材はガルバリウム鋼板です。
何度も言いますがガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板の違いは商標登録した会社ですので、ジンカリウム鋼板とガルバリウム鋼板は同じと考えて問題ありません。組成が同じである限り別名の鋼板が流入する可能性もあるということを頭の片隅にでも入れておきましょう。
代表的なジンカリウム鋼板屋根材
ジンカリウム鋼板を採用しているとして注目を浴びたのはディートレーディング社のディーズルーフィングです。自然石粒を吹き付け接着させたジンカリウム鋼板は40年前から開発され、北欧・熱帯地域問わず高い性能を発揮し、日本でも22年の確かな実績があります。
ディプロマット
エコグラーニ
ディプロマット
エコグラーニ
クラシックタイル
ローマン
クラシックタイル
ローマン
最もシンプルなディプロマット、表面がデコボコとしたエコグラーニ、細かく波打ったクラシックタイル、S瓦調のローマン等デザインもカラーも豊富なジンカリウム鋼板の魅力と注意点を一挙ご紹介いたします。基材本来の性能はガルバリウム鋼板とは変わりませんが、表面に自然石粒を吹き付けていることで少し特徴が変わります。
日々進化を続ける金属屋根材の中でも注目を浴びているジンカリウム鋼板ですが、金属屋根が持つメリット、そして自然石粒が吹き付けられたジンカリウム鋼板だからこそ得られるメリットが存在します。メリット・デメリットを併せてみていきましょう。
それでは、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
1.軽量
およそ0.39㎜と薄いながらも高い耐久性を誇るジンカリウム鋼板は1㎡あたり7㎏で仕上げることができます。1㎡あたり60㎏の瓦や20㎏の化粧スレートと比較すると一目瞭然!非常に軽いのです。
屋根を軽く仕上げるという事は地震時の揺れを最小限に抑えることができ、ひいては破損を受けにくい(耐震性が高い)建物となります。近年建物の軽量化が進んでいますので、今後軽量なジンカリウム鋼板の出番がさらに多くなることでしょう。
2. 高耐久
錆びにくい組成で出来ているジンカリウム鋼板の耐用年数は30~50年といわれていますが、その自信はディーズルーフィングの「基材30年保証」からもわかります。
またジンカリウム鋼板の施工として屋根材を一体化させる「インターロッキング工法」を採用しており、60m/sの暴風にも耐える性能を持っています。防火性・防水性にも高い期待が見込めます。
3. カラーバリエーション・デザインが充実
表面に吹き付ける石粒は釉薬瓦(陶器瓦)と同じ焼成方法で着色されています。陶器瓦というと割れることがあっても色褪せることはありません。そのため長期間にわたり綺麗な状態を維持しながら基材を保護します。また同系色を混ぜることで上品で立体感のある仕上がりになることも大きな特徴です。
4.塩害に強い
金属屋根材というとやはり塩害や経年劣化・傷による錆が不安視されます。もちろんガルバリウム鋼板然りジンカリウム鋼板は全く錆びないというわけではありません。しかし錆びにくい組成に加え、ジンカリウム鋼板は表面にセラミックコートを施した自然石粒を吹き付けることで海風と基材が接触しない仕上がりです。表面が露出するガルバリウム鋼板と比較しても塩害に強い、錆びにくい屋根材です。
5.メンテナンスコストが安い
表面に石粒が吹き付けられていることから塗装の必要がないといわれています。もちろん定期点検は必要ですが、10年に一度塗装が必要とされる化粧スレートや漆喰や棟補修が欠かせない瓦と比較すると長期的に考えたメンテナンスコストが非常に安いです。
6. 熱・音が伝わりにくい
非常に薄い金属屋根材だからこそ雨音が響きやすいと懸念されていますがジンカリウム鋼板の場合、表面に石粒を吹き付けていることで雨水が当たった際の振動を和らげ雨音が伝わりにくい仕様です。また熱伝導率も低く、屋根材と屋根下地の間にある空気層が熱を逃がすため、金属屋根材のデメリットである音・熱をしっかりカバーできます。
1. 導入コストが高い
高性能・高耐久のポイントでやはり屋根材自体の費用が若干高くなります。サイクルコストが低いため工事後はメリットばかりですが、施工費用等は相見積もりを行い検討していきましょう。
※表面吹き付け仕上げのジンカリウム鋼板は取り扱い方法も大切です。お見積りの際に施工方法や特徴をしっかり聞きジンカリウム鋼板に詳しい業者であるかもしっかり見極めましょう。
2. 断熱材が一体になっていない
ガルバリウム鋼板の中には断熱材と一体になった屋根材もございます。一方ジンカリウム鋼板は空気層を確保するため、断熱材と一体になっておりません。
屋根カバー工法に最適な金属屋根材ですし、住宅で屋根断熱・小屋裏断熱が採用されていることからあまり気にされなくても良いとは思いますが、築年数が経過し暑さ・寒さ対策が十分でないお住まいに使用される際には前もってご確認ください。
3.太陽光パネル設置はお勧めできない
太陽光パネルを設置することは可能です。しかし基材を石粒で保護しているジンカリウム鋼板に穴を開けるという事は穴あき部分に雨水が接触し錆の発生を促すこともあります。
また基材30年保証も穴あけ等を行わなければの条件ですので、太陽光パネルを設置されるのであれば保証の有無、開けた穴の処置等をしっかり確認してから施工しましょう。
4.石粒が落ちることがある
自然石粒は特殊な工法で接着されておりますが、経年により石粒が落ちることがあります。余計な石粒が落ちる施工時とは違い、経年により剥がれた石粒が多いと鋼板表面が露出し雨水や太陽光によって劣化してしまいます。
少しの石粒剥がれであれば問題ありませんが、土や枝で流れが悪くなった雨樋にさらに負担をかける恐れもありますので1年に一度は点検を行うよう心がけましょう。
ジンカリウム鋼板もガルバリウム鋼板も、ひと昔前の金属屋根材(トタンやブリキ)と比較するとその錆びにくさ、性能ともに格段に向上しています。外壁ですら窯業サイディングから金属サイディングに切り替えられるお住まいも増加しているほど注目されている優秀な建材です。
だからといってメンテナンスが全く必要ないわけではありません。強風で棟板金が飛散することもあれば飛来物で傷ができ錆びてしまうことももちろん考えられます。そのため1年に一度点検や必要に応じたメンテナンスは欠かせません。
大切なのはその屋根材に関連する知識をどれほど持っており、適切なメンテナンスを行うことができるかです。ジンカリウム鋼板は基材こそガルバリウム鋼板ですが、表面に自然石粒が吹き付けられていることから取り扱いは慎重に行わなければなりません。もちろん屋根上をむやみやたらに歩けばその分石粒が落ちるリスクも高くなってしまいます。必ずジンカリウム鋼板での施工実績があること、定期点検や施工保証の有無を確認してから工事を依頼するようにしましょう。
私たち街の屋根やさんではお客様のご要望に沿ったデザイン・カラーのジンカリウム鋼板での施工から、最長15年の長期保証と定期点検によりアフターサポートを致します。
各屋根材メーカーの保証も適切な施工を行っていなければ対象にすらなりません。必ず信頼できる屋根工事業者に大切なお住まいのリフォームを依頼できるようしっかりお探しください。私たち街の屋根やさんは無料お住まい調査を行っておりますので、「適正価格がわからない」場合の相見積もり、「最適なメンテナンス方法を知りたい」場合の点検等、お気軽にお問い合わせください。
ジンカリウム鋼板に見た目が似ているアスファルトシングルもご紹介
表面に石粒が吹き付けられているという点で、ジンカリウム鋼板と似ている屋根材が「アスファルトシングル」です。アスファルトシングルとは道路の舗装等に使用されているアスファルトを基材に浸透させ表面に石粒を吹き付けている屋根材です。
シート状ですので非常に柔らかくカッターでの切断、複雑な屋根形状でも簡単に施工することが可能です。ジンカリウム鋼板同様割れることはありませんが、金属でもないため錆びることもありません。重量はジンカリウム鋼板よりも少し重たい1㎡あたり12㎏ですが、圧倒的に異なるのはメンテナンス方法です。
アスファルトシングルは屋根塗装が必要なのですが、油性(溶剤)塗料を使用するとアスファルトが溶けだしてしまうため、水性塗料しか使用できません。また柔らかいアスファルトシングルは強風で剥がれることもあるため、強風や台風発生後には必ず点検し必要に応じた補修を行うことが大事です。
石粒仕上げのジンカリウム鋼板とアスファルトシングルですが、根本がそもそも違うためその性質とメンテナンス方法を理解してから使用屋根材を決めていきましょう。
ジンカリウム鋼板のまとめ
●ジンカリウム鋼板とはガルバリウム鋼板と同じ組成の鋼板です。商標登録をした会社によって名前が異なるだけですので同等の耐久性を持つ板金ですが、表面に自然石粒が吹き付けられている金属屋根材がジンカリウム鋼板とされています。
●基材はガルバリウム鋼板と同じですが、自然石粒によって塩害に強く、雨音・熱も伝わりにくいメリットがあります。石粒は陶器瓦同様、釉薬焼成ですので色が褪せにくく綺麗な状態を維持することができます。また塗装の必要性がないためメンテナンスコストを抑えることができます。
●ジンカリウム鋼板のデメリットはほとんどカバーできるものですが、知らないまま工事を行ってしまうと後悔してしまう事態になるかもしれません。必ずジンカリウム鋼板がどういうものなのかを理解してから使用しましょう。
●錆びにくく高耐久なジンカリウム鋼板ですが、全くメンテナンスを必要としない建材はありません。台風通過後に屋根に異常がないか、必要以上に表面石粒が落ちていないか等の定期的な点検・メンテナンスを心がけ不測の事態が起きないよう心がけましょう。
●ジンカリウム鋼板に見た目が似た屋根材としてアスファルトシングルが挙げられます。見た目は似ていますが根本も今後のメンテナンス方法も大きく異なりますので、見た目だけでなく補修方法や注意点を把握しどちらを使用するか決めましょう。
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