パラペットと笠木とは？建物を雨から守る大切な部分

まず、今回登場する「パラペット」と「笠木」について簡単に説明します。

パラペットとは、陸屋根（りくやね）と呼ばれる平らな屋根の外周に立ち上がる壁のこと。屋上に降った雨水が外壁へ直接流れ出ないようにし、建物の防水性を保つ役割を持っています。

その頂部に取り付けられているのが笠木（かさぎ）です。金属やアルミなどでできており、パラペットの上に被せるふたのようなもの…と考えるとわかりやすいでしょうか。

この笠木があることで、パラペットの内部や外壁の接合部に雨水が染み込むのを防いでいます。

現場調査ではサビ汁が流れ出るほどの腐食を確認

現場は、2階建ての陸屋根住宅。まずは屋上全体を確認したところ、パラペットに取り付けられた笠木板金に大きな劣化が見られました。

表面の塗装が剥がれ、赤茶色のサビが広範囲に発生。なかにはサビ汁が屋上の防水シートにまで流れ出している部分もあり、見た目にも腐食がかなり進行しているのが分かります。

さらに、笠木を固定する釘が浮いている箇所も複数確認できました。この状態では、強風が吹くと笠木がめくれたり飛ばされたりする危険があり、建物や近隣への被害につながるおそれもあります。

安全性と防水性を取り戻すため、笠木の取り外しと交換工事を行うことになりました。

笠木を取り外し、下地で勾配をつけていきます！

さっそく、笠木の取り外し作業に入ります。既存の笠木はサビがひどく、少し持ち上げるだけでボロボロと崩れていきそうなほど劣化が進んでいました。

この状態の笠木では、屋上を雨から守ることは困難です。「よくぞここまで耐えたな…！」という不思議な感慨深さを覚えつつ、新しい笠木へとバトンタッチするための作業を、進めていきます。

まずは笠木の下地づくりから。従来のパラペット天端（てんば）は、ほぼ水平に作られていました。この形だと雨水が笠木の上に溜まりやすく、今回のように腐食を進める原因になってしまいます。

そこで今回は、合板を使った新しい下地を設置し、屋上の内側に向けて勾配をつけるようにしました。この工夫により笠木上に雨が溜まらず、屋上の排水口へスムーズに流れるようになります。

防水シートは建物を守る見えない壁！

下地の合板を固定したら、その上に防水シート（ルーフィング）を張ります。

防水シートは、笠木の下で雨水の侵入を防ぐ言わば「最終防衛ライン」です。たとえ金属笠木がサビて穴が空いたとしても、このシートが健在なら雨水は内部まで到達しません。

今回は、粘着力と気密性に優れたブチルテープ付きの防水シートを使用しました。ブチルテープで接合部を密閉し、風や水が入り込む余地を完全にふさいでいきます。

仕上げ工程！ガルバリウム鋼板の笠木を設置

防水処理が完了したら、いよいよ新しい笠木を取り付けていきます。今回採用したのは、ガルバリウム鋼板製の笠木です。ガルバリウム鋼板とは、アルミ・亜鉛・シリコンを主成分とする合金で、サビにくく、耐久性が高いことで知られています。

取り付けの際は、下地のビス穴に合わせてステンレス製ビスでしっかりと固定。

出隅や重なり部分は、雨水が入らないように板金を加工して重ね、さらにコーキングで細部を仕上げました。

また、今回の施工では、前述したように下地に勾配をつけてあるため、雨水は自然と屋上側に流れ、笠木上に留まることがありません。

以前のようなサビ汁や腐食の心配もぐっと減ります。

これで笠木の交換作業は完了です！見た目が整っただけでなく、防水機能や建物の耐久性の向上にも、つながりました。

お客様も安心したご様子で、私たちもほっと胸を撫で下ろしました…！

笠木のメンテナンスはなぜ大切？

笠木板金はあまり目立たない部分ですが、建物を雨から守るために非常に重要なパーツです。とくに今回のお宅のような陸屋根の場合、笠木部分の勾配が少ないことが多く、水はけが悪いせいで防水層の劣化が早く進む傾向があります。

もし、陸屋根にお住まいの方が何かの機会に屋上に出ることがあった際は、安全を確保した上で、ぜひ屋根全体の劣化状況をチェックしてみてください。そして錆びている箇所やビスが浮いている部分を見つけたら、すぐにプロへの補修依頼を行うことをおすすめします。

屋上や笠木の点検はプロにおまかせください

笠木は屋上の端部分に位置するため、自分で点検や補修を行うことは危険が伴います。気になる点がある場合は、必ずプロにご相談ください。

街の屋根やさん名古屋南店では、陸屋根や屋上の点検・お見積もりをすべて無料で承っています。

「少しサビてるけど大丈夫かな？」
「雨漏りじゃないけど心配…」

そんなときも、どうぞお気軽にご連絡いただければ、すぐに駆けつけます。

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