S瓦の棟って雨漏りすることあるの？

築35年のS瓦屋根は耐久性が高い一方、棟部分の漆喰が劣化し始めると、
そこから雨水が侵入しやすい構造となっています。

今回のお宅でも、棟下漆喰の剥離が静かに進行し、
雨水の入り込みが雨漏りの初期症状として現れていました。

この記事では、現地調査でどのような劣化を確認し、
なぜ棟の積み直し工事が必要となったのか

そして実際にどのような工程で工事を進めたのかを詳しくご紹介します。

「小さな劣化がどこまで影響するのか？」
「放置した場合、住まいにどんなリスクがあるのか？」

といった疑問も自然と理解できる内容になっています。

これから屋根点検を考えている方にも参考になるはずですので、
ぜひ最後までご覧ください。

工事の流れ

まずは現地調査

現地調査では、まず棟部分の漆喰が複数箇所で劣化し、
白い粉状に崩れて剥離している様子が確認されました。

漆喰は瓦の固定や雨水の侵入を防ぐ重要な役割を担っていますが、
築35年ともなると風雨や温度差の影響で粘りが失われ、
次第に空洞ができて剥がれやすくなります。

この状態を放置すると、棟瓦の固定力が低下し、
台風時に瓦がズレる危険性も高まります。

さらに、剥がれた隙間から雨水が入り込むことで、
下地の木材が湿気を含んで腐食し、雨漏りの進行を早めてしまいます。

今回も初期段階での発見ではありましたが、
被害が広がる前に適切な対処が必要な状態でした。

最初に既設棟瓦の解体作業から

施工前は棟瓦が長年の劣化でわずかに浮き、
漆喰も剥がれている状態でした。

まずは棟部分を丁寧に取り外し、
解体時に瓦の破損が出ないよう慎重に進めます。

浮きがある棟瓦は、強風時に飛散の危険があり、
そのままにしておくと雨漏りの拡大につながります。

解体することで内部の状態を確認でき、
次の工程へ確実につなげる準備が整います。

土撤去

解体後は内部に残った既存の葺き土をすべて撤去します。

劣化した土は水分を含みやすく、
再利用すると再び雨水を引き込む原因となるため、
新しく組み直すために完全に取り除きます。

放置された古い土は湿気を帯び、木下地の腐食を招くリスクがあります。

撤去によって内部が乾燥し、次の工程で防水性を高めるための良い下地が整います。

強力棟の取付

清掃後は、棟瓦をしっかり固定するための強力棟金具を取り付けます。

従来の土による固定とは異なり、
金属金具によって耐風性・耐震性が大きく向上します。

金具がしっかり固定されることで、瓦がズレる心配が少なくなり、
台風時の飛散リスクも大幅に軽減されます。

強固な骨組みをつくるこの工程が、
長持ちする棟へと生まれ変わらせる重要なポイントです。

ハイロールの貼り付け

強力棟の上から防水性の高いハイロールを貼り付け、
雨水の侵入を防ぐ層をつくります。

ハイロールは伸縮性と密着性に優れ、
棟部分に合わせてしっかりと密閉できるため、
防水性を大幅に向上させます。

もしこの工程を省いてしまうと、
わずかな隙間から雨水が入り込み、
後々の雨漏りにつながる危険があります。

防水処理として非常に重要な役割を果たします。

棟瓦取付→完了

最後に棟瓦を一枚ずつ丁寧に復旧し、
金具とハイロールの上から正しい位置に固定します。

施工前に見られたズレや浮きは解消され、
瓦同士のかみ合わせも整ったことで、
美観と機能の両面が大きく改善されました。

積み直しによって棟全体の耐久性が向上し、
今後の強い雨でも雨漏りの心配が大きく減ります。

まとめ

今回の棟積み直し工事により、
劣化していた漆喰部分が完全に改善され、
雨水の侵入経路がしっかりと遮断されました。

強力棟金具とハイロールを組み合わせた構造となり、
耐久性も従来より大幅にアップしています。

お客様にも「これで安心して雨の日を迎えられる」とお喜びいただきました。

もし屋根の小さな異変が気になっている方がいらっしゃいましたら、
早めの点検が大きなトラブルを防ぐ第一歩です。

気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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