茅野市の別荘で屋根塗装を行いましたのでご紹介します。屋根材はカラー鉄板、矩勾配（かねこうばい）という傾斜角度４５度、直角三角形の屋根です。現地調査の際も屋根面に上ることはできず、はしごをかけて梯子から見える範囲での調査でした。見える範囲で目立ったサビはありませんでしたが、全体的に褪色、変色が進み、茶色かったと思われる屋根色がだいぶ白っぽくなっていました。この別荘は最近居抜きで購入されたそうです。新しく購入された別荘のメンテナンスをしたいということでご依頼がありました。屋根を塗り替えることで今後の屋根材の劣化が抑えられ、価値も上がると思います。

傾斜角度が２０度を超えると普通に歩くことが困難になります。それよりもはるかに急角度なので何もなしで歩くことはできません。屋根面に足場を架ける屋根足場が必要です。まず足場の設置から工事が始まります。通常架ける足場のように四方を囲ったうえで屋根面にも足場を架けていきます。

足場が架かると次に高圧洗浄です。屋根面、屋根足場とも当然塗れるので滑りやすくなります。防滑性の高い靴を履いて安全第一で作業を行います。洗浄に使う洗浄機はホームセンターなどで手にひる電動の洗浄機ではなく、ガソリンエンジンの強力な洗浄機を使います。洗浄機の水圧を吐出圧力といいますが、市販の電動洗浄機は最大で１０MPa（メガパスカル）程度に対し、エンジン式の洗浄機は最大で３０MPa程度です。洗浄の対象物によっては最大吐出圧力だと強すぎる場合があるので、圧力を調整しながら洗浄します。洗浄は半日程度で終わりますが、屋根面を乾かすために初日は洗浄作業のみで終了です。

屋根面が十分乾いたところで塗装作業が始まります。屋根塗装は通常、下塗り、中塗り、上塗りの３工程で行います。今回使用した塗料はＡＧＣコーテックの超高耐久フッ素樹脂塗料【ルミステージ弱溶剤ＧＴ】です。左の写真が下塗り材の防錆プライマーです。下塗り材は屋根面と塗料の密着を高める塗料です。右の写真がトップに来るルミステージ弱溶剤ＧＴです。商品名の通り弱溶剤系の塗料で簡単に言うと油性塗料です。小さい缶は硬化剤で塗膜を固くする効果があり、傷つきにくくする効果があります。これを適正の比率で混合して塗料を作ります

まずは下塗りの工程です。防錆プライマーを塗っている様子です。上で書いたように接着剤の意味がある下塗り材なので塗り残しがないように丁寧に塗っていきます。３工程度の工程も同じですが広い面はローラーを使用して塗っていきますが、棟や屋根の段差など細かい部分はローラーが入らないので刷毛を使って塗ります。刷毛塗りのことをダメ込みといいます。ダメ込みを丁寧にすることで塗料の性能を発揮できるきれいに仕上がりになります。

次に中塗りの工程です。下塗りと同様に刷毛とローラーを併用して塗り残しがないように塗っていきます。中塗りと上塗りは同じルミステージ弱溶剤ＧＴを塗ります。中塗りの段階では十分な艶が出ません。塗膜もまだ脆弱な状態です。

最後に上塗りです。色は関西ペイントの新ブラウンという色で、お施主様が塗料をお決めになるときに一番お気に召した色をメーカーで調色してもらった色です。上塗りが終わると周りの木々が写り込むほど艶が出ます。丁寧に塗ったので塗料の性能も十分発揮できると思います。耐候年数は１５年～２０年、直射日光が周りの木々で遮られるので、２０年以上の耐候性が期待できると思います。

この光沢が10年後も変わらないという実績がある塗料です。10年後の定期点検の時に再開するのが楽しみな屋根です。