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石巻市南境│築110年以上の蔵の土瓦を三州陶器瓦へ葺き替え
宮城県 屋根材(瓦)
【工事のきっかけ】
石巻市南境のお客様より「蔵の屋根から雨漏りしているので見てほしい
」とご連絡があり、点検・調査に伺いました。
土瓦が広範囲でズレていることが雨漏りの主な原因でしたが、土瓦のみならず屋根の下葺き材や野地板にも経年劣化による傷みが目立つことから、一旦解体して三州陶器瓦へ葺き替えを行うこととなりました。
基本情報
- 施工内容:屋根材(瓦)
- 施工期間:3人×4日
- 築年数:110年以上
- 使用材料:三州陶器瓦、改質アスファルトルーフィング、構造用合板(ラーチ合板)、強力棟金具ほか
雨漏り調査の様子
こちらは先祖代々続く農家で、この蔵は築110年以上が経過しています。
屋根材には土瓦が使用されており、約70年前の昭和26年に、土葺きから乾式工法の屋根へと大規模な改修工事を行っているそうです。
平部の真ん中の土瓦が広範囲でズレていることがわかります。
これが雨漏りの主な原因だと思われます。
ズレた部分の雨漏りがひどいため、野地板の傷みも気になります。
土瓦自体にも苔や汚れがあり、経年劣化が目立ちます。
土瓦が大きく
ズレた箇所からは屋根下地がむき出しになっており、前回の
改修時に施工された杉瓦と瓦桟が
確認できました。
杉皮は当時、防水の目的で
下葺き材として
使われていました。
棟部分は棟瓦やのし瓦が
粘土で固定されています
。
かなりの年数が経過しているため、粘土の
粘着力がなくなり、非常に崩れやすい状態になっています。
雨漏りの原因は、平部の土瓦のズレが大きな原因でしたが、前回の改修工事から70年以上も経過しており、全体的な経年劣化が否めません。
杉皮の下の野地板も恐らく傷んでいることが予想されます。
一旦、土瓦と屋根下地を解体後、野地板を補強し、改質アスファルトルーフィングを張った後、新しい三州陶器瓦を葺くこととなりました。
土瓦の解体(棟・捨丸・平部)
早速、一番上にある棟瓦から解体を始めます。
棟部の解体です。
棟瓦やのし瓦を剥がすと、大量の粘土がボロボロと崩れ落ちてきました。
同じように捨丸も解体します。
棟部、捨丸の解体が終わったら次は平部の解体です。
平部の桟瓦を解体していくと、前回の改修の際に使用された杉皮と瓦桟が出てきました。
こちらも撤去します。なんと杉皮はtパック1袋分にもなりました。
平部の土瓦がズレていた部分は、やはり浸水により野地板が腐食したため穴が開いていました。
ここは野地板の交換が必要ですね。
穴が開いた野地板を撤去し、新しい野地板として構造用合板(ラーチ合板)を張りました。
木の色が少し違う部分は、前回の補修の際に張り替えてあった箇所です。
不陸調整と屋根下地の補強を兼ねて、
既存の野地板の上からラーチ合板を増し張りしました。
これで屋根面の凹凸が是正され、強度も増しました。
増し張りした野地板の上から新しい防水シート(改質アスファルトルーフィング)を施工します。
改質アスファルトルーフィングは、軒から棟に向かって十分な重なりを取りながら張り、タッカーというホッチキスのような工具を使って野地板に針で固定します。
改質アスファルトルーフィングはシール性に優れており、針を打ち込んでも熱で膨張して穴を塞ぐため、浸水の心配はありません。
【関連記事】
▶雨漏りを防止する屋根の防水紙の重要性
瓦桟施工
改質アスファルトルーフィングを張った上から、瓦桟を施工します。
瓦桟は、
これから葺く瓦がズリ落ちてこないように引っ掛けて固定するための木材のことです。
瓦桟は軒先と平行に、かつ瓦の働き寸法に合わせて等間隔に並べ、ステンレス釘で固定します。
当店で使用する瓦桟は、防腐加工はもちろん、瓦の下に浸入してしまった雨水を堰き止めないように「ウォーターホール」という穴をつけております。
三州陶器瓦の荷上げ・平葺き
瓦桟を固定し終えたら、新しい三州陶器瓦を屋根の上にウィンチを使って荷上げします。
桟瓦は4枚1束となっているので、4枚分のスペースに1束ずつ配置しておきます。
ルーフィングと同様、軒から棟に向かって順に瓦桟に引っ掛けて釘留めしていきます。
瓦を固定する際に使用する釘は、
後から錆びて(膨張し)瓦を割ることのないように、錆びないステンレス釘を使用します。
平葺きが完了しました。
強力棟金具の取り付け
こちらの蔵では、解体前と同じように棟を5段積みする予定です。
5段の重さでも棟が地震に耐えられるよう、強力棟AB-1金具を設置して耐震対策をしておきます。
瓦の平葺の前に、棟部に強力棟AB-1の受金具を等間隔に固定しておきました。
棟際まで平葺が終わったら、固定していた受金具にボルトを固定します。今回のボルトは5段用の180mmのボルトを使用していますが、瓦の高さに合わせてねじ込んで微調整できます。
このボルトに後から、棟瓦を支える鉄筋を銅線で固定することになります。
本棟施工(のし瓦・棟瓦)
解体前の棟は5段に積まれた棟瓦とのし瓦が粘土で固定されていましたが、経年劣化で粘土の接着力が弱まり崩れやすい状態になっていました。
葺き替え後は、耐震補強のために強力棟金具を設置するほか、劣化しにくいモルタルセメントを詰めてガッチリと固定します。
モルタルセメントを棟部に詰めながら、のし瓦を4段に積み上げます。
のし瓦は地震や強風での脱落防止のために左右1組にして銅線で緊結します。
先に設置した
強力棟AB-1金具に鉄筋を銅線で固定します。
4段に重ねたのし瓦上に棟瓦を被せ、強力棟AB-1金具に固定した鉄筋と棟瓦を銅線で緊結します。
鬼瓦も銅線で緊結した後、コーキングで固定しています。
切妻屋根の妻部(軒先ではない屋根の端)には、陶器瓦と同色のGL鋼板を加工したケラバ板金を取り付けました。
ケラバ板金を取り付けることにより、妻側から吹き付ける風雨から屋根や建物を守ります。
【関連記事】
▶不具合は雨漏りに繋がる!ケラバの修理方法をご紹介
土瓦から三州陶器瓦への
葺き替え工事が全て
完了
しました。
雨漏りの原因や屋根の状態は表面からだけでは分からないことが殆どです。
特に、陶器瓦のように耐用年数が長い屋根材の場合、その下に隠れている屋根下地のことまではメンテナンスを怠りがちですが、こちらの屋根のように経年劣化が進んでいたり、野地板に穴があいていることもあります。
陶器瓦は、こまめな点検や定期的なメンテナンスを行うことで、他の屋根材よりも長くお住まいを守ってくれます。
ぜひ、点検の際は当店にご相談ください!
街の屋根やさん仙台石巻店は、熟練された屋根工事のプロが作業を行います!
「雨漏りしている」「瓦の浮き・割れ」等、屋根についてお困りの場合は、
街の屋根やさん仙台石巻店
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点検・お見積りは無料です。
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