擁壁の状態を点検調査

擁壁は建物の北側と東側に位置しており、特に北側は日が届きにくいため、苔が多く付着していました。

表面を確認すると、小さな亀裂も多数見られます。

今回のお客様は「擁壁の亀裂に気が付き、メンテナンスの必要性を感じた」とのことです。

擁壁の裏側には土があり、そこからの湿気を常に受ける環境にあります。

この環境下は、苔（こけ）の繁殖を促してしまいます。

建物の外壁塗装を依頼する際に「擁壁もサービスで塗ります」と案内する業者もいるようですが、外壁用塗料を擁壁に使用すると、膨れや剥がれを引き起こすので注意が必要です。

ＩＰヨウヘキコートを用いた擁壁塗装工事

擁壁の高圧洗浄作業

まずは、擁壁に高圧洗浄をしていきます。

汚れが大きく落ち、全体がすっきりした状態になりました。

高圧洗浄は塗装前の下準備として欠かせない作業であり、仕上がりや耐久性にも大きく影響します。

擁壁の塗料作業

こちらは「IP含浸シーラー」で、IPヨウヘキコートを施工する際に使用する下塗り材です。
擁壁の表面と仕上げ塗料の間をしっかり結びつける役割を担っており、IPヨウヘキコートを使用する際には欠かせない工程となります。

最初に、IP含浸シーラーを全体へ均一に塗布していきます。
色が濃く見える部分が塗布済みの箇所です。

ローラーを使って進めていきますが、隙間が生じないよう丁寧に塗り重ねることが大切です。

今回は、仕上げ塗装（中塗り上塗り）にインターナショナルペイント社の「IPヨウヘキコート」を提案いたしました。

名前のとおり擁壁専用の塗料で、湿気の影響を受けやすい場所に適した性能を持っています。

建物の基礎や塀などにも効果を発揮するため、耐久性向上が期待できます。

では、塗装していきましょう。

IPヨウヘキコートの1回目は中塗りにあたります。
今回は依頼者の方の希望で、GN-95という真っ白な色を使用しています。

この時点では、「中塗りと上塗りの2回でしっかり白く仕上がるだろうか」と少し気になる印象でした。
乾燥後、2回目となる上塗りを行いました。

ローラーを中心に右側と左側を比べると、色の差がはっきり分かります。
真っ白な色ということもあり、中塗りと上塗りではここまで見え方が変わることがよく分かります。

上塗りを終えた時点では、まだ色のムラがわずかに残っていました。

施工中はしっかり白く見えていても、乾燥が進むにつれて塗料が下地に吸い込まれ、透けたような仕上がりになる場合があります。

IPヨウヘキコートの標準仕様は2回塗りですが、このままでは十分な仕上がりとは言えません。

見映えを整えるため、さらにもう1回塗りを重ねることにしました。

完工

擁壁の塗装工事が無事に完工しました。

光が当たると透け具合が分かりにくくなるため、曇りの日にあらためて状態を確認しました。

塗装後は色ムラのないきれいな仕上がりとなっています。

これでお客様にも安心していただける状態となりました。

一緒に擁壁をご確認頂いたところ、仕上がりを大変喜んでおられ、こちらも嬉しく思いました。