棟瓦の積み直し

まずは棟瓦の積み直し工事です。現状は棟瓦の漆喰が劣化し中の葺き土が露出している所や完全に穴が空いてしまっている所があちこちに見られました。

棟瓦（屋根の頂点の部分）の構造は上から、「冠瓦（半円筒状の瓦）」、「のし瓦」と積み上げられています。それらを「葺き土」と呼ばれる粘土状の土で密着させ、棟瓦全体を「銅線」で緊結しています。これは「大回し工法」と呼ばれる昔ながらの伝統的な施工方法です。

屋根瓦の隙間を埋めている漆喰（防水の役目をしている）が劣化し剝がれてしまうと次にその中にある葺き土が劣化し崩れていきます。葺き土は瓦同士を密着させているものなので、それらが失われていくとことによって瓦にズレが生じていきます。このズレから雨水が侵入し最終的に雨漏れが起きてしまうのです。

瓦を解体（取り外し）していきます。漆喰はもちろんのこと中の葺き土も完全に役割を果たしていない状態でサラサラと崩れてきます。古い葺き土を完全に撤去していきます。

撤去後、新しい漆喰を詰めていきます。これは「南蛮漆喰」で通常の漆喰の主成分である消石灰に特殊シリコンや防水材を配合したもので防水性、強度ともに優れ、葺き土の代わりにも使えるので現在よく使用される材料です。

漆喰を詰める→のし瓦をのせる→銅線で緊結する、この作業を繰り返していきます。

冠瓦をのせ銅線で棟瓦全体を緊結していきます。そして瓦の隙間に漆喰を詰めて終了です。

トタン屋根カバー工法

既存屋根は瓦棒葺き（サン葺き）トタン屋根です。現在雨漏れしてしまっているとのことで全体的にだいぶ経年劣化が進み至る所に補修跡（コーキング等）が見られます。

長年の雨漏れの影響で室内天井はこのような感じであちこちにカビが生えてしまっている状況でした。室内天井の貼り替えも今回の工事内に含まれていますので一部解体して屋根裏の点検をしました。

カバー工法の大まかな手順としては　①既存屋根上に新規木下地を作る　②ルーフィングシート（防水シート）を貼る　③新しい屋根材を葺く　となります。まずは既存の瓦棒に沿って新しいサン木を取り付けていきます。

そして下地となる12㎜の合板を全面に敷き詰めていきます。

木下地が終わったらルーフィングシート（防水シート）を屋根の低い方から（シートの重なりが上部から被るように）順に敷いていきます。このルーフィングシートがあるおかげで屋根材自体に破損や穴ができてしまってもいきなり雨漏れするということはありません。

そして新しい屋根材を葺いていきます。今回は予算の都合上「カラートタン（色付き亜鉛メッキ鋼板）」で仕上げました。

これで屋根廻りすべての改修工事完了です。今回は工事依頼と職人さん方のタイミングが合い迅速に工事が進められお施主様も大変喜んでおられました。