更新日：2021年05月15日

江戸川区西瑞江にお住まいのお客様よりベランダの床が浮いているとご相談をいただきました。雨水を浸入させないことを目的にしている点においては屋根外壁と変わりませんが、ベランダや陸屋根は歩行を可能にするために勾配(傾斜)がほとんどありません。そのためメンテナンスを怠ればたちまち雨漏りを起こしてしまいますので、不具合を感じた場合は雨漏りの有無に関わらずしっかり原因を追究し補修を行っていくようにしましょう。

3階建てビルのベランダ防水点検

調査にお伺いしたのは3階建てビルです。2階のベランダの床が浮き始めたというのは最近の事、そしてそれはベランダ全体に広がっているとのことです。

ベランダには防水工事がされていますが、躯体や面積によっていくつか工法が分かれます。例えば一般住宅のそれほど広くないベランダにはFRP防水、RC造やALC造建物には動きの伸縮性からシート防水、広面積で凹凸がある屋上等にはウレタン防水が施工されることがあります。しかしどれもどこかが劣化し亀裂や剥がれを起こすことで雨水が浸入し、熱で蒸発することで防水層を下から押し上げるような現象が起きます。これがベランダ床が浮く大きな原因です。

ベランダの床が浮く原因が水蒸気ですので、下地に溜まった空気を逃がすために改修時【通気緩衝工法(絶縁工法)】を用いることもあります。これは下地に無数の穴が開いたシートを敷くことで下地と防水層の密着を防ぎます。ただこれだけでは中間層に溜まった水蒸気を逃がすことが出来ない為、セットで脱気装置も取り付けます。脱気装置は下地の水蒸気を逃がしますが外部からの雨水浸入は許しませんので雨漏りの心配もありません。

ベランダ防水以外の膨れの原因をチェック

防水工事をされてからしばらく時間が経過しているという点も踏まえ経年劣化も感じられますが、他の要因ももちろん頭に入れておく必要があります。例えば笠木のシーリング劣化、これは外壁の立ち上がり部分を保護する板金なのですが、継ぎ目に施工されたシーリング材に亀裂や肉痩せが生じると雨水が入りこみ下地の腐食はもちろん、雨漏りを起こすこともあります。また外壁の目地やタイルの割れも雨漏りの原因となることがありますので、随時補修を行っていく必要があります。

以上の点を踏まえると膨れの原因はたくさんありますので補修箇所を間違えないよう、じっくり精査し補修にあたりたいと思います。