茅野市で行った屋根工事をご紹介します。
既存屋根は陶器瓦、特に大きな損傷はありませんでしたが、耐震性を上げたい、夏の暑さを何とかしたいというご希望で、軽量の天然石コーティングジンカリウム鋼板【メリッサ】への葺き替えをすることになりました。天然石の効果で断熱性も上がりますが、さらに効果を高めるために屋根材の下に遮熱シートを入れました。

屋根から瓦を撤去します。
今回は立地条件がそろったので、クレーンを使っての瓦の撤去です。近くにクレーンが入れるスペースがあること、密接した建物がないこと、高圧線などが密集していないことなどの条件をクリアできればクレーンが使えて作業が楽です。条件がそろわなければ屋根の上から下のトラックに投げ入れることになり、労力が増します。

瓦は屋根に横方向に付けられている桟木（さんぎ）という角材に引っ掛けて止まっています。釘やビスは使っていません。賛否あるラバーロック工法（瓦のふちをコーキングで止める方法）を取っていない限り瓦自体は簡単に外せます。ただ、葺き替えるには桟木も撤去しなければならないのですが、桟木は釘で止まっているので外すのは一苦労です。釘が刺さっている細い角材なので処分するのも大変です。

作業に夢中になって写真を撮るのを忘れていましたが、桟木を外して平らになった屋根に、12ｍｍ厚の構造用合板を張っていきます。野地板（のじいた）と言います。野地板を全面に張ったらルーフィング（防水シート）を張っていきます。ルーフィングがしっかりしていれば雨漏りの心配がないという重要な建材です。薄い樹脂シートを芯材にしたチャンピオンルーフィングを採用しています。簡単に破れることがなく、劣化もしない信頼できるルーフィングです。
10㎝ほど重ねて軒先から上へ張っていきます。重なりの口が上を向いていると流れてきた雨が入ってしまうため、口を下に向けるために下から張っていきます。

ルーフィングの上は通常屋根材なのですが、今回は遮熱シートを入れて夏の暑さを軽減させます。サーモバリアという梱包材のエアキャップ（プチプチ）を純度99.9％のアルミシートで挟んだものです。熱の伝導はカイロなど直接触って伝わる【伝導熱】・エアコンなど空気中で伝わる【対流熱】・太陽やストーブなど赤外線で伝わる【輻射熱】があります。この3つの熱伝導のうち、伝導熱と対流熱は全体の25％、輻射熱が75％です。断熱材は伝導熱、対流熱には効果がありますが、輻射熱は止まりません。ところが、このサーモバリアは輻射熱に効果があります。断熱に高い効果がある建材です。

屋根材を取り付けて行きます。
今回採用した屋根材は天然石コーティングジンカリウム鋼板屋根材【メリッサ】です。ジンカリウム鋼板はガルバリウム鋼板とほぼ同じ組成のマグネシウム、亜鉛、シリコンのメッキ鋼板です。これに天然石を特殊コーティングした屋根材がメリッサです。天然石でコーティングされているので一見重そうに見えますが、1㎡あたり6㎏ほどで、スレートの8㎏よりも軽い屋根材です。元々あった陶器瓦は1枚3㎏、1㎡あたり17枚使うので1㎡の重さは51㎏、10倍近い重量差があります。今回は90㎡の屋根なので、瓦は4500㎏（4.5t）乗っていましたが、新しい屋根材は540㎏、野地板やルーフィングなどの副資材を入れても650㎏くらいで、7分の1まで軽量化できます。これなら耐震性アップも期待大です。

屋根の頂上の棟板金、斜めの部分の縁のケラバにそれぞれ屋根材と同じ天然石をコーティングした純正の板金を取り付けます。費用を抑えるためにガルバリウム鋼板を使うこともできますが、天然石のジンカリウム鋼板は塗装の必要がありませんが、ガルバリウムは15年～20年くらいで塗装のメンテナンスが必要です。同質のカバー類を使ったほうが後々お得です。

工事が終わりました。
軽量の屋根材に替えたことで耐震性が向上、遮熱シートを入れたので断熱性が向上、天然石の効果でさらに断熱性が高まり、ガルバリウム鋼板の雨音がうるさいという弱点も軽減、メーカー保証30年の長期耐久性、メリットしかない屋根材です。