名張市で瓦屋根住宅の丸流し部分の点検を行いました。
今回は2階部分の大屋根にあたる瓦屋根で、普段は地上から状態を確認しづらい箇所の点検です。

「屋根の上が見えないので、一度しっかり点検してほしい」とご相談がありました。
築年数が経過した瓦屋根では、瓦自体はしっかりしていても、内部の漆喰が劣化しているケースが多く見られます。

丸流しとはどんな部分？

丸流しとは、瓦屋根を施工する際に、瓦同士の微妙な隙間を埋めるために設けられている部分です。
瓦を固定・安定させる役割があり、内部には漆喰が詰められています。

屋根を上から見ると、白いものが瓦の上に被さっているように見える部分がありますが、これが丸流しに使われている漆喰です。
一見すると問題なさそうに見えても、年数の経過とともに内部の漆喰は徐々に劣化していきます。

丸流しの漆喰が劣化するとどうなる？

今回点検した屋根では、丸流し本体のズレや瓦の割れは見られませんでした。
そのため、現時点では雨漏りが発生していなかったことが幸いでした。

しかし、横から確認すると、丸流し全体から漆喰がこぼれ落ちている状態がはっきりと確認できました。
さらに近くで見ると、かなりの量の漆喰が流れ出ており、全体的に寿命を迎えている状態でした。

このまま放置してしまうと、

・雨水が内部へ侵入しやすくなる
・丸流しの瓦が徐々にズレていく
・強風や地震の際に瓦が落下する危険性が高まる

といったリスクが考えられます。

雨漏りというと、天井から水がポタポタ落ちてくるイメージを持たれる方が多いですが、実際にはそこまで症状が出るまでにかなりの時間がかかります。

屋根内部では、梁や垂木などの大切な構造部分に雨水が染み込み、気づかないうちに木材を傷めたり腐らせたりしてしまうことも少なくありません。

特に今回のような2階の大屋根は、下から状態を確認することが難しく、劣化の発見が遅れやすい箇所です。
そのため、症状が表に出た時にはすでに被害が広がっているケースも多く見受けられます。

今回ご提案した補修方法

今回の点検では、

・雨漏りは発生していない
・丸流しの瓦自体には問題がない

という状態だったため、丸流し内部の漆喰をすべて撤去し、水に強い「南蛮漆喰」を使用して積み直す工事をご提案しました。

まとめ

南蛮漆喰は、防水性・耐久性に優れており、従来の漆喰に比べて雨水に強いのが特徴です。
適切なタイミングで補修を行うことで、大掛かりな屋根修理や葺き替えを避けられる可能性も高くなります。

瓦屋根は耐久性が高い反面、漆喰や丸流しなどの付帯部分は定期的なメンテナンスが欠かせません。
名張市周辺でも、「瓦は割れていないのに雨漏りした」というご相談は非常に多く、その原因の多くが漆喰の劣化です。

屋根は毎日、雨風や紫外線にさらされています。
だからこそ、10年～15年を目安に、信頼できる業者による点検をおすすめします。

大切なお住まいを長く守るためにも、症状が出る前の点検と早めのメンテナンスを心がけましょう。


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