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洋風瓦をアスファルトシングル材へ葺き替え防音断熱効果に期待!
【工事のきっかけ】
瓦屋根が地震の時に心配でしたし、屋根の葺き替え時期が来ているとも聞いていたから。
基本情報

- 使用材料:オーウェンスコーニング社製オークリッジスーパー
洋風瓦からアスファルトシングル材に屋根の葺き替え工事をさせて頂きました。今回お施主様がお選びになったのはオーウェンス コーニング ジャパン合同会社が販売するオークリッジスーパー<テラコッタブレンド>という商品で、ファイバーグラスが練り込まれたシングル屋根材です。
日本瓦や洋風瓦などの粘土瓦の約4分の1、スレート系屋根材の約2分の1程度の重量と軽量であるため、瓦葺き屋根よりも耐震性能を大幅に向上させてくれます。
カラーバリエーションも豊富で、単調な単色ではなく、濃淡を織り交ぜた色調とシングル材特有の表面凹凸が微妙な陰影を奏でるので、立体感を演出してくれます。
耐久性能も非常に高く、基材のアスファルトにファイバーグラスを織り込んであり、基材がアスファルトであるので雨水を吸収することはなく、基本素材が耐候性を高め、風圧試験では50m/秒の激甚なる強風にも耐える結果が出ています。
このアスファルトシングル材の表面には金属コーティングが施された粒状鉱石が吹き付けられていますので、カビや藻類を寄せ付けにくく、空高くから落下してくる雨粒の衝撃音を表面の石粒が吸収してくれるので、静音性が高いことも特徴です。

このお宅の鼻隠し板は木製でした。表面には塗装仕上げが施されていましたが、その塗膜も限界を迎えていましたので、再塗装することになりました。

塗装作業の基本である下地処理を行います。古く浮き上がっている塗膜の上から新しく塗装をしても、その塗膜はすぐに剥がれてしまいます。スクレーパーなどで丁寧に落としていきます。

ケレンの下地処理が終わると、下塗り作業に入ります。ここでは防腐効果の高い塗料を使用します。赤い色をしていますが、下塗り専用の塗料ですので問題ありません。

下塗り作業が終わると、塗料メーカー指定のオープンタイム(乾燥時間)をしっかりと取り、2回目の中塗り作業に入ります。中塗り作業では仕上げ色を塗っていきます。

中塗り塗料にも同じくオープンタイムがありますが、その所要時間を経過したあとに、仕上げ塗(上塗り)をして行きます。これで鼻隠し板とひさしの塗装が完了です。

屋根瓦を屋根から降ろしていきます。瓦の解体(屋根ハギ)は屋根の頂上部から順に剥がしていくことが原則です。軒先からでも問題ないことがありますが、その上に残存している瓦が滑り落ちてくることがあります。

屋根から降ろした瓦は4tトラックの最大積載重量がいっぱいになるほどです。瓦をはぐ係、上げ機に積み込んでいく係、降りてきた瓦をトラックに積み込んでいく係と役割分担をして、作業に無駄が出ないように進めて行きます。

瓦の土台になっていた葺き土が多く残っています。この土は強力なビニール袋に手作業で入れて行き、屋根から降ろして処分場へ運搬します。瓦、土、木材、漆喰を分別します。

横方向に付着している棒状のものを「瓦桟」または「桟木」と呼ばれています。下地の垂木のピッチ455mmごとに釘で固定されていますが、バールで1本1本浮かせて解体していきます。
屋根職人が軍手をはめて、大型のチリトリを持ちながら、手作業で葺き土をさらえていきます。土ぼこりが近隣に飛散してしまうことを想定して身構えていますので、霧吹きで軽く水分を散布して飛散防止を図っています。
野地板の重ね葺きが終わると、さらにその上から新しいルーフィング材を吹き上げていきます。田島ルーフィング社製のアスファルトルーフィング材です。若くて屈強な屋根職人が引きちぎろうとしても絶対に不可能なほど強力なルーフィング材が、お家の屋根を完全防護します。
ルーフィング材の敷設でも、メーカーの標準施工要領を厳守します。建て方向の重ね代は100mm以上、横方向の重ね代は200mm以上を守り、大棟の下にはさらに捨て貼りを1枚追加します。これで防水対策は完璧です。

新しい雨どい(軒樋)を設置する前には水糸を張って、雨どいの水勾配の基準を出しておきます。水勾配とは、水が流れていくために必ず意図的に設けてあげなければならない水準差のことを指しています。

お家の4隅はコーナー役物を用いて横樋と接着剤で接合します。竪樋に接続する箇所には集水器が設置されます。横樋から集水器に雨水が流れていくよう、横樋には穴をあけておきます。このようにして屋根の軒先全周に雨どいを取り付ければ軒樋は完成です。パナソニックPC50角型を採用しました。

軒先に唐草(板金)を取り付けて張り始めますが、軒先には1枚を捨て貼りします。捨て貼りをする理由は2段目以上の屋根材の角度と1段目の屋根材の角度が異なってしまうからです。アスファルトシングルの厚みは約5mmでほとんど影響がないと考えがちですが、これを省くとわずか5mmの勾配差でも、仕上がりのイメージが違ってきます。屋根全体を同じ勾配にするための工夫です。

寄棟屋根の形状から、まずは屋根4面の平部を軒先から順に頂上部である大棟に向かって葺いて行きます。下り棟では両方向から少しずつ張り重ねておきます。軒先近くに見えるのは雪止めの金具です。千鳥(互い違いに)に配置されています。

平部を施工してから棟の部分を仕上げます。棟では張り重ね代を設けますが、見栄えと防水対策の面から役物を使って、棟瓦と同じ仕事をさせます。このお宅では同質の材料を使用した仕上げになります。

頂上部分の中央には「換気棟」を設置しました。屋根内部の湿気と熱気を排出してくれますので、屋根は長寿命化と温度上昇抑制が期待できます。

まずは棟瓦を外します。葺き土と貫板が見えてきました。ほとんど雨水の侵入がなかったのでしょう。葺き土も貫板も問題ない状態です。

古い漆喰はこてなどの道具を使って丁寧に撤去します。
葺き土と貫板をこのまま使用し、この上から新しい漆喰を塗って仕上げます。漆喰は塗りすぎてはいけません。面戸からはみ出るほど塗ってしまうと、排水機能が損なわれてしまいますので、適量の塗布が求められます。また漆喰は葺き土と貫板との密着性能も大切で、漆喰に含まれる水分量と練り方で全くその性能は変わってきますので、熟練職人の腕が試されます。
少しのオープンタイムを取った後、元通りに棟瓦を積み直していきます。積み直しが終わると、釘ではなく今回はステンレス製ビスで固定します。ステンレスは錆びませんし、締め込まれたビスは風圧では抜け上がることはありません。ビスの根元にはゴムパッキンが付いていますので、ビスとビス穴の隙間から雨水が侵入することがありません。これで屋根工事は完成です。
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