「屋根・外壁」の状態を点検調査

建設から16年が経過した化粧スレートは、表面に劣化が見られ、長期間維持していくには塗装による保護が必要な状態です。

屋根以外にも傷みが見られ、軒天に設置されている換気口には錆が発生していました。

錆が進むと、塗装を行っても密着が弱くなり、剥がれやすくなるため、早めの処置が求められる状況です。

建物全体では、亀裂やひび割れといった症状も所々で見受けられました。

鼻隠し板を固定している釘まわりの亀裂は、塗装だけでは改善できませんが、鼻隠し板そのものには塗装による保護が必要な状態です。

釘は位置をずらして打ち直し、亀裂部分はコーキングで補ってから塗装する流れが適切です。

また、外壁にも複数のひび割れが確認できたので、これらも補修を行ったうえで塗装を進めることで、仕上がりと耐久性の向上が期待できます。

下地処理

高圧洗浄

屋根や外壁の塗装を行う際は、まず建物全体の洗浄作業（高圧洗浄）からです。

屋根から作業をスタートし、上部から順に下へ向かって汚れを落としていきます。

雨樋や雨戸といった付帯部分も、屋根・外壁と合わせて洗浄を行います。

洗浄には、高い水圧で汚れをしっかりと落とせる高圧洗浄機を使用し、長年の汚れや付着物を丁寧に洗い流していきます。

ケレン作業

実際に塗装へ取りかかる前には、いくつか下準備が必要になります。

水切りや雨戸などの鉄製部材、雨樋やスリムダクトといった硬質塩化ビニール製の部材に対して、まずケレン作業を施します。

ケレン作業は、表面を整えて塗料の密着性を高めるために行う工程で、鉄部に錆がある場合はその錆を落とす役割も担っています。

この工程を丁寧に行うことで、仕上がりの品質と耐久性が大きく向上します。

コーキング処理

外壁に亀裂やひび割れがある場合は、塗装に入る前に補修を行います。

モルタル壁では、亀裂の縁を軽くカットしたうえで、コーキング材を充填して状態を整えます。

補修を行わずに塗装だけで仕上げることもできますが、その場合は一時的に亀裂が見えなくなるだけで、時間の経過とともに再び表面に出てくることが少なくありません。

コーキング材での補修は、そうした再発を抑えるための大切な工程です。

屋塗装工事

屋根の下塗り後にタスペーサーを設置

真っ白く見えている屋根は、下塗りを終えた段階の状態です。

今回の上塗り材にはダイフレックスのスーパーセランマイルドIR（IR-39）を採用するため、下塗りには専用プライマーである「ダイヤSRPカラープライマー」を使用しています。

下塗りがしっかり乾燥・硬化したあと、通気確保のためにタスペーサーを差し込んでいく流れとなります。

屋根の「中塗り・上塗り」作業

タスペーサーの取り付けが完了したら、スーパーセランマイルドIR（IR-39）を使用した「中塗り・上塗り」作業です。

中塗りでは、下塗りで使用したダイヤSRPカラープライマーの白色が見えなくなるまで、しっかりと塗膜を重ねていきます。

中塗りが乾燥・硬化したあと、仕上げとなる上塗りへ移ります。

色ムラが生じないよう細部まで丁寧に塗り広げ、乾燥後には仕上がりの確認も入念に行い、均一な状態に整えていきます。

屋根の塗装が完了しました。
スーパーセランマイルドIR（IR-39）は、鮮やかで深みのある青色が特徴です。

見た目は一般的な仕上がりと似ていますが、触れた時の質感で超高耐候塗料ならではの違いがはっきりと分かります。
表面の硬さや密度が一般的な塗料とは大きく異なります。

加えて、スーパーセランマイルドIRは遮熱性能も備えているため、暑さの軽減効果も期待できます。
標準色だけでも36色が揃っており、色選びの幅が広い点も魅力です。

外壁塗装工事

外壁の「下塗り」作業

外壁の塗装に取りかかります。
屋根塗装と同様に、まず下塗り材を塗布した後、上塗り材を中塗り・上塗りの2回に分けて仕上げていきます。

外壁に使用する上塗り材は、ダイフレックスのスーパーセランフレックス（IR-03）です。
これは、スーパーセランマイルドをさらに柔軟性と透湿性を高めた塗料で、ひび割れへの追従性にも優れています。

写真の白い塗料は、スーパーセランフレックス専用の下塗り材「ワイドシーラー」です。
下塗りで外壁を整えることで、上塗り材の密着性と耐久性が向上します。

外壁の「中塗り・上塗り」作業

下塗りが完了し、乾燥・硬化を確認した後、スーパーセランフレックス（IR-03）の塗布に移ります。
中塗りでは、下塗りで使用したワイドシーラーの白色が見えなくなるまで丁寧に塗り重ねます。

塗料が乾燥・硬化したのを確認してから、最後に、仕上げの上塗りを行います。
スーパーセランフレックスは、スーパーセランマイルドとは異なり、コーキング材の上からも塗布が可能です。

これにより、外壁面をコーキングで補修した後でも、塗装をしっかり行うことができます。

「付帯部・バルコニー（床）」の塗装工事

付帯部分の塗装には、日本ペイントのファインSiを使用しました。

鉄部にはまず、錆止め効果のあるハイポンファインプライマーⅡを塗布し、その後ファインSiを2回重ねて仕上げています。

付帯部分は個別に色を変えるよりも、統一した色で仕上げる方が全体のまとまりが出て、完成時の見た目もすっきりとします。

横浜市港北区のA様宅でも、付帯部分のファインSiは23-255（チョコレート色）で統一して施工しました。

屋根や外壁のメンテナンスも重要ですが、床部分の手入れも同じくらい大切です。

横浜市港北区のA様宅のバルコニー床は、FRPで作られた防水層です。

FRPはひび割れが発生すると元に戻すことが難しいため、屋根や外壁と同様に定期的な点検と手入れが求められます。

特に表面のトップコートは、紫外線や雨風の影響でひび割れや剥がれが起こるので、塗り直しによるメンテナンスが必要です。

完工

横浜市港北区のA様宅にて、スーパーセランマイルドIR（IR-39）とスーパーセランフレックス（IR-03）を用いた屋根・外壁の塗装工事が無事に完了しました。

色合いは以前と同じ系統ですが、全体的に薄めで明るく仕上がり、印象が一新しました。

破風板や鼻隠し板も雨樋や基礎水切りの色と揃えたことで、より統一感のあるすっきりとした仕上がりとなっています。

この度は施工をご依頼いただき、誠にありがとうございました。